総評
- 数学は癖の強い問題も多いものの易しい問題をきちんと拾えば合格点に到達する。
- 英語は標準的な難易度であるものの採点が異様に厳しく点が伸び悩みがち
- 理科は物理で理不尽級の問題が出題され、明らかな生物有利傾向がある
- 小論文も結構な差がつく様子。要対策
理科や数学を筆頭に、出題分野の運要素で点数がばらつきます。意外と、確実な直前対策は、実は共通テストと小論文対策かもしれません。
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入試の基本情報と面接
- 面接点は0点。20分程度。一般的質問のほか、産業医の理解、就学資金に関する理解が問われる。
- 小論文(50点)は10点台~30点台まで差がつく。小論文対策が重要な試験か。
- R2の足切りラインは72.7%
- 繰り上げ合格はほとんど出ない。
- 学納金は1,129万6,800円(6年間)+aただし就学資金の貸与が前提
- 卒後9年間、産業医をはじめ、公衆衛生関連の業務、労災病院、産業医科大学病院への勤務が返還免除条件。
- 必ずしも専業の産業医になる必要はない。臨床医になる場合、2年間は産業医として勤務する必要
- 詳細は大学HP、パンフレットで要確認
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 小論 | 合計 | |
共通 | 60 | 60 | 60 | 60 | 60 | ‐ | 300 |
二次 | ‐ | ‐ | 200 | 200 | 200 | 50 | 650 |
一般選抜について説明します。配点は共通テスト込みで国公立らしい配点となっています。
学力試験で合格しないと次の面接・小論文試験には進めません。
学力試験の日程は共通テストと国公立前期試験の間の時期に実施されますが、面接・小論文試験の日程は国公立後期の試験の日程と被っており、面接・小論文まで進むとどちらか一方を選択する必要があります。
<面接は寛容だが小論文で差がつく>
面接点はゼロ点です。20分程度の面接で、一般的な内容に加え、産業医の仕事に関する理解、入学者全員に貸与される修学資金に関する理解を問う質問がされるようです。
面接だけでの不合格は今のところ聞いたことはありません。面接点はゼロ点であるものの、小論文の50点は大いに差がつくようです。多くの人は30点台になるようですが、10点台に落ち込む受験生もいるようで、対策が必須です。
学科試験は配点は高いもののどれも一癖ある試験ですので、推薦入試などで小論文のトレーニングを行ってきた受験生以外は、小論文対策がかなり重要な課題になってくるかと思われます。なお、足切りラインはかなり低めで、令和2年度の入試にはなりますが、72.7%でした。共通テストの出来が芳しくなく、後期の足切りが気になる点数になってしまった場合には、二次比率が高いこともあり魅力的な選択肢と言えます。
<安い授業料だが奨学金縛り>
例年、試験日程が遅いのもあり、繰り上げ合格者は殆どでないようです。ちなみに、学納金は6年間の合計で1129万6800円+諸経費となり、国公立並みとはいきませんがかなり安めの学費で進学できることになります。
しかしながらこれは修学資金、いわゆる奨学金の貸与が前提であり、この奨学金は卒後キャリアと紐づいたものになります。この修学資金は全員が借りなければいけないものとなっており、卒後9年間、産業医をはじめとする公衆衛生関連の業務、あるいは全国に散らばる労災病院、あるいは産業医科大学病院への勤務が返還免除条件となっています。
必ずしも専業の産業医にならないといけないわけではなく、勤務する病院に制限はありますがふつうの臨床医にもちゃんとなれます。ただし臨床医となる場合も2年間は産業医として勤務する必要があります。
<産業医のおしごとは副業でもOK>
産業医の仕事は最低、月1回、会社を回れば大丈夫なので、臨床医の業務と基本的には両立できます。色々と細かい規則がありますので、詳細は大学案内のパンフレットなどをご覧いただけたらと思います。
数学の分析
<目標得点ライン>
満点200/H140/M110/L100
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)
- 試験時間100分、大問2問構成。全体的な難易度は標準~やや難
- 大問1の簡単な問題を解くだけなら時間余る。余った時間で大問2に取り組む方針か。
- 頻出分野は数Ⅲ 微積、確率、整数。
- 対策:まず小問集合の取りこぼしを無くす。網羅系問題集でのインプット学習必須。
- アウトプットはマーク式がメインの私大過去問。
- 合格者平均超えを狙うなら、『やさしい理系数学』レベルの演習も必要。
大問 | 分野 | 難易度評価 |
1 | 小問集合 | A7/B4/C1 *****(50分) |
2 | 確率複素数平面 | C*****(50分) |
<試験問題の概要>
数学の分析に入ります。制限時間は100分の試験で、大問は2問構成ですが、大問1は12問の小問からなる小問集合です。
全体的な難易度は標準~やや難レベルです。数学では各大問に難易度評価をつけています。A,B,C,Dのアルファベットは問題そのものの難易度、*の数は所要時間の目安を示しています。
令和2年度では大問1は12問の小問からなる小問集合ですが、概ね易しい問題となっています。A評価としたものが7問、B評価としたものが4問、C評価としたものが1問となりました。
C評価になるような難しい設問もたまに紛れているので、そのような問題はこだわりすぎずに次に進みましょう。大問2は複素数平面と確率の融合問題で、難易度は高く難易度評価Cとしています。計算力、洞察力、発想力を総合的に問う試験となっていますが、癖の強い問題であるため、問題の相性の良しあしは何となく出てきそうな問題構成になっています。
時間に関しては大問1の簡単な問題を解いていくだけなら十分時間が余りますから、その余った時間で大問2の難しい問題にじっくり取り組むという方針で行けば大丈夫でしょう。もちろん全部できなくても大丈夫です。
<頻出分野>
頻出分野は数3微積、確率、整数で、他の分野はまんべんなく出題されているようです。微分方程式やデータの分析と言ったマイナーな分野からの出題も目立ちます。
<産業医科大数学の対策・インプット編>
まずは大問1の易しい小問集合で取りこぼしをなくすことが先決ですから、網羅系問題集でのインプット学習はマイナー分野も含めて必須になります。
<産業医科大数学の対策・アウトプット編>
産業医大をはじめとするマーク式メインで出題される私立過去問だけで基本的には構いませんが、合格者平均を超える点数を狙うならやさしい理系数学レベルの演習も必要です。
英語の分析
<目標得点ライン>
満点200/H160/M120/L110
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)
- 試験時間100分、大問4問
《難易度評価》
1読解/約250語/B
2 読解/約800語/B
3 読解/約800語/B
4 自由英作文/-/B/100words程度 - 時間は少し余るくらいの受験生が多いか。
- 対策:「長文対策+自由英作文」という標準的な国公立医学部対策に準ずる。自由英作文の採点は異様に厳しい。
大問 | 種別 | ワード数 | 難易度評価 | 備考 |
1 | 読解 | 約250 | B | |
2 | 読解 | 約800 | B | |
3 | 読解 | 約800 | B | |
4 | 自由英作文 | B | 100ワード |
<試験問題の概要>
英語の分析に入ります。100分の試験で、大問は4問です。
長文問題3問に自由英作文1問の構成です。英語も難易度評価をつけることにしています。A,B,C,Dのアルファベットがそれぞれ難易度を示しています。大問1は長文の問題ですが設問形式は穴埋め問題で、この穴埋めに選択肢などはありません。
長文そのものの難易度は標準的ですが、穴埋めに関しては文脈判断と文法的理解の両方を求める問題が多く、少し難しめです。答えが複数ありえるパターンもありますから、悩み過ぎずにテンポよく解答していきましょう。
大問2及び3は長文問題で、語彙レベルも内容レベルも標準的です。設問は内容説明問題、和訳、内容一致問題などがあります。内容説明問題に関しては段落の要約が必要なやや難しめの設問となっています。他の設問は標準的な難易度です。
大問4は自由英作文の問題で、100ワード程度で、よくありそうな話題で標準的な難易度です。
<時間配分に関して>
100分の時間があり、長文のレベルは標準的なものばかりですので、少し余るくらいの受験生も多いと思います。
<産業医大英語の対策>
産業医大英語の対策としては、通常の長文対策に加え、自由英作文のトレーニングを行うという、標準的な国公立医学部に準じた対策で構いません。
ただし自由英作文の採点は異様に厳しい可能性が高く、思ったより点数が伸びない可能性があります。
化学の分析
<目標得点ライン>
満点100/H70/M60/L50
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )
- 試験時間120分(2科目)、大問3問。例年は大問4問。出題に規則性なし。
- 全体的な難易度は標準~難しい。得点できる問題とそうでない問題がはっきり。
- 難問を無理と割り切れれば時間は結構余る。問題の取捨選択が肝心。
- 対策:『重要問題集』はB問題までトレーニング。それ以上の対策は効率悪いか。運要素あり。
大問 | 分野 | 分量 | A | B | C | D |
1 | 理論 | 標準 | 33% | 33% | 33% | |
2 | 有機 | 標準 | 40% | 25% | 35% | |
3 | 高分子 | 少ない | 30% | 50% | 20% |
<出題分野の傾向>
令和2年度では変則的に大問3問構成で、理論1問、有機1問、高分子1問のセットでした。
ただ例年は大問4問構成ですが、出題分野は規則性があまりなく、理論ばかり出るような年度もあれば高分子が2問も出る年度もあれば、無機も出たりでなかったりとぐちゃぐちゃです。
得意分野が重点的に出題されれば高得点になる可能性があります。理科については小問ごとの難易度評価をつけ、その結果を表にまとめています。A、B,C,Dはそれぞれの小問の難易度で、例えばAが50%ということはその大問の中で半分の点数は非常に平易な問題を解くだけで確保できることを示しています。
令和2年度では、1番の理論の問題はかなり難しいテーマにもかかわらず誘導も殆どなく、かなり難しい大問でした。大問2は有機の問題で、前半部は易しいですが後半部分はこれまた誘導が殆どなく、難しい問題でした。
大問3は高分子の問題で、他の大問に比べれば比較的取り組みやすく、ここで最後まで解ききれたかどうかでおおきく点差がついたでしょう。
<試験問題の概要>
全体的な難易度は標準~難しいレベルで、例年、ここまで誘導の少ない大問が並ぶのも少ないですが、取れる問題と取れない問題とがはっきりし過ぎて、全体としてはあまり点差がついていないかもしれません。
時間に関しては、無理な問題は無理と割り切れれば結構余りますが、無理な問題に変に時間をかけてしまうと大きく点数をロスするので問題の取捨選択はきちんと行ってください。
<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。
<産業医科大化学の対策>
重要問題集のB問題レベルまでは取り組んでおきたいですが、それ以上の対策に関しては、全く役に立たないわけではありませんが、努力が必ず報われるわけでもありません。
出題分野のランダム性もあいまって、運要素で点数がばらつきがちな大学の1つと言えます。
物理の対策
<目標得点ライン>
満点100/H70/M55/L40
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )
- 試験時間120分(2科目)、大問4問。出題問題、大問数にばらつき。
- 全体的に難しく、時間が余った受験生多いか。
- 対策:『重要問題集』のB問題レベル、『名門の森』のレベルまで取り組みたい。取れない問題は取れない。過去問演習以外は他の志望校対策や他科目対策に注力。
大問 | 種別 | 分量 | A | B | C | D |
1 | 数値計算 | 標準 | 50% | 30% | 20% | |
2 | 電磁気 | 標準 | 30% | 30% | 40% | |
3 | 力学 | やや少 | 50% | 50% | ||
4 | 波動 | 標準 | 20% | 50% | 30% |
<出題分野の傾向>
第1問の物理量に関する計算問題は、易しい問題ではあるものの、あまり見ないタイプの問題ですので動揺した受験生も多かったように思います。
それでいて正確な計算を行わないと答えまで行きつきませんので、意外と点差がついたかもしれません。
第2問は電磁気の問題で、前半部分に関しても文字の設定の仕方がイレギュラーですので、勘違いすると雪崩式に全ての設問を間違えてしまいます。
後半部分は単純に難易度が高く、この大問をきちんと得点出来た受験生は少ないでしょう。第3問は力学で、第2問よりも難しい問題です。これもまた前半部分だけを取っていくスタイルの受験生が多かったんじゃないかと思われます。
第4問は波動の問題で、この大問だけがオーソドックスな大問で普通に実力差のついた問題でしょう。
<試験問題の概要>
令和2年度では大問4問構成で大問1は物理量に関する計算問題、大問2は電磁気、大問3は力学、大問4は波動という構成でした。
大問1の計算問題も毎年出題されているわけではなく、大問数に関しても2~4問とばらついています
原子の出題もあるので、分野を偏らせずに満遍なく勉強してください。理科については小問ごとの難易度評価をつけ、その結果を表にまとめています。
A、B,C,Dはそれぞれの小問の難易度で、例えばAが50%ということはその大問の中で半分の点数は非常に平易な問題を解くだけで確保できることを示しています。
<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。
難易度が難しすぎるため、時間が余ってしまったという受験生も多そうです。化学も似たような感じですから、余った時間を見直しに割くか、化学のやや難の問題にチャレンジするかは、検討の余地があります。
<産業医科大物理の対策>
重要問題集のB問題レベル、名問の森の★★レベルまで取り組みたく、難系統問題とその解き方、標準問題精講などのレベルまで取り組んでも構いませんが、そこまでやってもとれないときはとれないような難易度の問題もありますので、過去問演習以外は、他の志望校の対策や、他の科目の対策をメインに行いましょう。
生物の対策
<目標得点ライン>
満点100/H80/M60/L50
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )
- 試験時間120分(2科目)、大問3問。
- 分野に偏り。分子生物最頻出。次点で神経、体内環境、細胞生物も頻出。
- 時間はやや余るくらいか。
- 対策:『基礎問題精講』等の標準的な問題集に加えて、分子物を筆頭に医学系分野は網羅系問題集にも取り組めばアドバンテージか。考察系問題集コスパよくない。遺伝対策不要か。
大問 | 分野 | 分量 | A | B | C | D |
1 | 分子生物+α | 標準 | 20% | 45% | 25% | 10% |
2 | 分子生物+α | 標準 | 10% | 25% | 45% | 20% |
3 | 代謝 | 標準 | 20% | 30% | 50% |
<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度の時間は割けます。
大問は3問構成です。産業医科大生物は分野の偏りがあります。
分子生物が最も頻度が高く、次点で神経・体内環境・細胞生物なども良く出題されています。植物生理についてはおまけ程度の問題がたまに出ることがあり、生態に関してはほぼゼロですが、進化と系統に関しては時々出題があるようです。理科については小問ごとの難易度評価をつけ、その結果を表にまとめています。
A、B,C,Dはそれぞれの小問の難易度で、例えばAが50%ということはその大問の中で半分の点数は非常に平易な問題を解くだけで確保できることを示しています。
<試験問題の概要>
令和2年度では、大問1は分子生物の問題がメインとなっており、概ね易しい問題ですが、一部に難しい設問もあります。
大問2は分子生物がメインとなっていますが変則的に植物生理の話題も盛り込まれた問題です。難易度は標準で、ほどほどに点差のついた問題と考えられます。
大問3は代謝の問題で、考察がメインにはなっていますが難易度は標準~やや難レベルで、これもまた点差のついた問題かと思われます。
時間に関しては大問3問で重すぎる考察問題は少ないことから、やや余るくらいの受験生が多かったんじゃないかと思われます。
<産業医科大生物の対策>
基礎問題精講などの標準的な問題集でのトレーニングに加えて、分子生物を筆頭に、医学系の分野に関して、重要問題集や大森徹の最強問題集など、網羅性の高い問題集に取り組めば十分アドバンテージが取れるでしょう。
考察に関してはそこまで難易度が高いわけでもないので、考察系問題集のコストパフォーマンスはあまり高くありません。遺伝に関しても難しい問題はないので、特化した遺伝対策は不要でしょう。
産業医科大のその他の入試情報
- 《推薦入試制度》
- 定員25名(R4より拡大)
- 3ブロックに分けそれぞれ10名以内の定員
Aブロック:東日本中心
Bブロック:九州以外の西日本中心
Cブロック:九州・沖縄 - 条件:一浪まで/評定4.3以上/専願/予防医療に対する関心が強いこと
- 共通テストの成績は合否に関係なし。調査書・推薦書・志望理由書を踏まえ、小論文+面接で合否を決める
産業医大では推薦入試制度があります。
定員は令和4年度より少し増えるようで、25名となります。全国から広く受験生を入学させるため、日本全国をA/B/Cブロックに分け、それぞれ10名以内の定員としているようです。
Aブロックは東日本中心、Bブロックは九州以外の西日本が中心、Cブロックな九州と沖縄となっています。1浪までOK,評定が4.3以上、専願での出願で予防医療に対する関心の強いことが求められます。
この推薦入試では、共通テストの成績は合否判定に加味されず、調査書・推薦書・志望理由書などの情報を踏まえ、小論文と面接のみでの試験となります。評定さえ何とかなれば学科試験は完全に免除という、珍しい試験形式となっています。
評定は一応確保してあり、面接などに不安はないが学科試験は正直全く自信がなく、共通テストも医学部に必要な水準は正直取れそうにないという受験生に関しては、穴場かもしれません。
ただ勿論、この枠でも修学資金の貸与はありますから、将来産業医や予防医療に近い領域での勤務になることは想定しておいてください。
産業医とは
- 企業に勤める人の健康を守るために、オフィスや工場に出向いて業務を行う医師
- 労働衛生安全法により、50名以上の従業員を持つ企業は全て産業医を選任する義務。
- 基本的に1回/月のペースで巡回。臨床医と兼務している医師も多数。
- 産業医の仕事は「3管理1教育」と言われる。
- 「作業管理」 労働時間、作業姿勢など
- 「健康管理」 健康診断など
- 「作業環境管理」 オフィス内環境など
- 「労働衛生教育」 従業員へのセミナーなど
産業医とは、企業に勤める人の健康を守るために、実際にオフィスや工場に出向いて業務を行う医師のことを指します。
労働衛生安全法という法律により、50名以上の従業員を持つ企業は全て産業医を選任する義務を持つことが定められています。産業医は基本的には月1回のペースで事業所を巡視することとなっています。
故に1つの企業あたり月1回の勤務が基本ですので、臨床医と兼務している医師も多数存在します。産業医の業務は「3管理1教育」と呼ばれ、具体的には作業管理・健康管理・作業環境管理、これらの3管理にに加えて労働衛生教育の1教育があります。
オフィス仕事で例えるなら、作業管理は労働時間や、PC作業を続ける際の姿勢などをチェックします。健康管理は主に健康診断などで、作業環境管理はオフィス内の温度管理や光環境の管理などを指します。
労働衛生教育ではこれらの内容を従業員に指導するセミナーなどを開催することが多いようです。現在、日本は第3次産業が中心であるため、オフィスでの仕事が多いですが、第2次産業のものづくりも依然として強いため、工場での仕事もあります。
工場での管理はオフィスの管理とはかなり毛色が変わったものになります。特に有害物質が発生する業務では、その管理は非常に重要な課題となります。
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