総評
- 数学は難しいが、京大・阪大医学部の受験組は有利になりやすい
- 英語は意外と易しく、作文力重視
- 理科はほどほどの難度
時間もたっぷりあるのでやや難レベルの問題の正答率でも差がつく
理科の配点が2倍あるので、理科の実力次第で望みがあるでしょう。
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入試の基本情報と面接
- 二次比率75%
- 面接点は0点。5分前後で一般的な内容。面接リスクは低い。
- 後期重点型の大学。ただし後期の合格難度はかなり高め
- 公民は1科目受験可能。「倫理」「政治経済」「現代社会」使用可能
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 面接 | 合計 | |
共通 | 50 | 50 | 100 | 150 | 100 | – | 450 |
二次 | – | – | 225 | 450 | 225 | – | 900 |
二次比率は75%で、二次型といえます。面接点はゼロ点で、5分前後の面接で概ね一般的なことが聞かれるようです。京大、阪大医学部落ちの受験生を意識してか、「仮面浪人をする予定はあるか?」などといった質問もあるようです。言わずもがなですが、即答でいいえと答えてくださいね…基本的に面接は寛容と言われており、一発不合格の話も聞いたことはないので、面接リスクは低いかと思われます。
奈良県立医大はどちらかというと後期重点型の大学で、前期試験の定員は22名ですが、後期試験の定員は53名もいます。とはいえ後期試験は京大や阪大など関西の超難関大医学部に不合格だった層が流入してくるため、合格の難易度はかなり高めになっています。
また、公民は倫理/政経/現社の中から、いずれか1科目での受験が可能です。
数学の分析<120分・4問>
<目標得点ライン>
満点225/H170/M140/L125
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 大問4問、試験時間120分
- 難易度はやや難〜難しい。論証問題が大半。典型問題は皆無
- ボリュームはかなり多め
- 融合問題の出題が多い。その中でも整数、数列、論理と集合の融合問題が近年よく出題。次点で数3微積の問題もよく出る
- 対策:典型問題の解法インプットは最低限。下位旧帝大レベルのアウトプット演習だけでも足りない。上位旧帝大レベルまで行いたい。頻出分野は最高峰レベルの問題や演習書も。
<試験問題の概要>
大問4問構成で、制限時間は120分です。全体的な難易度はやや難~難しいレベルです。論証問題が大半を占めています。また典型問題は皆無で、斬新な設定の問題が多く、通常の大学入試数学では扱わない数式処理、論証手法を要求する問題も多くなっています。
<制限時間に関して>
制限時間120分に対して、ボリュームはかなり多めです。重厚な思考力型の問題で、方針を考えるにも時間がかかり、その後の計算や解答作成にもたいへん時間がかかります。予め取り組みやすそうな問題に絞って取り組めばどうにか間に合うでしょう。
<頻出分野>
融合問題が多く、なかでも整数、数列、論理と集合の融合問題が近年良く出題されています。次点で数3微積の問題もよく出題されています。
<奈良県立医科大(後期)数学の対策・インプット編>
高度な思考力・論証力を要する難問が多く、典型問題の出題は少ないため、典型問題の解法インプットについては最低限に済ませたいところです。
<奈良県立医科大(後期)数学の対策・アウトプット編>
「やさしい理系数学」や「標準問題精講」などの下位旧帝大レベルのアウトプット演習も有用ではありますが、これだけでは点数にはなかなかつながらず、「ハイレベル理系数学」、「上級問題精講」など上位旧帝大レベルのアウトプット演習まで行いたいところです。
頻出の整数・数列・論理と集合などの分野については、東大・京大・一橋大・東工大・阪大理系挑戦枠など最高峰レベルの入試問題、大学への数学シリーズのマスターオブ整数などの整数特化対策本なども有用でしょう。
トレーニングこそハイレベルな問題まで進めたいところですが、実際の試験では時間もそうたくさんはないので、試験本番では試験の全体像をつかみ、取り組みやすい問題から進めるようにしてください。
英語の分析<105分・4問>
<目標得点ライン>
満点225/H180/M150/L140
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 大問4問、試験時間105分
- 《大問別分析》
大問1、2:通常の長文問題。語彙、内容共に標準レベル。注釈も多い。内容説明問題が大半。短文の和文英訳も - 大問3:自由英作文(120words)。大問2に関連したテーマでの出題が多い
- 大問4:自由英作文(80words)。独立したテーマで出題
- ボリューム多く見えるが長文標準レベルのため苦手でなければ時間が不足することはないか
- 対策:英作文対策は早い段階から入念に
<試験問題の概要>
大問は4問で、制限時間は105分です。大問1と大問2は通常の長文問題で、語彙・内容共に標準レベルです。しかもやや過剰に注釈がついており、語彙で困ることはないでしょう。設問もオーソドックスなもので、内容説明問題が大半ですが短文の和文英訳問題も交じっています。大問3は120ワードの自由英作文、大問4は80ワードの自由英作文になっています。大問3は大問2に関連したテーマになっていることが多いようです。その一方で大問4は独立した設問になっています。
<制限時間に関して>
自由英作文が2つとボリュームは多く見えますが、長文は標準レベルでそれほど時間はかかりませんので、苦手でなければ時間が足りなくなることもないでしょう。また、長文に組み込まれた設問も含めると、英作文の配点が全体の半分弱あるので、早い段階から英作文対策は入念に行っておきましょう。
<大問ごとの内容と対策>
大問1と大問2は通常の長文問題で、語彙・内容共に標準レベルです。しかもやや過剰なほど注釈がついており、語彙で困ることはないでしょう。設問もオーソドックスなもので、内容説明問題が大半ですが短文の和文英訳問題も交じっています。
大問3は120ワードの自由英作文で、大問2に関連したテーマになっていることが多いようです。
大問4は80ワードの自由英作文で、独立した設問になっています。
自由英作文が2つとボリュームは多く見えますが、長文は標準レベルでそれほど時間はかかりませんので、苦手でなければ時間が足りなくなることもないでしょう。
<奈良県立医科大(後期)英語の対策>
長文に組み込まれた設問も含めると、英作文の配点が全体の半分弱あるので、早い段階から英作文対策は入念に行っておきましょう。
化学の分析<90分・5問>
<目標得点ライン>
満点225/H180/M145/L130
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間180分(理科2科目)
- 大問5問構成。理論2問、無機1問、有機1問、高分子1問。※年度によって高分子2問の出題も
- 難易度は標準〜やや難。やや難を解き切れるかどうかで点差がつく。各大問の一番最後は重めの計算問題
- 対策:標準的な問題集の周回に加え、余裕があればやや難しめの問題集まで完成させたい。「化学の新演習」の★★★レベルは不要か
<試験問題の概要>
理科2科目で180分ですから、化学には90分割けることになります。大問5問構成で、理論が2問、無機が1問、有機が1問、高分子が1問となっていることが多いですが、高分子が2問になっている年度もあります。高分子は難しい問題もありますが範囲も狭いので、直前対策で過去問以外に何かやるとするなら高分子を薦めます。
<時間配分に関して>
難易度は標準~やや難で、標準問題ばかりでなく、やや難の問題の比率もそれなりにあり、時間も長めですので、やや難の重めの問題をしっかり解ききれるかどうかでそれなりに点差はつきます。また、極端に難しい設問こそないですが、各大問の一番最後はとても重めの計算問題になっていることも多く、後回しにしておいた方が無難でしょう。
<奈良県立医科大(後期)化学の対策>
「重要問題集」など標準的な問題集の周回に加え、余裕があれば化学の新演習などやや難しめの問題集まで完成しているとアドバンテージが取れてくるでしょう。目新しい設定の問題はそれほど多くなく、あったとしても取り組みやすいので、「化学の新演習」の★★★レベルはそれほどゴリゴリやる必要もありません。
複雑な設問に対して最後まで計算をやり抜き、正答までもっていく力を養成するという目的意識をもって、普段の勉強に取り組んでください。
物理の対策<90分・4問>
<目標得点ライン>
満点225/H180/M160/L140
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間180分(理科2科目)
- 例年3問構成→R2は大問4問構成。力学、電磁気、波動、原子の構成
- 難易度は標準〜やや難レベル。穴埋めメインだがグラフを書かせる出題も。
- 90分で全問完走するのは至難の業。明らかに重い設問を飛ばせば多少余裕出る
- 対策:標準的な問題集に加えて、「難問題の系統とその解き方」や「標準問題精講」等の難問系問題集にも取り組めるとより安心
<試験問題の概要>
理科2科目で180分ですから、物理には90分割けることになります。例年は大問3問構成でしたが、令和2年度では大問4問構成になりました。例年は力学、電磁気がそれぞれ1問に、その他の分野が1問という構成でしたが、令和2年度については力学、電磁気、波動、原子という構成でした。
<時間配分に関して>
全体的な難易度は標準~やや難レベルです。穴埋めがメインにはなりますが、グラフを書かせる問題もあります。制限時間は90分ありますが、大問も4問ありやや難の問題も含まれるので、全問を完走するのは至難の業でしょう。明らかに重い設問を飛ばしながら進めていけば多少の時間の余裕は出るでしょう。
<奈良県立医科大(後期)物理の対策>
「重要問題集」や「名問の森」などといった標準的な問題集に加えて、余裕があれば「難系統問題とその解き方」や「標準問題精講」など難問系問題集にも取り組めば、より安心です。
生物の対策<90分・5問>
<目標得点ライン>
満点225/H195/M175/L160
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間180分(理科2科目)
- 大問5問構成。体内環境がほぼ確定で出題。その他分野は概ね満遍なく出題。
- 難易度は標準レベル。知識問題がやや多め。考察問題もあるが典型問題が多い
- 時間は十分。余った時間で化学の計算見直しや、やや難の問題のチャレンジすると良い
- 対策:知識対策に「生物用語の完全制覇」等の難しめの知識問題集。論述対策に「生物記述論述問題の完全対策」等の問題集にも。遺伝も余裕があれば対策しておくこと
<試験問題の概要>
理科2科目で180分ですから、生物には90分割けることになります。大問5問構成で、分野の偏りについては、体内環境はほぼ確定で出題、その他の分野は概ね満遍なく出題されていますが、植物生理と生態はやや出題頻度が低めかもしれません。
<時間配分に関して>
全体的な難易度は標準レベルで、やや知識問題が多めです。考察問題はあるにはあるものの、典型問題も多くあまり考え込む問題は少ないです。大問は5問もありますが時間も90分あり難易度が難しいわけでもないので、余った時間で化学の計算の見直しや、やや難の問題にチャレンジするのも良いでしょう。
<奈良県立医科大(後期)生物の対策>
知識問題の対策のために「生物用語の完全制覇」などの難しめの知識問題集で知識を固めた後、「生物記述論述問題の完全対策」などの論述用問題集にも丁寧に取り組みましょう。更に「基礎問題精講」など標準的な問題集を用いて典型問題を対策すれば、安定した点数が取れるでしょう。遺伝についてもそれなりに出題されるので、余裕があれば対策をしておいてください。
奈良の地域医療の概況
- 人口当たり医師数は全国平均レベル
- 北部は比較的発展しており医療施設も多く存在
- 電車で大阪へアクセス便利。大阪の病院へ通うケースも
- 京都南部は医療資源乏しく京都から奈良に流入するケースもそれなりにある
- 診療科偏在もほとんどなし。比較的安定した地域医療体制が構築
奈良県の人口当たり医師数は全国平均レベルです。奈良県は、北部は比較的発展しているため医療施設も多くあります。また電車で大阪へすぐにアクセスできるため、大阪の病院へ通うケースも多いようです。逆に京都の南部は医療資源に乏しいため、京都から奈良に流入するケースもそれなりにあるようです。
診療科偏在も殆どなく、昔は、産婦人科で、多額の報酬を医師に用意したにもかかわらず結局あまりの激務でやめてしまった、などといったニュースもありましたが、現在ではそのような状況は改善し、比較的安定した地域医療体制が構築されています。
奈良県立医大(後期)志望の受験生が検討する受験校
後期までもつれこまず、前期で何とか決めたいですね。関西の医学部の前期試験のリンクを張りますので、第一志望校に、前期で入ってください!
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