総評
- 数学易化傾向で文系人間も数学の勉強必要※最新の令和3年度では再び超難化しました
- 理科の完成度で差が付き浪人有利傾向
理科でがっつり差がつきやすい傾向は変わらず、理科の完成度の高い浪人生が有利に戦えるでしょう。
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入試の基本情報と面接
- 二次比率50%
- 共通テ(旧センター)国語・社会で2分の1の配点。
- 二次試験でも英語・理科で稼ぎやすい。
- 現在は数学易化。英語も動向不透明
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 面接 | 合計 | |
共通 | 200 | 100 | 100 | 100 | 100 | – | 600 |
二次 | – | – | 200 | 200 | 200 | – | 600 |
二次比率は50%で、完全にイーブンです。面接は最低評価なら不合格の可能性もあります。今まで面接はグループディスカッションのみでしたが、個人面接も課されるようになりました。公民は倫理・政経です。(※2021/8/1追記。再受験生の面接一発アウト事例が噂レベルではありますが報告があります。極端な高齢受験生はぼちぼち他の大学を検討したほうがいいかもしれません。)
共通テストでは国語・社会にかなりの傾斜があり、二次試験でも、英語や理科でも稼ぎやすい傾向が強く、文系からの理転組もそれなりにいました。ただ近年は数学も差が付きやすい試験となり、英語の試験の動向も不透明なため、いわゆる文系人間もそれなりに数学の対策をしていく必要があります。(※後程リメイク動画を出す予定ですが、理科以外の難易度変動が激しく不安定な状態が続いています。)
数学の分析<120分>
<目標得点ライン>
満点200/H170/M130/L110
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 制限時間120分
- 全体的に標準だが時々やや難の問題
- 年度ごとの難易度ばらつき大きいが、最近は下位旧帝大レベルに落ち着き。小問誘導を意識しながら解こう。
- 計算やや煩雑だが、理不尽なレベルではない。
- 標準問題をきちんと正答することが先決→「1対1対応の演習」などはマスト
- 滋賀医大過去問は年度ごとの難易度ばらつき大→下位旧帝大(東北・九州)などの過去問も有用か
- 数強は更に高度な演習を積んでも報われる試験→「やさ理」などハイレベルな問題集や高難易度の単科医大(京府医・奈県医)、上位旧帝大(東京・京都・大阪)過去問もOK
<試験問題の概要>
制限時間は120分です。難易度は全体的に標準的ですが、所々やや難の問題が混じっています。年によって難易度のばらつきが大きいですが、ここ数年は、東北大、九州大といった下位旧帝大くらいの難易度です。小問の誘導が丁寧なので上手に乗っていきましょう。数学な得意なら8割近辺、苦手な人でも、標準的な問題をこなして6割前後の点数が狙えるはずです。
<時間配分について>
計算がやや煩雑な問題がありますが、理不尽なほどではありません。やや難の問題で引っかからず標準的な問題を見抜いて解答することが出来れば、極端に時間不足になることはないでしょう。ケアレスミスには細心の注意を払ってください。
<滋賀医科大数学の対策・インプット編>
まずは「1対1対応の演習」など標準的なレベルの問題を繰り返し解いて標準的な問題の解答力をつけるます。滋賀医大の過去問は難易度のばらつきが激しいので、直近の数年分を解いたら、九州大・東北大などの下位旧帝大レベルの問題で実践演習を積みましょう。
<滋賀医科大数学の対策・アウトプット編>
数学でアドバンテージを取りたいなら、更にワンランク上の問題集や、京都府立医大、奈良県立医大などの難しい単科医大の問題、あるいは東大・京大・阪大など上位旧帝大などの過去問なども良いトレーニングになるはずです。
英語の分析<90分・3問>
<目標得点ライン>
満点200/H150/M120/L100
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 制限時間90分
- 大問3問 2問は長文 1問は作文
- 作文の形式は自由英作文→京大風和文英訳へ
- 記述の設問多く時間はやや厳しい
- 英語の作題者変わる可能性大。英作文は自由英作文対策も忘れずに。
- 令和3年度は傾向対策であまり稼げないかも⇒実際に傾向が変わりました。
<試験問題の概要>
90分の試験で、大問は3問、2問は長文、1問はかつては自由英作文でしたが、ここ数年はかつての京大風和文英訳となっています。設問数が多く殆ど記述の問題なので、テンポよく解答していかねば時間が足りません。
<令和3年度の出題傾向に関して>
作題を担当していた英語の教員の先生がご退職されたため、令和3年度の試験については大きく傾向が変わる可能性があります。英作文のトレーニングを自由英作・和文英訳とバランスよく行うほかは、あまり入試の傾向対策で稼いでやろうと思わないほうが良いでしょう。
化学の分析<75分>
<目標得点ライン>
満点100/H80/M60/L50
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 制限時間150分(理科2科目)
- 問題の難易度は標準だが、とにかく計算がえぐい!解き方がわかっても重い計算問題はスルー
- 理科2科目通しで、時間配分の戦略要検討
- 対策:普段の勉強から、解法が分かっただけで満足せず愚直に計算があうまでトレーニングすべし
- 2015年以前の問題は作題者異なり対策不要
<出題分野の傾向>
理科2科目で150分なので、化学には75分程度が割けます。
<時間配分に関して>
問題のレベルそのものは標準的ですが、とにかく計算量がえぐいです。標準的な問題集がきちんと身についていれば解答の指針を立てるのにはそう苦労しませんが、計算で時間を食います。解き方が分かっても、計算が泥沼化すると判断したら潔く飛ばして次の問題にいく勇気も必要です。もう一つの理科の科目とあわせて、時間配分の戦略をしっかり検討する必要があります。
<滋賀医科大化学の対策>
普段の勉強でも解法が分かっただけで満足せずに、愚直に計算を行い数値があうまで自力で答えを出す習慣をつけてください。
物理の対策<75分>
<目標得点ライン>
満点100/H80/M60/L50
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 制限時間150分(理科2科目)
- 問題の難易度は標準〜やや難
- 穴埋めがやさしめ、記述はむずかしめ。記述は解けそうな問題を取捨選択しよう
- 物理の時間がきついわけではないので、早めに切り上げて化学に時間を割きたいところ
<試験問題の概要>
理科2科目で150分なので、物理には75分が割けます。難易度は標準からやや難レベルで、各問が空欄の穴埋めと記述式問題から構成されています。
<時間配分に関して>
穴埋めの方はそこまで難しくなく、記述問題がやや難しい傾向です。したがって、穴埋めは高得点を狙い、記述は手がつけられそうな問題とそうでない問題を取捨選択して解いていく必要があります。時間はそれほどきつくないので、物理を早めに切り上げて化学にどれだけ時間が割けるかが勝負になりそうです。
生物の対策<75分>
<目標得点ライン>
満点100/H75/M60/L50
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 制限時間150分(理科2科目)
- 問題の難易度はやや難
- 何故か進化と系統が必出。植物生理・生態ほぼ無し。
- 考察問題のリード文は長くないため、時間をかけすぎないで、さっさと化学へ。
- 考察系問題集までやろう。遺伝対策は控えめでOK。
<出題分野の傾向>
出題分野にはかなりはっきり傾向があり、進化と系統が必ず出題、逆に植物生理や生態は小問単位ではちょっと出ることがあっても、大問としてガッツリ出題されたことはありません。したがって、進化と系統にウェイトを置きつつも、いわゆる医学部っぽい分野の問題演習を積みましょう。生態や植物生理については共通テストの対策で十分です。
<試験問題の概要>
理科2科目で150分なので、生物には75分程度割けますが、個人的にはもっと短い時間で仕上げるほうが賢いと思います。
考察問題も多いですが、リード文がそれほど長くない、すなわちそう多くの情報が与えられていないため、分かるときはすぐに分かるし、分からない時はいくら悩んでも分からないので、生物は60分くらいで切り上げて、化学の計算問題を1問でも多く正答するのに注力するほうが賢明でしょう。
それなりに難しい問題ですので、勉強量次第でほかの受験生に差をつけることもできます。物理や化学でもそうですが、理科の完成度でかなりの差がつくことが、面接の寛容度以上に浪人生有利になりがちな理由です。
<滋賀医科大生物の対策>
標準的な受験対策問題集に加え、「標準問題精講」などといった考察系問題集をプラスアルファするのが良いでしょう。ただし、植物生理や生態はカットしてもいいです。遺伝は小問としては頻出ですが、大問まるまる出題されることは殆どありませんので、対策は控えめでいいでしょう。
滋賀県の地域医療の概況
- 大津医療圏、湖南医療圏(草津)
・人口多く医療資源集中
・滋賀医大病院は大津
・他にも基幹病院多数 - 湖西医療圏(高島)、甲賀医療圏、東近江医療圏(近江八幡)、湖東医療圏(彦根)
・一部の医療を大津・草津に依存 - 湖北医療圏(長浜)
・やや医療不足
・大津・草津には遠い… - 大津中心に琵琶湖南岸
京都大学、京都府立医科大学関連病院多め
滋賀県は基本的には大津市のある大津医療圏、草津市のある湖南医療圏に医療資源が集中しています。滋賀医大病院は大津医療圏に属し、他にも基幹病院がいくつか存在するため、大津医療圏の人口当たりの医師数はやや過剰気味と言っていいレベルです。
しかしながらその周辺地域である、湖西医療圏、甲賀(こうか)医療圏、東近江医療圏(近江八幡)、湖東医療圏(彦根)では医療資源が不足しているため、大津や湖南医療圏がそれを補っているのが現状です。
滋賀県北部では長浜市の属する湖北医療圏が中核的な役割を果たしています。ただしそう多くの人員で回しているわけではなく、とはいえ大津や湖南地域へ搬送するには遠すぎるという、厳しい事情を抱えている地域です。
最後に学閥的な話をすると、特に大津を中心に琵琶湖線沿線の病院については、京大や京府医の巨大な影が見えますw
滋賀医科大学を志望する受験生のその他の受験校
滋賀医科大学は関西圏内の大学であり、全国的に見れば比較的難易度は高めです。他の志望校を検討することもあるでしょう。その場合、どのような理由で滋賀医科大学に着目したかで検討する志望校が異なります。
国語・社会重点配点に惹かれていた場合は、島根大学はやはり検討するべきでしょう。滋賀医大と島根大の大きな違いは理科の重要度です。滋賀医大では理科の実力差が大きくつきますが、島根大では二次理科がなく、また共通テストの理科の傾斜配点すらありません。(理科と国語が同じウェイト)
理科で差をつけたい受験生は、富山大学か岐阜大学を検討してください。富山大学は数学と理科の合わせ技で、岐阜大学は英語と理科の合わせ技で合格が見えてきます。理科だけしか取り柄がない!という場合は、大分大学、大阪医科薬科大学(私立)を薦めます。共に、理科が2倍の配点となっており、理科の実力差が素直に現れる良問が出題されています。
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