<傾向と対策>東邦大学(医学部医学科)英語重点配点&難易度もかなり高い。理科も生物選択有利で、文系人間は受けやすい。ただし数学も基礎は抑えておくこと。

総評

  • 英強有利、生物選択有利、と極端な文系人間有利傾向。
  • 数学も何とか基本的なところは押さえておくこと。
英語有利、生物選択有利と極端な文系人間有利な傾向にあることが大きな特徴でしょう。しかしながらそのような受験生は数学が極端に苦手な傾向にあり、簡単なはずの数学で点数を落としてしまうこともよくありますので、何とか努力で数学の基本的なところは抑えて行きましょう。

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入試の基本情報と面接

  • 数学100点、理科150点、英語150点
  • 一次試験と同時に基礎学力試験を実施。SPIに準ずるマーク式&文章要約の記述式
  • 二次試験の面接は集団討論&個人面接。集団討論は15分程度、個人面接は数分の短い面接が5回実施される。お題に対する意見の回答が多い様子。
  • 補欠合格、繰り上げ合格等非公表で不明。
  • 学納金 2,580万(6年間)+α

 

国語 数学 理科 英語 面接 合計
100 150 150 400

<一般枠の配点/英語重視>
最も定員が多い一般枠について説明します。配点はやや英語重視な配点で、数学150、理科2科目で200、英語200です。

<基礎学力試験?>
一次試験と同時に基礎学力試験というテストも実施され、就職活動で用いるSPIに準ずる形式のマーク式のものと、日本語の文章の要約を行う記述式のものがあります。就職活動のSPIと聞いてあまりピンと来ないかもしれませんが、一番近いのは中学入試の国語や算数の問題です。故に、概ね、学力試験の成績とSPIの成績は正の相関関係にあると考えられます。二次試験の合否に用いられるようですが、どこまできちんと成績に反映しているかは正直なところ不明です。面接試験がメインとなる就職活動などとは異なり、コテコテの学力試験を実施する大学入試でSPIを実施する意味はあまり感じませんが、そういう問題があることは知っておきましょう。

<面接はGD&MMI>
一次試験に合格すると二次試験で、面接が実施されます。面接については集団討論と個人面接の2つで、集団討論は15分程度、個人面接は数分の短い面接が5回実施される形式です。

普通の面接で聞かれる話題はあまり聞かれず、お題が与えられてそれに対する意見を回答するなどの質問が多いようです。

<合格者の詳細には不明点多い>
東邦大学の入試統計では正規合格者の数だけしか発表されておらず、補欠合格者・繰り上げ合格者・一次合格者の数などすべて非公表です。故に二次落ちがどれくらいの頻度で起こっているのかも不明です。

<学納金>
ちなみに、学納金は6年間の合計で2580万円になり、私立の医学部としてはちょっぴり安めの学費となります。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点100/H85/M72/L65/L-58/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間90分、大問10問構成易しい~標準大半だが難問も含む。
  • 全体的に「取るべき問題」と「飛ばすべき問題」がはっきり。
  • 試験時間はちょうどよいか少し余る。※飛ばすべき問題を飛ばした場合
  • 頻出分野はほぼなし。マイナー分野含めて数学の全分野から出題。
  • 対策:網羅系問題集のインプット学習最重要後半の問題まで得点するなら、『やさしい理系数学レベルのアウトプット必要。ただし、英語が得意で数学が苦手な受験生が多いことを思うと、そのレベルまでは不要か。
大問分野難易度評価
1二次関数A*
2平面図形A*
3式と計算A*
4平面ベクトルB*
5数3微積B**
6整数A+
7場合の数(データの分析)B*
8対数関数ほかC*
9数3微積C**
10極限D**

<試験問題の概要>
制限時間は90分の試験で、設問は10問構成です。

全体的な難易度は易しいものや標準問題が大半ですが難しいものも含まれています。

令和2年度では大問1から7まで非常に易しい問題もしくは標準問題が並んでいます。大問8,9,10になると急に難しくなり、マイナー分野の理解や洞察力を要求する問題が散見されます。

全体的に、取るべき問題と飛ばすべき問題がはっきりわかりやすい傾向にあります。制限時間90分に対して、分量はちょうどいいくらいか少し余るくらいです。しかしこれは飛ばすべき問題をきちんと飛ばした場合に限ります。

なお、計算間違いなどがないようきちんと見直しの時間を取ってください。

<頻出分野>
頻出分野はほぼなく、データの分析などのマイナー分野も含めて数学の全分野から満遍なく出題されているようです。

<東邦大数学の対策>
基本戦略としては易しい問題や標準問題だけを拾っていくスタイルになると思いますので、網羅系問題集を用いたインプット学習が最重要課題でしょう。

殆ど、青チャートの例題そのままのような問題が大半を占めています。後半の難問まで得点したい場合はやさしい理系数学レベルのアウトプット演習が必要ですが、英語が得意で数学が苦手な受験生が多いことを踏まえると、このレベルは原則として不要でしょう。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点150/H120/M105/L95/L-90/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間90分、大問6問
    《難易度評価》
    1読解/約900語/C
    2 読解/約700語/B
    3読解/約800語/B
    4正誤/-/B~C
    5読解/約800語/B
    6和文英訳(選択式)/-/C
  • 全問回答するには明らかに時間足りない。
  • 対策:通常の単語帳のほか、テーマ別単語帳も重要。正誤問題対策が最も得点伸びやすい。
大問種別ワード数難易度評価
1読解約900C
2読解約700B
3読解約800B
4正誤 B~C
5読解約800B
6和文英訳
(選択式)
 C

<試験問題の概要>
90分の試験で、大問は6問です。

大問1は、語彙及び内容の専門性がいずれも高く、語彙レベルはやや難、内容レベルは難としています。生物選択なら内容についていけるか、といった感じで、物理選択であれば理解に苦しむ内容でしょう。設問は内容理解を問う問題が主で標準的な難易度ですが、同義語を答える問題などもあり、そのような設問であれば物理選択の受験生も多少は食らいついていきたいところです。

大問2も長文問題で、これもまた理系ネタですが大問1に比べるとまだ専門性は穏やかで、内容レベルはやや難、語彙レベルは標準としています。設問は全て空所補充となっており、全て選択肢も与えられていますので、内容が理解できているなら穴埋めするのはそう難しくないでしょう。

大問3も長文問題で、内容のレベルはやや難、語彙レベルは標準としています。設問のタイプは大問1とほぼ同様で、内容理解を問う問題が主ですが、一部の問題で難しい設問も紛れています。

大問4は正誤問題となっており、難易度は標準~やや難レベルです。これもまた正誤問題に特化したトレーニングを行わないと得点率は伸びない傾向にあります。

大問5はまた長文問題に戻り、内容は標準~やや難レベル、語彙レベルは標準的です。これもまた大問1や大問3と同様、内容理解を問う問題が主ですが所々にやや難の問題が紛れています。

やっと最後の大問6になります。英作文ということになるのですが、全問マーク式なので、課題の日本文に対して適切な訳となる英文を選択する形式となっています。選択肢が非常に紛らわしく、普通に王道的な英作文の勉強をしても点は伸びません。課題の日本文の微妙なニュアンスを的確に表現している文を選ぶ必要があり、難易度は高めです。

<時間配分に関して>
時間については、明らかに全問解答するには時間が足りません。

大問1のような専門性の高い文章に取り組むかどうかで戦略が変わります。生物選択の場合、大問1のような問題に取り組みやすいため捨て問にはしにくいですが、物理選択の場合はちんぷんかんぷんなので大問1を捨て問にしてしまった方が無難でしょう。

大問1を普通に取り組む場合は、正誤問題か英作文問題を捨て問にしてしまうのが適切なように思います。

<東邦大英語の対策>
極端に理系ジャンルの長文に偏っていることから、通常の単語帳に加え、リンガメタリカなどのテーマ別単語帳の利用することが重要でしょう。それに加えて、正誤問題対策も得点が伸びやすい対策と言えます。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点75/H70/M60/L55/L-50/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間120分(2科目)、大問3問
  • 無機の出題は控えめ、高分子は大問単位での出題も
  • 全体的な難易度は標準~やや難
  • 時間はちょうど良いか、やや厳しい
  • 対策:『重要問題集』はB問題までトレーニング。有機はやや奇抜な設定の問題が出るが、理論は王道な難問頻出の問題が多い傾向。理論中心に『重要問題集』のB問題レベルを反復練習するのが良いか。
大問分野分量ABC
1小問集合やや多70%30% 
2A理論やや多 50%50%
2B理論やや多 25%75%
2C理論やや少 100% 
3A有機やや少  100%
3B高分子標準50%50% 

<出題分野>
大問3問構成で、大問1が化学全分野の小問集合、大問2が理論、大問3が有機となっているパターンが多いようです。

無機については小問集合も含めて出題は控えめですが、高分子の関しては大問単位で出題されていることもあるようです。

<試験問題の概要>
令和2年度では、1番の小問集合の問題は、一部計算などが面倒なところもありますが、概ね基本的な問題が並んでいます。

大問2は理論の問題でA、B、Cの3つのパートに分かれています。いわゆる「難問頻出」のパターンの問題が多く、見たことあるけれども解けないんだよなあという受験生が多い気はしますが、決して受験生が解けない問題ではないので、化学が得意な受験生であればこの大問で圧倒的な差をつけることが出来たでしょう。

大問3はAパートで有機、Bパートで高分子でしたが、後半Bパートの方が基本的な問題です。Aパートは恐らくは大学一般教養レベルの出題ですが、一応誘導はそれなりについているのでその誘導の意味が理解できれば解けますがまあ殆どの受験生は落としてしまった設問でしょう。全体的な難易度は標準~やや難レベルです。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。時間に関してはちょうどよいくらいかやや厳しい程度です。

<東邦大化学の対策>
重要問題集はB問題も含めてトレーニングをしておきたいところです。ただこれ以上の対策の仕方については少し注意したいことがあります。

有機は例年、やや奇抜な設定の問題が出題される傾向にありますが、その一方で理論は王道的な難問頻出の問題が出題される傾向にあります。化学が得意な受験生は有機で点を稼ぎたい人は多いと思いますが、有機のトレーニングを積んでもここの有機の問題で得点できるかどうかは正直微妙です。理論の方が素直に努力が報われやすいので、理論分野を中心に重要問題集のB問題レベルの問題を何度も反復練習するような勉強の仕方のほうが良いでしょう。

ちなみに、有機は奇抜な問題が多いですが、高分子は素直な問題が多いです。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点75/H65/M55/L50/L-47/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間120分(2科目)、大問7問
  • 原子含む全範囲から出題
  • 時間非常に厳しい。問題の取捨選択をしながら解いていく必要アリ。
  • 対策:『重要問題集』のA問題レベル、『名門の森』レベルで構わないが、苦手分野作らないように物理全範囲の勉強を心がけること。
大問種別分量ABC
1力学やや少80%20% 
2力学標準80%20% 
3波動標準80%20% 
4やや多80%20% 
5電磁気やや多 50%50%
6原子やや少 100% 
7波動標準 40%60%


<試験問題の概要>
令和2年度では、大問1、大問2の力学は良くある設定の問題ですが、後半の設問に関しては残り時間と相談して飛ばしてしまうのもありです。

大問3と大問7に波動の問題がありますが、大問3はややマイナーネタであるため差のついた問題と考えられます。大問7については難しいテーマを扱った問題であるため時間の制約なども考慮すると得点率はあまりよくなかったと考えられます。

大問4は熱の問題で、普通の難易度なのですが分量が多いので焦って解く羽目になった受験生も多かったんじゃないかと思われます。

大問5が電磁気の問題で、文字が多く煩雑で、計算にも工夫が必要な問題です。得意な受験生なら何とか、といった類の問題となっています。

大問6は原子の問題で、原子をきちんとやっていれば満点が狙えた問題でしょう。

<出題分野の傾向>
大問7問構成で、原子も含め物理の全範囲から出題されているようです。理科については小問ごとの難易度評価をつけ、その結果を表にまとめています。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。時間については、大問が7問もあるので、非常に厳しくなっています。すぐに解答できる問題と、非常に時間のかかる問題が混在しているので、問題の取捨選択をしながら解いていく必要があります。

<東邦大物理の対策>
重要問題集A問題や、名問の森の★レベルで構いませんが、極端な苦手分野が出ないよう、広く浅くでいいのできちんと物理の全分野を勉強するように心がけてください。

生物の対策

<目標得点ライン>
満点75/H70/M65/L57/L-52/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 試験時間120分(2科目)、大問5問
  • 分野の偏りほとんどなし。
  • 基礎~標準レベルの問題が大半。少しだけ、考察もあり。
  • 時間多少余る人が多いか。
  • 対策:『基礎問題精講』等の標準的な問題集まででもOK。余裕があれば網羅系問題集も。遺伝対策もできればばっちり。東邦大学のその他の入試制度
大問分野分量ABC
1生態やや少75%25% 
2神経やや少15%70%15%
3代謝標準55%45% 
4発生やや多25%20%55%
5分子生物やや少100%  

<試験問題の概要>
大問1は生態の問題で、医学部受験生は苦手な受験生も多いかもしれませんが、基本的な問題ばかりなので満点も狙いたいくらいの難易度です。

大問2は神経の問題で、だいたいは基本的な問題ですが、厳密な理解を要求する問題もちらほらあります。

大問3は代謝の問題で、殆どが基本的な問題でしたが一部の計算問題で若干の差がついたかもしれません。

大問4は発生の問題で、後半の問題はコテコテの考察問題になっています。解ける人と解けない人である程度差のついた問題かと思われます。

大問5は分子生物の問題でしたが殆どが知識問題で、平易な問題ばかりでした。


<出題分野の傾向>
東邦大生物は分野の偏りが殆どありません。生態や植物生理、進化などの分野も含め、満遍なく出題が見られます。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので生物には60分程度の時間は割けます。 時間については、多少余る受験生が多いんじゃないでしょうか。考察問題があまり多くなく、知識問題がメインになりますので、物理や化学ほどは時間はかかりません。

<東邦大生物の対策>
基礎問題精講などの標準的な問題集まででも構いませんが、余裕があれば、生物重要問題集や大森徹の最強問題集など、網羅性の高い問題集にも取り組むとより得点が伸ばせるでしょう。遺伝対策まで出来ればバッチリです。

東邦大のその他の入試情報

  • 《総合入試》
  • 定員10名/一浪までOK評定は全体で3.8以上、理数で4.0以上が条件
  • R3では10名定員だが14名の合格者。
  • 基礎学力試験、面接、調査書に加え、適性試験が実施される(中身は不明)。
    《同窓生子女入試》
  • 定員約5名。東邦大医学部在学生または卒業生に二親等以内の親族がいることが条件。
  • 試験形式は同上。
    《付属校限定 推薦入試》
  • 東邦大付属東邦高校、駒場東邦高校出身の高校生が対象。いずれも高偏差値の高校。
    《千葉県地域枠》
  • 試験内容は一般入試と同じ。奨学金なしの一般枠と併願可能。
  • 卒後9年間の縛りがある一般的なもので、原則として20万/月の貸与。
  • 詳細は大学HP及び千葉県のHPをチェック。

<総合入試>
定員は10名程度、一浪までOKで、評定の縛りがかなりゆるく、全体で3.8以上、理数は4.0以上が条件となっています。令和3年度では、専願制で約10名の定員のはずですが合格者数は14名出しています。基礎学力試験、面接、調査書に加え、適性試験なるテストが実施されます。

ただこの適性試験の中身については、不明点が多いです。基本的には、人物評価が中心の試験であると考えられ、高校での課外活動などで大きくPR出来るものがあれば積極的に出願してみましょう。次に同窓生子女入試です。

<同窓生子女入試>
約5名の定員があり、東邦大学医学部在学生または卒業生に二親等以内に親族がいることが条件です。両親が東邦大学医学部出身であればもちろんOKですし、お兄さんが在学中だとか、お祖父さんがOBであるなどでもOKです。

これもまた試験科目は基礎学力試験、面接、調査書に加え適性試験があります。

意外とたくさんの受験者数があり、たくさん落ちています。

<付属校限定推薦入試>
次に東邦大学付属校限定の推薦入試制度があります。東邦大学付属東邦高校、駒場東邦高校の出身の高校生が対象です。いずれも高偏差値の進学校で、特に駒場東邦高校は東邦大学医学部に一般で入るより難しいでしょう。

<千葉県地域枠/一般入試と同時実施>
最後に一般入試と同時に試験をする千葉県地域枠について説明します。試験の内容は一般入試と同じで、奨学金なしの通常の一般枠とも併願可能です。千葉県の奨学金は卒後9年の縛りがある一般的なもので、原則として月額20万の貸与があります。詳細は大学HP及び千葉県のHPをご覧ください。

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