<傾向と対策>昭和大学(医学部医学科)-国語解禁されたがかなり難しいので非推奨。理科に癖があるが、本当に差がつくのは英数か。

総評

  1. 英・数を通しで行う試験でスピード勝負
  2. 理科はやや癖のある問題が多いが求められる得点率も高くない
  3. 国語選択が解禁されたが現状おすすめできない
英語・数学を通しで行う試験でスピード勝負となること、理科はやや癖のある問題が多いが求められる得点率も高くないこと、国語選択が解禁されたが現状おすすめできないこと、あたりが抑えておきたいポイントでしょう。

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入試の基本情報と面接

  • 《配点》数学または国語(100)、 英語(100)、理科2科目(200)
  • 一次合格で二次試験(小論文(30)+面接(70))
     面接:約10分程度/個人/寮生活必ず聞かれる
  • 学納金 約2,700万円(6年間)+α
    上位合格82名は特待生(授業料300万免除)
  • その他の入試制度
    一般入試Ⅱ期(20名)
    学校推薦型選抜(2名):特別協定校のみ
    卒業生推薦入試(5名):親族に昭和大の卒業生
    ※一般入試Ⅰ期にはおそらく新潟県地域枠7名、静岡県地域枠5名の定員。
国語 数学 理科 英語 面接 合計
(100) (100) 200 100 70+小論分30 500

<一般入試前期の配点>
配点は理科が2倍の配点で、数学または国語100点、英語100点、理科2科目で200点の配点となっています。令和3年度より国語選択が可能になり、数学の代わりに国語で受験できることが大きな特徴です。

<面接に関して>
一次試験に合格すると二次試験で、小論文と面接が実施されます。小論文に30点、面接に70点の配点があります。面接については約10分の個人面接になっています。概ねふつうの質問がされますが、1年次は寮生活になるため、その寮生活に対してどう思うかは必ず聞かれるようです。友達を作る良いチャンスだと思って、ポジティブな受け答えを心がけましょう。

<学納金は安め/1年次の寮生活費も有り。>
学納金は6年間の合計で約2700万+諸経費となっており、私立医の中でも、少し安めの学費になってきます。諸経費の中には1年次の寮生活費82万7000円があります。一人暮らしの生活費に比べるとまあお安くなるんじゃないかと思います。なお、一般入試I期の上位合格者82名は特待生扱いになり、初年度の授業料300万円が免除されます。

<その他の入試制度>
昭和大学のその他の入試制度について説明します。
・入試日程が異なるだけの一般入試II期で20名の定員
・特別協定校のみの学校推薦型選抜で2名の定員
・親族に昭和大卒業生を求める卒業生推薦入試で5名の定員
があります。一般入試I期とII期で合格難易度に大差ありません。

また、一般入試I期の中には新潟県地域枠で7名、静岡県地域枠で恐らく5名の定員があります。地域枠のほうがかなり難易度は易しくなるようです。全体的に、推薦入試などの定員は多くなく、概ね一般入試勝負のようです。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L65/L-60/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 時間:140分間(英語含む)
  • 難易度評価 
    ①図形と方程式・B*
    ②整数/小問集合・A1問・B2問
    ③(1)確率・A*   (2)数Ⅲ微積・B**
    ④(1)数Ⅲ微積/二次曲線・B* (2)確率・A*
  • 全体的な難易度はやや易しい~標準レベル。
  • 分量は適切かやや多め。英語と合わせて通し演習を。
  • 大問1は図形問題、大問2以降は確率・数Ⅲ微積が頻出。
  • 対策:網羅系問題集でのインプット学習必須。アウトプットは『チョイス』+『標準問題精講』で安定。
問題番号分野難易度
1図形と方程式B*
2整数/小問集合A1問、B2問
3(1)確率A*
3(2)数Ⅲ微積B**
4(1)数Ⅲ微積・二次曲線B*
4(2)確率A*

英語とセットで実施され、制限時間は2科目併せて140分です。大問4問構成ですが、一貫した大問となっているのは大問1のみで、大問2以降は独立したテーマの小問集合となっています。すべて答えだけを記述する形で、過程に関しては記述する必要はありません。難易度評価としてはA及びBが多く、極端に難しい問題もありません。

<試験問題の概要>
全体的な難易度はやや易しい~標準レベルといって良いでしょう。大問1のようなオーソドックスな国公立らしい問題もありますが、大問2以降についても、パッと見ヤバそうな問題ですが、ただの見掛け倒しで実は大したことのない問題で、これはどちらかというと私立らしい問題と言えます。

<時間配分>
制限時間を70分とするなら、問題の分量は適切かやや多めです。ただし英語の分析でも論じますが、英語はかなり軽い問題となっているため、数学には恐らく90分程度取れる受験生が多いんじゃないでしょうか。ただこれは個々の受験生の英語力にも因りますので、過去問演習は英数バラバラにやらずに、通し演習をやるように心がけましょう。

<頻出分野>
大問1は何かしらの図形問題が出題されており、ベクトル・複素数平面・図形と方程式の分野から選ばれるようです。大問2~4に関しては、確率と数3微積が頻出です。確率に関しては期待値に関する出題が特に多いようです。

<昭和大数学の対策>
昭和大の数学の対策としては、基礎~標準問題中心の出題であるため、網羅系問題集を用いたインプット学習は必須となるでしょう。アウトプット演習はチョイス新標準問題集などの易しい問題集に加え、標準問題精講や数学重要問題集などのレベルまで取り組むと、大問1の得点率も含めて安定するでしょう。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L75/L-70/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 時間:140分間(数学含む)
  • 難易度評価 
    ①文法・A
    ②長文・A
    ③長文・B
  • かなり余裕があるが、同時に解くもう1科目が時間タイト。
  • 英語はなるべく短時間で終わらせる必要。50分くらいが理想的か。
  • 対策:文法問題の取りこぼしが無いように。記述式問題の練習も行っておくこと。過去問は数学とセットで演習。
問題番号分野難易度
1文法A
2長文A
3長文B

数学とセットで実施され、制限時間は2科目併せて140分です。

<試験問題の概要>
大問3問で、1問は文法、2問は長文問題となっています。文法問題はかつてのセンター試験で出題されていた程度のもので、なるべく全問正解を狙っていきたいところです。長文もかなり簡単なのですが、和訳問題や内容説明問題が何問か入ってきており、これらの問題の出来で若干の差がつきそうです。

<短時間で終えることが出来るが数学/国語の時間がタイト>
制限時間が70分とするならかなり余裕のある分量なのですが、もう片方の科目が数学を選ぶにせよ国語を選ぶにせよ、かなりタイトになるので、英語はなるべく短時間で済ませる必要があります。50分くらいで終えることができると、かなり楽になるでしょう。

<昭和大英語の対策>
昭和大の英語の対策としてそう特殊なものはありませんが、強いていうなら平易な文法問題の取りこぼしが無いようにしたいことと、記述式問題の練習を行うことでしょう。また、過去問演習は数学とセットで行い、英語にかける時間をなるべく短く出来るようにトレーニングしたいところです。

国語の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H82/M70/L62/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 時間:140分間(英語含む)
  • 難易度評価 
    ①評論・B
    ②評論・C
    ③評論・C
    ④評論・B
  • 70分で解くにはタイトだが、英語が短時間で終わるため、それほど時間は苦しくないか。
  • 対策:二次試験で国語が出題される大学に準じた対策。漢字書き取り、『得点奪取現代文』などのハイレベルな記述問題集まで取り組んでおきたい。 
問題番号分野難易度
1評論B
2評論C
3評論C
4評論B

数学の代わりに国語を選択でき、英語とセットで2科目140分という制限時間になります。

<出題範囲の偏りと難易度>
すべて現代文で、評論文ばかりです。課題文のテーマは医療に関する哲学的な内容に偏っており、やや難易度の高い文章となっています。設問に関しても選択式が多いですが記述式の問題も散見されます。選択式の問題は、接続語の挿入などのオーソドックスな問題から、論理を問うような少し変わった形式の出題もあります。記述式に関しては、平易な問題もあるものの、難しい課題文をきちんと理解した上で、ポイントが文章のあちこちに散らばっている問題もそこそこあります。また漢字の書き取りなどの問題もあり、これは標準的な難易度です。

<制限時間>
制限時間を70分とするならかなりタイトですが、実際のところは英語がかなり短時間で終わるので、それを考慮すればそこまで時間が苦しいわけではないでしょう。

<昭和大国語の対策>
昭和大の国語の対策としては、二次で国語の出題される大学に準じた対策が必要になります。漢字の書き取りの練習も必要ですし、問題演習に関しても、「得点奪取現代文」などのハイレベルな記述用問題集の水準まで取り組みたいところです。

<国語選択について>
正直なところ、数学選択のほうが良いかと思われます。国語選択での合格は不可能とは言いませんが、数学を学習するのと同じくらいの時間を割いて受験勉強をしないと、このレベルの問題でしっかり得点することは出来ないと考えています。同じく国語受験が可能な大学に帝京大がありますが、帝京大の国語は軽量対策でもどうにかなりますが、現状の昭和大はそこまで緩い感じではありません。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M75/L65/L-60/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 時間:140分間(2科目)
  • 難易度評価
    ①高分子・B
    ②有機・B
    ③有機・B
    ④理論・B
  • 全体的に標準~やや難レベルもマニアック知識問題多い。
  • 計算量が多く時間に余裕なし。有機や高分子のマニアック知識問題では差がつかないと考えられる。
  • 対策:『重要問題集』A問題レベルをスピーディーかつ正確に解けるように。そのうえでB問題レベルにも取り組めると◎
問題番号分野難易度
1高分子B
2有機B
3有機B
4理論B

理科2科目併せて140分なので、化学には70分割けることになります。

<出題範囲の偏り>
令和3年度では理論1問、有機2問、高分子1問のセットでした。理論に関しては小問集合の大問が必ず一つは含まれます。例年、理論が半分くらいの年度が多いですが、今年度は有機に偏った試験となりました。高分子に関してはマニアックな知識も含め頻出ですが、無機に関しては出題頻度もあまり高くないようです。

<試験問題の概要/高分子のマニアック知識問題が有名>
全体的に標準〜やや難レベルの問題が中心となっておりますが、高分子の分野を中心に、マニアックな知識問題の出題が多いことで知られています。令和3年度ではまだマシですが、例年はアミノ酸・糖・核酸などの天然高分子の分野でかなり細かい知識を聞いてくる傾向があります。一方で、合成高分子の問題はほぼ見られないので、試験直前期には天然高分子中心の学習を心がけましょう。制限時間も比較的長いことから、医学部受験生の中でもきちんと差がつきそうな出題です。

<制限時間/マニアック知識より、正確な計算力が最重要。>
制限時間は70分ありますが、計算問題の分量がかなり多いため、あまり時間に余裕がありません。有機や高分子のマニアック知識に目を奪われがちですが、本当に差がつくのは理論の計算速度と正確性だと考えています。理論の計算量がかなり多く、最後まで正しく計算できる受験生は意外と多くないと思っています。計算力を要求される試験は私立の他の大学でもよくあるので、計算力を意識した学習は昭和大に限らず、汎用性の高い学習方針と言えるでしょう。

<昭和大化学の対策>
昭和大の化学の対策としては、まずは重要問題集A問題レベルでも良いので、スピーディーかつ正確に問題を解くための練習が最優先となるでしょう。その上でB問題相当の問題にも取り組めると理想的です。有機や天然高分子のマニアック知識は、入試の直前期に一気に詰め込む分に関しては悪くない対策かと思われます。とはいえ短期記憶勝負で、あまり学習の初期段階で詰め込み過ぎるのもよくありません。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L60/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 時間:140分間(2科目)
  • 難易度評価
    ①力学・C
    ②電磁気・B
    ③熱・B~C
    ④波動・B
  • 全体的に標準~やや難レベル。無理と思ったら飛ばす必要。
  • 難問を飛ばしながら進めれば時間は間に合う。
  • 対策:求められる得点率が高くないため、最低限では『重要問題集』A問題、『名問の森』★レベルで構わない。時間タイトで難問演習が得点につながるか微妙。
問題番号分野難易度
1力学C
2電磁気B
3B~C
4波動B

理科2科目併せて140分なので、物理には70分割けることになります。

<出題範囲の偏り>
大問4問構成で、令和3年度では、力学1問、電磁気1問、波動1問、熱1問というセットでした。原子に関しても出る年度は出るので、無対策という訳には行きません。

<後半にやや難の問題も混じる。取捨選択が必要>
全体的な難易度は標準〜やや難くらいでしょう。一部の大問の後半の設問はかなりの難問が混じっていることがあります。無理そうだと思ったらパパっと飛ばして、次の問題へ行く必要があります。

<制限時間/たっぷりあるが難問は飛ばそう>
制限時間は70分ありますが、難しい問題は飛ばしながら進めていけば間に合うといった感じになります。

<昭和大物理の対策>
昭和大の物理の対策としては、求められる得点率はそう高くはないので、ミニマムの対策としては重要問題集A問題や名問の森★相当の問題まででも構いません。それより上のレベルの問題集も悪くはないのですが、理科トータルとして時間は結構切羽詰まっているので、難問演習が実際の得点に繋がるかと言われると、微妙なところです。

生物の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M85/L77/L-70/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 時間:140分間(2科目)
  • 難易度評価
    ①代謝・A
    ②生態・B
    ③発生・A
    ④体内環境・B
    ⑤分子生物・A 
  • 全体的にやや易しいレベル。知識問題がメインの傾向。
  • 時間は余裕あり。化学に時間を割くと良い。
  • 対策:『基礎問題精講』等の標準的な問題集に加え、『生物用語の完全制覇』などに取り組めると◎。遺伝はほとんど出題なく対策は不要。
問題番号分野難易度
1代謝A
2生態B
3発生A
4体内環境B
5分子生物A

理科2科目併せて140分なので、生物には70分割けることになります。

<出題分野の偏り>
昭和大生物の分野の偏りはあまりありません。体内環境と分子生物が最頻出ですが、生態や植物生理、進化と系統からの出題も大問1問分はあるようです。

<試験問題の概要/知識の穴埋め問題が今でもメイン>
全体的な難易度はやや易しいレベルです。かなり昔の年度の問題で、とんでもない数の知識の穴埋め問題が出題されていることが話題になっていますが、現状あのレベルの激しいものは出題されていません。とはいえ今でも穴埋め問題の分量はかなり多く、知識問題がメインの出題傾向があります。一部、教科書の範囲外と思しき問題も散見されますが、今年度に関してはそのような問題は控えめだったようです。

<制限時間に関して>
制限時間は70分ありますが、知識問題メインの出題傾向であることから、時間にはけっこう余裕が出てきます。化学がかなりタイトなので、化学に時間を割くと良いでしょう。

<昭和大生物の対策>
昭和大の生物の対策としては、基礎問題精講などの標準的な問題集に加え、めちゃくちゃ多い穴埋め問題の対策のために、「生物用語の完全制覇」などの問題集に取り組めるとより良いでしょう。余裕があれば、生物記述論述問題の完全対策などの問題集に取り組むことができるとベストですが、論述問題の数はそれほど多くないので、マストではありません。遺伝に関しては殆ど出題されておらず、対策は不要です。

全体の得点戦略

  • 一歩抜きん出るには「計算力・処理速度・時間配分」の3点が必要。
  • R3より国語解禁されたが難度高く、高得点期待できないためおすすめできず…
HMLL-満点
数学85706560100
英語90807570100
物理85706055100
化学85756560100
生物90857770100
国語82706255100
合計345295265245100

<全体の得点戦略/計算力や処理速度が重要>
令和3年度における昭和大学の合格最低点は247点で、これは繰り上げ合格の最低点となっています。今回の分析では、数学・物理選択者の繰り上げ合格ギリギリのラインであるLマイナスラインを400点満点中の245点と設定しました。多くの受験生が6割前後くらいの点数で四苦八苦していると考えられますが、そこから一歩抜きんでて安定した合格を勝ち取るために必要なのは、「計算力・処理速度・時間配分」の3点になるかと思われます。

数学&英語のパートでは、平易な英語をいかに早く処理をして、数学の問題をいかに多く解けるかが勝負になってくるでしょう。理科に関してはやや生物選択有利感はありますが、化学の計算力や時間配分の戦略次第で大きく点差がつくでしょう。理科2倍配点ではあるのですが、特に英数の処理速度で大きく差がつくと考えられ、現役生の合格率もそう悪くなさそうな印象を受けました。

<国語選択可能になったがおすすめできず>
令和3年度より国語選択が解禁されましたが、難易度は高めで、また数学のように高得点を狙えるわけでもないため、おすすめしません。数学と同じくらい時間を割いて現代文の勉強をする分に関しては何とかキャッチアップ出来そうですが、併願校がかなり限られてしまうこともあるので、やはりトータルとしては苦しい戦いを強いられるでしょう。どうせ極端な戦略をやるなら、帝京大の英・国・生の3科目受験の専願であったり、ハンガリー医学部の受験などのほうが、理科の勉強を大きく軽量化できる効果もあり、こちらのほうをお勧めします。

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