総評
- 共通テストが国語、社会の文系有利傾向
- 二次試験の英語はあまり差がつかないと予想。数学をきちんとケアしていく必要あり。
- 理科の完成度がイマイチな現役生や文系からの理転組・再受験でも受験しやすい大学
共通テストが国語・社会重点で文系有利傾向がありますが、二次の英語ではあまり差がつかず、数学をきちんとケアしていく必要があります。とはいえ二次に理科がなく、センターでも理科に傾斜がないため、理科の完成度がイマイチな現役生や文系からの理転組などでも、受験しやすくなっているとは言えるでしょう。
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入試の基本情報と面接
- 二次比率40%
- 面接点は15~60点のレンジで純粋な人物評価による
- 面接カード記入15分+面接15分
- 公民は1科目受験可能(「現社」、「倫理」、「政経」もOK)
- 国語・社会の配点が高い(滋賀医大も同様だが理科のウェイトが大きく異なる。)
- 二次試験に理科なし。文系出身の再受験生、文系科目が得意な現役生に有利な配点か。
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 面接 | 合計 | |
共通 | 200 | 100 | 100 | 200 | 100 | – | 700 |
二次 | – | – | 200 | – | 200 | 60 | 460 |
二次比率は40%で、共通テスト寄りといえます。
面接については、面接カードを15分かけて書き、その内容に沿って15分の面接が進められます。面接点については、15~60点のレンジになりますが、これは年齢や出身地によるものではなく、純粋に人物評価をしているようで、県外の再受験生などでも満点が取れるケースはよくあるようです。
二次の学力試験の負担も小さく、面接点が後天的な努力で上がる性質のものであることから、共通テスト終了後、面接の練習はしっかり目にやってみていいかもしれません。
数学の分析
<目標得点ライン>
満点200/H165/M135/L110
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間120分、大問4問
- 難易度は標準~やや難。総合理工学部との共通問題。
- 各大問は3~5問の小問で構成。誘導は丁寧
- ボリュームはほどほど。時間は十分か
※ここ最近は、大問1の難度高い。解けそうな問題を選別、優先順位をつける - 数Ⅲ微積分はほぼ確定。整数、数列(特に漸化式)も頻出
- 標準的な問題集で標準問題の解法をマスターすることが最優先
- 下位旧帝大・地方国公立レベルの問題でアウトプット演習
- 整数を中心に難度の高い問題も毎年出題。数学で差をつけたい人は上位旧帝大レベルの問題も演習
<試験問題の概要>
制限時間120分で、大問4問構成です。難易度は標準からやや難程度です。総合理工学部との共通問題となっています。各大問が3~5問の小問からなり、誘導が比較的丁寧に作られています。ボリュームはほどほどで、数3の微積分では計算量や作業量の多い問題があるものの、他の問題はそれほどでもなく、難易度の高い問題で必要以上に時間を食わなければ、時間が足りなくなることはないでしょう。一つ気を付けたいことは、ここ3年ほど、大問1に難易度の高い問題が配置されていることです。初めの大問が易しいとは限らないので、解けそうな問題を選別して解く優先順位をきちんとつけて進めていきましょう。とはいえ、難易度の高い大問も前半の小問は比較的簡単ですので、拾える問題はきちんと拾っていきましょう。
<頻出分野>
数3微積分はほぼ確定で出題、整数、数列(特に漸化式)もよく出題されているようです。
<島根大数学の対策>
標準問題が中心となっているので、標準的な問題集で標準問題の解法をマスターするのが最優先です。その後、下位旧帝大・地方国公立大レベルの問題で、誘導の意味を考えながら解くアウトプット演習を行いましょう。
整数を中心にやや難易度の高い問題も毎年1題は出題されているので、数学で差をつけたい人は上位旧帝大レベルの問題も演習すると良いでしょう。
英語の分析
<目標得点ライン>
満点200/H150/M135/L125
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間120分、大問5問
- 長文3問、英作文2問
- 長文のうち2問は他学部との共通問題。難度は低いが、記述で細かい減点に注意。HPに模範解答があるため参考に
- 医学部専用問題は医療系がテーマ。語彙・内容・設問すべて難しくレベル高い。最後に解くのがよいか
- 最初の英作文は他学部との共通問題。比較的書きやすい60wards級の自由英作文。
- 最後の英作文は和文英訳。医学部専門問題で骨がある。付け焼刃の対策では難しい。
- 易しい問題と難しい問題の差が激しく差が付きずらいが、辛うじて英作文で若干差が付くか
<試験問題の概要>
120分の試験で、大問は5問です。3問が長文、2問が英作文です。
長文のうち2問は他学部との共通問題です。他学部との共通問題は非常に簡単で、高校入試で出題されるくらいのレベルです。
ただ設問は記述なので、細かい減点をされないよう注意して答案を作りましょう。島根大学のホームページに、作題者自身の模範解答がありますので、参考にしてみてください。とはいえ、設問は殆ど本文中の抜き出しと和訳で完結するレベルですので、そんなにビビることもありません。
<医学部専用問題がくせ者>
難儀なのは残る1問の医学部専用問題です。おおむね医療系のテーマが出題されていますが、語彙が難しく、内容が難しく、設問も難しくと、かなりレベルの高い問題となっています。120分も試験時間があり、時間はたっぷりあるのですが、医学部専用問題は時間があってもなかなか難しいように思います。ゆえに、3番の医学部専用問題の長文は最後に解くようにしましょう。
<英作文も注意>
英作文の最初の1問は共通問題で、自由英作文の形式をとっており、比較的書きやすいテーマの60word級のもので、これもまた高校入試レベルです。最後の英作文は和文英訳で、これは医学部専用問題で、なかなか骨のある問題です。京大のようなこなれた日本語が出題されているわけではないですが、文構造が複雑で、直接英語にしてしまうと良く分からない文になってしまうようなタイプです。何となく阪大の英作文の小問を、半分に分けて別々の設問にしたような感じの印象です。
<島根大英語の対策>
島根大学を共通テスト前から第1志望にしている受験生は少ないので、殆どの受験生は共通テスト後から急いで対策することになるとは思いますが、共通テスト後からの付け焼刃の対策ではまともな答案を作る実力はなかなかつかないでしょう。
共通テスト前からこつこつトレーニングを積むことでアドバンテージを取れそうな気はします。とはいえ、全体としては、易しい問題と難しい問題のギャップが激しく、易しい問題は易しすぎて差がつかず、難しい問題は難しすぎて差がつかず、といった感じになっています。
島根県の地域医療の概況
- 人口当たりの医師数は全国平均より高い
- 地域偏在、診療科偏在が課題。松江、出雲以外の地域で局所的な医師不足。主要診療科での欠員も。
- 県北部が医療拠点だが県南部からの搬送には遠く、救急医療・産婦人科などで大きな問題
- 隠岐の医療体制もあまりよくはない
- 地域によって診療科の不足・充足はまちまち
島根県は田舎だから医師も不足だろう、とつい錯覚するのですが、実は人口当たりの医師数は意外と日本の平均よりは高かったりします。
島根県の地域医療の問題は地域偏在・診療科偏在です。人口は概ね松江や出雲に固まっていますが、それ以外の各地にも散らばっており、医師が局所的に不足していることがあります。診療科偏在もあり、地域の病院では、主要診療科に欠員があったりすることもあるようです。
また県の形状も偏在による問題を深刻化させています。島根県は県の北部の松江や出雲が主要な医療拠点ですが、この場所があまり良くなく、県の南部で救急などの急性期医療のニーズが発生した場合、その地域で患者さんを受け入れられなければ、医療が充実した地域へ患者さんを搬送することになるのですが、この時に県の北部まで患者を搬送するわけにはいかず、救急医療や産婦人科などでは大きな問題となっています。
また離島である隠岐の医療体制もあまりよくありません。多い診療科、少ない診療科については地域によって本当にまちまちで、トータルで見れば殆どの科で充足していますが、場所によってはあらゆる診療科が不足しており、特に県北部以外での救急医の不足が深刻な問題なのではないかと考えます。
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