<傾向と対策>帝京大学(医学部医学科)英+生+国の超文系戦略も可?科目選択の自由度が高すぎる特殊な医学部。

総評

  1. どの科目も平易。得意科目で勝負できるため、高得点勝負になる。
  2. 科目選択の自由度が大きく、本人の適性に応じて様々な受験戦略が取れる。
英語+生物+国語の限りなく文系に近い科目編成で受験できるのが大きな特徴

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入試の基本情報と面接

  • 《科目(配点)》※科目選択の自由度高い。
    [必須]英語100点
    [選択]数学、物理、化学、生物、国語から2科目選択(各100点)
  • 一次試験は3日程のいずれを受験してもOK。日程ごとに難易度に若干のばらつき
  • 一次試験合格で二次試験(課題作文+面接)。面接:個人/10分程度/一般的な内容
  • 学納金 3,744万円2,000円(6年間)+α
  • その他の入試制度
    公募制推薦(10名)、共通テスト利用入試(10名)
国語 数学 理科 英語 面接 合計
100 100 100 100 300

<科目選択の自由度高い>
帝京大学は科目選択の自由度が非常に高く、英語が必須、数学、物理、化学、生物、国語の5科目から2科目選択する形式です。たとえば英語+物理+化学という組み合わせも、英語+生物+国語という非常に文系チックな選択の仕方も出来ます。

<3日程あり、全部受ければ「当たり外れ」は平均化する>
一次試験は3日程実施され、どの日程を受験しても構いませんし、併願も可能です。日程ごとの試験の難易度は概ね一定ですが若干のバラツキもあり、日程と科目選択で勝ち組、負け組が発生することもあります。大きく平均点が乖離した場合は得点調整もあるようですが、細かい差については多分そのままです。3日程のうち最も良い成績で一次試験の合格判定が行われます。

<面接は普通。>
一次試験に合格すると二次試験で、課題作文と面接が実施されます。面接については個人面接で、凡そ10分程度で、概ね普通のことが聞かれるようです。

<学納金>
学納金は6年間の合計で3744万2000円+諸経費となっており、私立医の中でもけっこうな金額です。

<その他の入試制度>
帝京大のその他の入試制度には、評定4.0、現役縛りの公募制推薦入試で10名の定員、共通テスト利用入試で10名の定員があります。一般入試以外の入試形式ではあんまり変わった科目選択は出来ません。詳細は大学HPをご覧ください。

数学の分析<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L75/L-70/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間:120分(選択2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1(1)A* (2)B* 2B* 3(1)A* (2)A* 4(1)A* (2)B*
  • 全体的な難易度は「やや易」。
  • 試験時間はちょうどよいか少し足りない程度。
  • 1A2Bからまんべんなく出題されている。
  • 対策:網羅系問題集でのインプット学習必須。アウトプットはセンター試験や共通テストの過去問を使用するのがおすすめ。
問題番号難易度
1(1)A*
1(2)B*
2B*
3(1)A*
3(2)A*
4(1)A*
4(2)B*

<試験問題の概要>
選択科目2科目併せて120分なので、数学には60分割けます。令和2年度の難易度評価は、大問1(1)はA、(2)はB、大問2はB、大問3(1)はA、(2)はA、大問4(1)はA、(2)はBとしました。全体的な難易度はやや易です。数3からの出題はなく、数1A2Bからのみの出題です。殆どかつてのセンター試験や共通テストとよく似た傾向ですが、誘導小問はやや少な目、問題難易度そのものもやや低めです。結局センター試験や共通テストの類題であるため、分量に対して時間はちょうどよいくらいか少し足りないくらいの受験生が多いでしょう。

<頻出分野>
数3から出題はありませんが、数1A2Bからは満遍なく出題されています。

<帝京大数学の対策・インプット編> 
網羅系問題集を用いたインプット学習は必須でしょう。

<帝京大数学の対策・アウトプット編>
問題集よりは、センター試験や共通テストの過去問を利用する方が最も良いでしょう。

英語の分析<60分・4問>  

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L75/L-70/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間:60分間
  • 大問ごとの難易度評価
    1.長文・B 2.長文・B 3.長文・B 4.並び替え・B
  • 時間は苦手でなければ完走できる程度。
  • 対策:比較的オーソドックスな問題のため、特化した対策は不要。苦手であれば並び替えは対策した方が良い。 
問題番号分野難易度
1長文B
2長文B
3長文B
4並び替えB

<試験問題の概要>
制限時間は60分です。大問1から大問3までは長文で、大問4は並び替え問題です。大問1は長めの長文ですが、大問2と3は分量そのものは控えめです。長文の中には和訳の問題などもありますが、そう特別な問題でもなく、普通に英語の勉強を続けてもらえば素直に点が取れます。最後の並び替えはかつてのセンター試験くらいか、それより少し難しいくらいのものですが、苦手なら練習をしておきましょう。

<時間配分に関して>
英語が苦手でなければ普通に完走できるくらいの分量です。

<帝京大英語の対策>
比較的オーソドックスな問題であるため特別な対策は必要ありません。苦手な場合は並び替えだけ多少対策したほうがいいかもしれません。

化学の分析<60分・4問>  

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L75/L-70/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間:120分(選択2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.理論・B 2.無機・B 3.有機・A 4.高分子・B
  • ほとんど基本問題だが、マイナー知識問題、演習力を問う問題が紛れている。
  • 知識問題多いため、時間には多少の余裕あり。
  • 対策:理論は『重要問題集』A問題レベル、無機・有機・高分子はB問題レベルまで演習。
問題番号分野難易度
1理論B
2無機B
3有機A
4高分子B

<出題分野の傾向>
令和2年度では理論1問、無機1問、有機1問、高分子1問のセットでした。無機は毎年出題され、高分子が時々出ます。現役生で高分子の学習が遅れがちであれば意識的に対策しておきましょう。

<試験問題の概要>
選択科目2科目併せて120分なので、化学には60分割けます。殆どの問題は基本問題でそう難しくありませんが、ややマイナー知識であったり、演習の経験がないと難しい問題が紛れており、このような問題で差がつきそうです。

<時間配分に関して>
知識問題も多く、計算量はそこまできつくないので、多少余裕が出る受験生が多いかと思われます。

<帝京大化学の対策>
理論に関しては『重要問題集』A問題レベルの演習で構いませんが、無機・有機・高分子などの知識問題に関してはB問題レベルまで演習することを薦めます。

物理の対策<60分・4問>  

<目標得点ライン>
満点100/H95/M85/L80/L-75/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間:120分間(選択2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.力学・B 2.力学・A 3.波動・B 4.電磁気・B
  • 全体的に基礎〜標準レベル。時間ちょうどいい。
  • 対策:『重要問題集』A問題、『良問の風』レベルまで取り組めば十分か。
問題番号分野難易度
1力学B
2力学A
3波動B
4電磁気B

<出題分野の傾向>
大問4問構成で、令和2年度では、力学2問に電磁気1問、波動1問というセットでした。力学2問は概ね固定で、波動の代わりに熱か原子が出ることもあります。

<試験問題の概要>
選択科目2科目併せて120分なので、物理には60分割けます。全体的に基礎~標準レベルの問題です。

<時間配分に関して>
分量はそれほどでもないので、制限時間はちょうどいいくらいです。

<帝京大物理の対策>
『重要問題集』A問題や、『良問の風』レベルまで取り組めば十分でしょう。

生物の対策<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M85/L80/L-75/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 試験時間:120分間(選択2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.体内環境・A 2.分子生物・A 3.体内環境・A 4.分子生物&植物生理・B
  • かなり平易な知識問題が多く、考察問題もそれほど難しくない。
  • 時間にもかなり余裕あり、見直し必須。
  • 対策:標準的な問題集で構わないが、余裕があれば網羅性の高い問題集までやると◎。遺伝はほとんど出題なく特別な対策不要。
問題番号分野難易度
1体内環境A
2分子生物A
3体内環境A
4分子生物&植物生理B

<出題分野の傾向>
帝京大生物は分野の偏りが若干あります。体内環境や分子生物が頻出で、他の分野はまんべんなく出題されています。生態や植物生理からも出題があるので要注意です。

<試験問題の概要>
選択科目2科目併せて120分なので、生物には60分割けます。全体的にかなり平易な知識問題が多く、考察もありますがそう難しくありません。

<時間配分に関して>
時間はかなり余裕があるので、考察問題にも時間を割くことが出来ます。見直しをきちんとしてミスがないようにしましょう。

<帝京大生物の対策>
『基礎問題精講』などの標準的な問題集で構いませんが、余裕があれば『重要問題集』や『大森徹の最強問題集』など網羅性の高い問題集まで取り組んでも良いでしょう。遺伝に関しては殆ど出題がありませんので、特別な対策は必要ありません。

国語の対策<60分・2問> 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M85/L80/L-75/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 試験時間:120分間(選択2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.評論・B 選択1.評論・B 選択2.評論・B
  • かなり平易な問題。得意なら8割程度とれる。
  • 時間にもかなり余裕あり。ケアレスミス注意。
  • 対策:記述問題が含まれる現代文の問題集で細々と演習を続ける程度でOK。
問題番号分野難易度
1評論B
選択1評論B
選択2評論B

<出題分野の傾向>
令和2年度の試験では選択問題として古文や漢文も選べましたが、令和3年度以降は現代文のみになりました。現代文は評論ばかり出題されており、小説の出題例はありません。設問に関しては普通で、漢字の書き取りや接続語、語句の穴埋めなどよくあるような問題が並びます。記述の問題も少々ありますが、本文中の表現を流用して解答できるので採点基準や部分点に悩むこともないでしょう。

<試験問題の概要>
選択科目2科目併せて120分なので、国語には60分割けます。漢字など一部の問題で少し難しい設問もありますが、全体的にはかなり平易な問題で、国語が元々得意な受験生ならあまり労せずして8割程度の点数もとれてしまうでしょう。

<時間配分に関して>
時間はかなり余裕がありますので、きちんと見直しをしてケアレスミスが無いようにしてください。

<帝京大国語の対策>
記述の問題も含まれる通常の現代文の問題集で細々と演習するくらいで良いでしょう。志望度が高ければ、漢字の勉強などもしておいても良いかもしれません。

全体の得点戦略

  • 英/生/国で帝京大特化した受験はアリ。ただし留年・放校のリスクに注意。
  • 英/生/化などの方がリスク少なく無難。
HMLL-満点
数学90807570100
英語90807570100
物理95858075100
化学90807570100
生物90858075100
国語90858075100
合計272241226216300

令和2年度における帝京大学医学部の合格最低点は215点と発表されています。この最低点は繰り上げ合格者の得点です。故に、繰り上げ合格のLマイナスライン合計が216点になるように設定しました。この合計の計算では、必須科目である英語の点数に、選択科目1科目ぶんの平均点を2倍したものを足し合わせています。

<得意科目で勝負できるため、超高得点勝負>
帝京大の入試は、どの科目も非常に平易であり、かつ英語以外は得意科目で勝負できるため、高得点勝負となっています。英語さえ苦手でなければとりあえず受験候補に入れておきたいところです。日程によって若干の難易度のばらつきがあり、得点調整も必ずあるとは限りませんが、平均すると科目の有利不利は殆どないと考えられるため、基本的には自分の得意科目で勝負するのが良いでしょう。

<英+生+国の帝京単願…アリだと思います。>
また、何と言っても帝京大学の大きな特徴である英語+生物+国語の限りなく文系に近い科目編成で受験するのは、個人的にはアリだと思います。ただし国語、特に現代文は得点を伸ばしづらい科目ですので、初見で7割を割り込む点数であればおとなしく化学にシフトする方が賢明です。一方、国語が元々得意なら、そのぶん英語や生物の勉強に専念できます。また、他の大学には目もくれず、帝京大学を一本釣りする戦略も個人的にはアリだと思います。3回も日程があるので、3回とも受験すれば科目の有利不利の影響はかなり軽減されるでしょう。

<留年・放校リスクには注意>
ただし、入試の戦略としてはかなり強力ですが、入学後の留年や、最悪放校になるリスクが大きいことには注意しておきましょう。他の大学に比べて放校の基準が厳しく、入ってからの方が色々シビアです。入学後の留年・放校リスクを減らすなら、英語+生物+化学などが無難かと思われます。この科目選択なら、少なくとも低学年で留年することは殆どないでしょう。高学年の成績は入試の成績とあまり大きな相関はありません。

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