<傾向と対策>東京医科大学(医学部医学科)標準的な問題だが制限時間はかなりシビア。過去問演習多めで、時間配分の練習を。

総評

  • 問題難易度は概ね標準的。
  • しかし、時間の制約が厳しいため、過去問演習を通して時間配分の最適化が肝心
東京医大の入試は私立入試のスケジュールの後半戦にあたるようで、現状しっかりと過去問演習が出来ている受験生は少ないように見受けられます。本格的な私立入試が始まる前に予め5年分ほど、少なくとも英語や理科などでは取り組んでおき、本番までにもう1年分解く、それくらい練習できるだけでも大きくパフォーマンスが変わってくるように思います。

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入試の基本情報と面接

  • 数学100点、理科200点、英語100点
  • 二次試験:小論文(60点)+面接(40点)。点差つく内容のため対策必要
  • 面接は10分程度で概ね一般的な内容
  • R3は定員79名、一次合格352名。二次合格273名(補欠含む)。
  • 補欠合格者は最終合格まで至っている様子
  • 学納金 2,940万(6年間)+ α

 

国語 数学 理科 英語 面接/小論 合計
100 200 100 40/60 500

<一般枠>
配点は私立の一般的な配点です。一次試験に合格すると二次試験で、小論文試験と面接が実施されます。小論文で60、面接で40点の配点があります。

<面接に関して>
そこそこ点差もつくらしく、二次落ちもありうる試験なのできちんと対策してください。面接については10分程度の個人面接で、概ね一般的な内容が聞かれるようです。令和3年度の試験では、一般入試の定員79名に対して、1次合格が352名、2次合格にまで至った受験生が補欠なども含めて273名いるようです。

<補欠まで到達すればだいたい安心>
補欠合格者は概ね最終合格が頂けるようです。ちなみに、学納金は6年間の合計で2940万円+諸経費となり、それなりにかかるようです。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点100/H80/M65/L55/L-50/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間60分、大問4問構成。難易度は標準的だが難問も散見。
  • 試験時間に対して分量は多め。
  • 頻出分野は数III微積。微分係数、体積、面積に関する問題が目立つ。
  • 対策:網羅系問題集でのインプット学習必須。アウトプットは『理系数学入試の核心(標準編)』でOK
大問分野難易度評価
1多分野融合C***
2数3微積A*
3数3微積B**
4確率B**

<試験問題の概要>
制限時間は60分の試験で、大問4問構成です。

全体的な難易度は標準的ですが、癖の強い変な難問も見受けられます。

令和2年度では大問1の多分野融合問題は発想力や洞察力を要求する問題で難易度評価C、大問2は数3微積の超典型的な問題で難易度評価A,大問3も数3微積で標準的ではあるもののやや見慣れないテーマであり難易度評価B、大問4は確率の問題で、ある程度差のついた問題と考えられ難易度評価Bとしています。

<制限時間に関して>
制限時間60分に対して、分量はやや厳しめです。この年度の場合、大問1が難しかったためそこで時間を浪費してしまうと目も当てられません。この問題に早々に見切りをつけ、大問2以降の問題を堅実に抑えて行けば時間が足りなくなることはないでしょう。

<頻出分野>
頻出分野は数3微積で、その中でも微分係数に関する問題や体積・面積に関する問題が目立ちます。その他の分野は満遍なく出題されているようです。

<東京医科大数学の対策・インプット編>
東京医科大学の数学の対策としては、癖の強い非典型的な問題も多いものの、素直な典型問題もきちんとあり、そのような問題を堅実に拾っていくため、網羅系問題集を用いたインプット学習が最重要でしょう。

<東京医科大数学の対策・アウトプット編>
アウトプット演習としては、理系数学入試の核心(標準編)や、チョイス新標準問題集などを推奨しますが、頻出の数3に絞ってやさしい理系数学や標準問題精講などに手を出しても良いでしょう。

<難問の見極め>
試験本番では、小問毎に独立した問題となっていることもしばしばあるため、途中の小問で躓いてもあきらめずに取り組んでほしいですが、その一方で60分の制限時間ではどうしようもない問題も紛れているので、解ける問題を見抜くための力は養っておく必要があります。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L60/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間60分、大問5問
    《難易度評価》
    1 アクセント/-/B
    2 文法/-/B
    3 並び替え/-/B
    4長文/約800語/B
    5 長文/約900語/B
  • 時間かなりタイトだが、捨て問作る程ではない。
  • 対策:かつてのセンター試験レベルの文法問題集+十分な過去問演習。
    テンポよく解けるようトレーニングを積むことが要。
大問種別ワード数難易度評価
1アクセント B
2文法 B
3並び替え B
4長文約800B
5長文約900B


<試験問題の概要>
60分の試験で、大問は5問です。

<文法問題も多め>
大問1は昔なつかしのアクセント問題となっています。とはいえ普通に英語の勉強をしていたらそこまで難しいものではなく、対策は基本的には不要です。大問2は文法問題、大問3は並び替え問題ですが、これもまたかつてのセンター試験レベルです。

他の大学の対策で文法問題対策をしている受験生は特別な対策は不要ですが、全く文法問題を無対策だと若干差をつけられるかもしれません。コンパクトな文法問題集などを挟んでも悪くありません。

<長文は普通だが、時間は足りない/多選択肢問題は慣れが必要>
大問3でようやく長文問題で、内容のレベルは標準、語彙レベルは標準としています。設問のタイプは空所補充と同義語選択という形になりますが、空所補充の設問Aの選択肢が異様に多く、慣れていないと解答にもたつく可能性があります。難易度そのものはそう難しくないので、過去問演習を繰り返して要領よく解答できるように繰り返したいところです。その他の設問は至って普通の難易度です。

大問5も長文問題で、語彙レベルも内容のレベルも標う準的ですが、殆どの設問が内容一致問題となっています。これもまた非常に多くの選択肢を吟味する必要があります。選択肢の並び順は概ね長文の流れと一致していますが、一部前後している選択肢もあります。数個の選択肢を先に読んでから長文を読み、それらの選択肢の正誤判定が終わったらまた新たに選択肢を読み…と、問題の解き方の要領に関しては自分なりのスタイルをきちんと確立しておく必要があります。

<過去問対策を通じて、時間配分の練習>
その他、短く要点を述べる問題などもありましたが、時間の制約上、パッと思いついたものを書きなぐる以上のことは出来ないでしょう。時間についてはかなりタイトですが、捨て問を作らないといけないレベルではなく、過去問演習を繰り返しておくことできちんと全問解けるレベルかと思われます。

<東京医科大英語の対策>
東京医大の英語の対策としては、かつてのセンター試験レベルの文法問題集を1冊取り組んでおいた方が良いのと、過去問演習を多めに行い、選択肢が異様に多い問題をテンポよく解けるようにするためのトレーニングを積むことが重要になるでしょう。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L60/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間120分(2科目)
  • 大問4問、無機対策もしっかり。
  • 全体的に標準レベルだが時間はやや厳しめ。
  • 対策:『重要問題集』はA問題必須。B問題以上は余裕があれば取り組む程度。A問題レベルをスムーズに解けるように。
大問分野分量ABC
1小問集合標準 100% 
2理論標準15%85% 
3理論標準 85%15%
4有機やや多15%70%15%


<試験問題の概要>
令和2年度では、1番の小問集合の問題は概ね標準的な難易度ですが、「全て誤っている」などの選択肢も含まれ、選択肢の吟味を慎重に行う必要のある問題となっています。

大問2と3は理論の問題で、概ね共通テストに毛が生えたくらいのレベルですが、それくらいの難易度のほうが、化学をきちんと勉強した人とそうでない人でしっかり差がつきます。大問4は有機の構造決定で、これもまた標準的な難易度で、そこそこの差のついた問題と考えられます。

<出題分野の傾向>
大問4問構成で、令和2年度では、大問1が化学全分野の小問集合、大問2と3が理論、大問4が有機となっているが、理論1問が無機メイン問題になっている年度も多々あります。

故に無機対策はしっかりやるべきですが、高分子については小問集合や有機の問題のおまけ程度で聞くパターンが多く、控えめの対策でも良さそうです。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。全体的な難易度は標準レベルですが、時間に関してはやや厳しめです。

<東京医科大化学の対策>
重要問題集はA問題レベルまでは必須ですが、B問題以上に関しては余裕があれば取り組む、程度で構いません。時間はやや厳しいので、A問題レベルをスムーズに解けるように何度も取り組む、という勉強の仕方が適切なように思います。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L60/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間120分(2科目)、大問9問
  • 原子含む全範囲から出題。
  • 基本問題多いが数値計算が面倒。計算に慣れていれば、何とか完走出来るレベル。
  • 対策:『重要問題集』のA問題、『名門の森』の★レベルで構わないが、数値計算メインの問題になれるため、過去問演習は多めに行いたい。
大問種別分量AB
1力学標準100% 
2力学標準70%30%
3力学標準 100%
4電磁気標準 100%
5電磁気標準100% 
6電磁気標準 100%
7波動標準 100%
8標準65%35%
9原子標準50%50%

<試験問題の概要>
大問9問構成で、原子も含め物理の全範囲から出題されているようです。

令和2年度では、大問1、2,3に力学、大問4、5,6に電磁気、大問7に波動、大問8に熱、大問9に原子の問題がありました。辛うじてに大問3で少し差がついたかといった程度で、他の問題はきちんと勉強していれば高得点が取れるはずの問題です。ただし数値計算が面倒で、問題の後ろの三角関数表の値なども利用しながらテンポよく計算をしていく必要があります。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。

基本問題が多いものの、数値計算が非常に面倒なので、計算に慣れているかどうかで時間の余裕が変わってきます。計算に慣れていれば、問題の難易度は易しめなので何とか完走できるでしょう。

<東京医科大物理の対策>
物理の対策としては、重要問題集A問題や、名問の森の★レベルで構いませんが、数値計算メインの入試問題になれるため、過去問演習は多めに行っておきましょう。

生物の対策

<目標得点ライン>
満点100/H85/M65/L55/L-50/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 試験時間120分(2科目)、大問4問。
  • 分野の偏りあまりなし。
  • 難問を飛ばせれば時間足りるが余裕はない。
  • 対策:『基礎問題精講』等の標準的な問題集に加え、網羅性の高い問題集にも取り組みたい。余裕あれば遺伝対策も取り組んでおきたい
大問分野分量ABCD
1小問集合標準 85%15% 
2代謝などやや多45%20%25%10%
3生態・進化標準10%55%35% 
4発生・遺伝やや少 50%50%

<試験問題の概要>
大問1は小問集合となっており、殆どが知識の正誤問題です。そこまで難しくはありませんが、誤りの選択肢の文は、かなり細かいところをいじってあるので、注意して読まないと誤りが見つけられません。

第2問はパートIからIVに分かれ、Iは代謝メインの標準的な問題、IIも代謝ですがかなり難しい知識を前提とする考察問題、IIIはやや応用的な体内環境の問題で、IVは読めば誰でもわかるレベルの細胞生物の考察問題です。

解くためにかなり細かい知識を要求する難しい問題がある一方で、読んで理解できれば勉強していなくても解ける問題もありますので、難しいなと思ったらとりあえず適当にマークして次に進み、テンポよく解答していきましょう。

第3問はパートIとIIに分かれており、Iは生態に関する標準問題、IIは集団遺伝の標準的な問題でした。第4問は発生並びに遺伝に関する問題で、これもまたやや細かい知識を問う問題もありますが、落ち着いて取り組めばそう難しくないはずです。

<制限時間に関して>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度の時間は割けます。大問は5問構成です。東京医大生物は分野の偏りがあまりありません。

<出題範囲に関して>
辛うじて分子生物と代謝が頻出かといったところで、生態や植物生理、進化などの分野も含め、満遍なく出題が見られます。

<時間配分に関して>
時間については難しい問題をスパッと飛ばすことが出来れば、そこまで足りないわけではありませんが、余裕が出るほどではありません。

<東京医科大生物の対策>
生物の対策としては、基礎問題精講などの標準的な問題集に加え、生物重要問題集や大森徹の最強問題集など、網羅性の高い問題集にも是非取り組みたいところです。

「少し難しめの問題集なら収録されてるなあ…」といった難易度の問題が良く出ているので、色々なバリエーションの問題を経験しておきましょう。遺伝に関しても余裕があれば取り組んでおきたいところです。

東京医科大その他の入試情報

  • 《共通テスト利用入試》
  • 配点は英語200点、数学200点、理科200点国語200点、社会100点
  • 公民は1科目受験可能※倫理、政治経済、現代社会で受験可能
  • 二次試験:小論文(60点)+面接(40点)
  • 河合塾 共通テストボーダー:87%
  • 《一般公募推薦入試》
  • 定員20名、一浪までOK、評定平均4.0以上
  • 小論文(20点)+面接(24点)+調査書等の書類審査(15点)+基礎学力検査(100点)
  • 小論文:日本語と英語の課題文1つずつ出題
  • 基礎学力検査:数学と理科3科目
  • 《地域枠 推薦入試》
  • 茨城県地域枠(8名)、山梨県地域枠(2名)
  • 地元縛りあり、一浪までOK、評定平均4.0以上。奨学金の貸与もあり
  • 試験配点は一般公募推薦入試と同様
  • 基礎学力検査がメイン

<共通テスト利用入試>
共通テスト利用入試は学力試験を全て共通テストで済ませる形式で、配点は英語200、数学200、理科2科目で200、国語200、社会で100です。公民は1科目受験が可能で、すなわち、倫理、政経、現社、それぞれ1科目での受験が可能です。1次試験に合格すると、2次試験で、小論文60、面接40となっています。

一般入試に比べるとやや学力試験の比率が高いようですね。河合塾の共通テストボーダーラインは87%で、そこそこ優秀な成績でないと合格できないようです。次に一般公募推薦入試です。

<一般公募推薦入試>
定員20名で、1浪までOK,評定4.0の縛りがあります。実施される試験に特徴があり、小論文20点、面接24点、調査書等の書類審査の点が15点、基礎学力検査に100点の配点となっています。小論文は日本語と英語の課題文が1つずつ出題されること、基礎学力検査は数学に加えて理科3科目の内容が課されます。基礎学力検査では選択していない理科科目も回答する必要があり、問題のレベルこそ易しいものの範囲は広いようですから、選択していない理科科目を勉強するかどうかは正直悩むところです。

<地域枠推薦>
定員8名の茨城県地域枠、定員2名の山梨県地域枠なるものも存在し、地元縛りあり、1浪までOK、評定4.0以上の縛りがあり、奨学金の貸し付けもあります。この地域枠も試験の配点は一般公募と同様の配点で、基礎学力検査がメインとなります。

いくつかの医学部予備校でこの推薦入試の講座を開講しているようで、データなども蓄積されているでしょうから、詳細はそちらのほうに問い合わせると色々情報が頂けるかもしれません。

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