<傾向と対策>和歌山県立医科大学(医学部医学科)科目間バランスが重要だったが、制限時間延長措置により若干数強有利になるか?

総評

  • 得意でも高得点狙えず、苦手だと大きく失点するタイプの問題
  • 科目間バランスが求められる試験だったが、令和3年度からの制限時間延長により、若干の不確実性を伴う
令和3年度では制限時間の延長により若干の不確実性が伴うことが、押さえておきたいポイント。

動画でご覧になりたい方はこちら

入試の基本情報と面接

  • 二次比率54%
  • 面接点は「0点」。10分前後の面接で概ね一般的な内容。多浪生た再受験生は再面接が課されることもあるが、不合格まで至るケースはほとんどないとのこと
  • 公民は1科目受験不可。「倫理・政治経済」のみ使用可能
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 100 100 100 150 150 600
二次 250 250 200 700

二次比率は54%で、やや二次型です。面接点はゼロ点で、10分前後の面接で概ね一般的なことが聞かれるようです。多浪生や再受験生には再面接を課されることもありますが、不合格にまで至るケースは殆どないようです。

公民は1科目受験ができず、「倫理・政経」2科目まとまった科目オンリーです。

数学の分析<120分(R2までは100分)・4問>

<目標得点ライン>
満点250/H180/M125/L110
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 大問4問、試験時間100分
  • 難易度は標準〜やや難。年度や大問によって形式まちまち。どの設問にどこまで時間をかけるか要検討。
  • ボリュームやや多め。捨て問飛ばせば間に合う
  • 頻出分野に特徴。最頻出は複素数平面。次点で数列。数2微積、数3微積、数列もそこそこの頻度で出題
  • 対策:標準的な問題集で解法インプット必須。アウトプットは「やさしい理系数学」、「標準問題精講」レベルまで完成させる。捨て問まで手を付けるならさらに上のレベル
  • 捨て問はっきりしているため団子状態と予想
  • R3年度から制限時間が120分に延長。やや難の問題で差がつくようになるか

<試験問題の概要>
大問4問構成で、制限時間は100分の試験です。全体的な難易度は標準~やや難レベルです。誘導小問については全くないこともありますが、沢山ついていることもあり、年度や大問によってまちまちです。

標準問題をベースとして数学の基本的事項の理解を問う良問もありますが、ただひたすら煩雑な計算を要求するような悪問もあり、どの設問にどこまでの時間をかけるかは一考の余地があります。
ボリュームはやや多めです。良くも悪くも難しすぎる捨て問が分かりやすいので、そのような問題を飛ばせてしまえば何とか間に合うでしょう。次年度の令和3年度では制限時間が120分に延長されます。やや難の問題で少し差がつくかもしれませんね。

<頻出分野>
頻出分野には特徴があり、複素数平面が最頻出で、次点で数列です。その他、数2微積、数3微積、数列などもそこそこ出題されています。

<和歌山県立医大数学の対策・インプット編> 
標準問題をベースにした大問は是非得点したいため、「青チャート」、「フォーカスゴールド」、「1対1対応の演習」などの標準的な問題集での解法のインプットは必須になるでしょう。

和歌山県立医大数学の対策・アウトプット編>
基本的には「やさしい理系数学」や「標準問題精講」レベルまで完成させるのが一般的とは思いますが、いわゆる捨て問にまで手を付けようとするなら更にハイレベルな問題集に取り組む必要があります。

英語の分析<120分(R2までは100分)・3問> 

<目標得点ライン>
満点200/H170/M125/L110
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間100分、大問3問
  • 《大問別分析》
    大問1:長文(理系トピック)
    大問2:長文(小説)
    長文は内容、語彙ともに標準レベル。設問はほとんどが記述問題。
    大問3:和文英訳
    阪大レベルの少しこなれた日本語の英訳。4文程度のためそれほど配点多くないか
  • 時間、問題ともにそれほど厳しくないが、記述答案の出来で点差がついている様子。添削指導が受けられると良い
  • R3より制限時間が120分に延長。問題数に変更なければ、大きな影響はないか

<試験問題の概要>
100分の試験で、大問は3問です。時間もそう厳しいわけでもなく、問題もそう難しいわけでもなく、高得点勝負になるかと思いきや、意外とそうでもなく、記述の答案の出来でそこそこの点差がついているようです。もし機会があれば、添削指導を受けられるとプラスになるでしょう。

次年度の令和3年度では制限時間が120分に延長されます。もともとそんなに難しい問題ではないので、問題数に変更が無ければ、英語が極端に苦手な受験生以外は大きな影響はないように思います。

<大問ごとの概要と対策>
大問1:理系トピックの長文
大問2:小説の長文問題

長文の難易度は内容・語彙共に標準レベル。設問は和訳問題や内容説明問題がメインで、殆どが記述問題です。設問の難易度もそう難しくはありませんが、記述問題に慣れていないとポロポロ点がなくなっていくかもしれません。

大問3:和文英訳
阪大レベルの少しこなれた日本語を訳す形式。ある程度トレーニングを積むのが望ましいですが、設問が4文程度であるため、あまり多くの配点が割り当てられていないかもしれません。

化学の分析<75分(R2までは60分)・3問> 

<目標得点ライン>
満点125/H100/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。理論1問、有機1問は確定。残り1問は理論 or 無機 or 融合問題と様々。高分子対策も必須。
  • 難易度は標準〜やや難レベル。優先順位をつけて、テンポよく回答するように
  • 対策:「重要問題集」等の標準的な問題集の周回に加え、過去問演習を通じて時間配分の適正化を十分に行うこと
  • R3から制限時間が150分に延長。化学には75分割けることに。問題数が多くならなければ、やや難の問題に手を出せる試験になるかも

<出題分野の傾向>
大問3問構成で、理論が1問、有機が1問は確定、残る1問は理論になったり無機になったり、理論と無機の融合問題になったりと様々です。有機の問題がまるまる高分子になっていることもあるので、高分子の対策も必須です。

<試験問題の概要>
大問3問構成です。現状は理科2科目で120分なので、化学には60分割けますが、次年度の令和3年度では制限時間が150分に延長されますので、化学には75分割けることになります。問題数が多くならなければ、やや難の問題に手を出せる試験になるかもしれません。

<時間配分に関して>
難易度は標準からやや難レベルで、簡単に答えが書ける設問もあれば、少し解答に手間取るような設問もあるので、解く優先順位を適切につけて、テンポよく解答するように心がけてください。

<和歌山県立医大化学の対策>
「重要問題集」など標準的な問題集の周回で構いませんが、過去問演習を通じて時間配分の最適化を十分行ってください。「化学の新演習」など難しい問題集もやって損ではありませんが、現状は制限時間が短くやや難の問題に取り組む時間はそれほど取れないので、あまり点数にはつながらないかもしれません。

物理の対策<75分(R2までは60分)・3問> 

<目標得点ライン>
満点125/H105/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。力学1問、電磁気1問、熱力学 or 波動で1問(原子はあまり出題無)
  • 難易度は標準〜やや難レベル。設問数が多く、計算量も多いため、試験問題に対してボリュームかなり多いと感じる
  • 対策:「重要問題集」、「名問の森」等のオーソドックスな問題集の演習。時間配分が現状大変シビアなため過去問演習で最適化
  • R3から制限時間が150分に延長。物理には75分割けることに。問題数が多くならなければ、やや難の問題に手を出せる試験になるかも

<出題分野の傾向>
大問3問構成で、1問は力学、1問は電磁気、もう1問は熱力学か波動、の構成になっています。原子分野については出題はあまりされていないようです。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。大問3問構成です。次年度の令和3年度では制限時間が150分に延長されますので、物理には75分割けることになります。

<時間配分に関して>
難易度は標準からやや難レベルで、設問数が多く、それぞれの設問に対して計算量も多いため、60分の試験の割にはボリュームはかなり多いと感じるでしょう。時間さえあれば問題そのものの難易度はそれほどでもないので、得意な人であればそこそこの高得点は期待できます。令和3年度から時間が延長されますので、問題数が多くならなければ、やや難の問題に手を出せるかもしれません。

<和歌山県立医大物理の対策>
問題の難易度は標準レベルなので「重要問題集」や「名問の森」などオーソドックスな問題集の演習で構いませんが、時間配分が今のところたいへんシビアです。過去問演習は多めに行い、自分の実力が全て得点に繋がるように、時間配分のペースの最適化にはしっかり時間を取ってください。

生物の対策<75分(R2までは60分)・4問> 

<目標得点ライン>
満点125/H105/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問4問構成。分野にかなり偏り。分子生物と体内環境がほぼ必ず出題。神経、代謝、発生、細胞生物、遺伝等がまんべんなく出題
  • 難易度は標準レベル
  • 対策:「基礎問題精講」等の標準的な問題集を1周した後、「標準問題精講」等の考察系問題集に取り組み、リード文や実験データを読み取るトレーニングを積むこと。遺伝も高頻度で出題されているので対策必須
  • R3から制限時間が150分に延長。生物には75分割けることに。問題数が多くならなければ、やや難の問題に手を出せる試験になるかも

<出題分野の傾向>
大問4問構成で、分野の偏りはかなりあり、分子生物と体内環境がほぼ必ず出題され、神経・代謝・発生・細胞生物・遺伝などの分野がまんべんなく出題されています。たまに進化と系統の問題も出題されていますが、生態学や植物生理に関しては殆ど出題がありません。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度の時間は割けます。
大問4問構成で、全体的な難易度は標準レベルです。多分野融合問題が多く、考察問題の比率も高いですが、難易度はほどほどで、きちんと実力があればそれなりの高得点も期待できます。次年度の令和3年度では制限時間が150分に延長されますので、生物には75分割けることになります。問題数が多くならなければ、やや難の問題に手を出せるかもしれません。

<和歌山県立医大生物の対策>
「基礎問題精講」などの標準的な問題集をさらっと一周した後、分野を絞ってでもいいので「標準問題精講」などの考察系問題集にきちんと取り組み、リード文や実験データの読み取りのトレーニングをきちんと積みましょう。この辺のトレーニングがきちんと出来ている受験生なら、ぱっと見難しそうなテーマが多くても、意外とさくさく解けるはずです。遺伝もけっこうな頻度で出ているので、対策は必須です。

令和3年度からの制限時間延長措置

  • 和歌山県立医大では令和3年度より二次試験の試験時間が延長されることに
        [これまで]      [R3〜]
    英語   100分   →   120分
    数学   100分   →   120分
    理科   100分   →   120分
  • 問題数据え置きの場合は事情が変わってくる
    英語:あまり影響ないか
    数学、理科:これまではやや難の問題を飛ばさざるを得なかったが、時間延長によりやや難の問題でも差がつくようになるか

和歌山県立医大では令和3年度より二次試験の試験時間が延長されます。制限時間の延長に伴って問題数も増加すれば、今までとあまり変わり映えのない試験ということになりますが、問題数が据え置きの場合は事情が変わってきます。

英語はもともと易しめの問題でしたので時間延長による影響はあまりないように思いますが、数学と理科はかなり時間制限が厳しく、そのためにやや難の問題を飛ばさざるを得ない状況にありました。そのため、制限時間の延長によりやや難の問題で差がつくようになる可能性があります。数学・理科が得意な受験生は二次で逆転をしやすくなるかもしれません。

過去問演習では、今までの短めの時間と、延長後の長めの時間の両方で交互に取り組むと問題数増加の有無にかかわらず安定したパフォーマンスが発揮できるでしょう。

和歌山県の地域医療の概況

  • 人口当たり医師数は全国平均よりやや多め
  • 地域偏在がかなり激しい。和歌山市に医師が一極集中し、過剰状態
  • 那賀町、有田市はほとんどの医療を和歌山市に依存。御防市、田辺市、新宮市は一般的な医療は地元で完結も、高度医療は和歌山市に依存
  • 診療科偏在も。県全体で相対的に精神科が不足状態。地域によって不足はまちまち

和歌山県の人口当たりの医師数は全国平均と比べるとやや多めになっています。しかし、地域偏在はかなり激しく、県庁所在地である和歌山市に医師が一極集中しており、医師数は過剰と言っても良い状況です。一方で、和歌山市周辺地域の那賀(なか)町や有田(ありだ)市では殆どの医療を和歌山市に依存しており、県南部の御坊(ごぼう)市、田辺市、新宮(しんぐう)市などの地域では、一般的な診療こそ地元で完結できていますが、高度な医療については殆ど和歌山市に依存しています。

診療科偏在もあるにはあり、県全体としては精神科が相対的には不足していますが、地域によってその実情はまちまちで、地域によって不足している科は異なるようです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました