<傾向と対策>国際医療福祉大学(医学部医学科)英語重点配点だが英語でぶっ飛ばせるのはごく一部か。理数でこぼさないほうが安定して合格出来そう。

総評

  • 英語は読解力のみならず文法力でも差がつく。志望度が高い場合は文法問題対策が必要。
  • 数学と理科の難易度変動が激しいため、易しくなった科目で点数を落とさないことが重要になってくる。
私立専願組は英語で稼ぐ戦略もアリです。国公立併願組は数学や理科の易化した科目でうっかり点を落とさないよう、バランスの良い学力を養成したいところです。実際分析してみるとそこまで英語一本勝負でもなさそうな印象を持ちました。

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入試の基本情報と面接

  • (一般選抜)
    《配点》数学150点、理科200点、英語200点
    ※得点調整で理科の選択科目による有利不利なし
  • 一次試験で小論文実施されるが、一次の合否は小論文以外の科目で決定
  • 二次試験の面接は30分程度×2回
    1回目:志望動機、自己PRなど
    2回目:医療系ニュース・テーマへの意見など
  • R2は定員105名、一次合格600名、合格者531名(繰上げ含)
  • 学納金 1,850万(6年間)+α
国語 数学 理科 英語 面接 合計
150 200 200 550

「国際」の名の通り、英語の配点が高く、理論上は英語で差がつくことになりますが、後述する通りかなり高難易度ですので、相当の実力がないと安定したアドバンテージは取れないでしょう。

また、一次試験で小論文試験も行いますが、一次試験の合否判定は小論文以外の学科試験の点数で決定します。

一次試験に合格すると二次試験で、面接があります。日程が6日分用意されているものの、日程は大学から指定される形式ですので、他の大学の試験と被る可能性が高いです。繰り上げも含めれば、一次合格者の大半(8割~9割)が合格するようなので、被ってしまった場合は国際医療福祉を優先してもよさそうですね。

実際の面接試験は、30分程度の長めの面接が2回というハードな面接です。前半の面接内容については志望動機や自己PRなどのその個人のパーソナリティに関する質問が聞かれ、後半の面接については医療系のニュースやテーマに関しての意見を求める質問がメインになります。

前半はふつうの面接対策で良いですが、後半のテーマに関しての意見を自分でまとめるのは中々骨が折れます。医療系のテーマ以外の質問もあるようですが、そこまでは対策の時間は取れませんので、医療系面接の小論文テーマ集などを用いて予習しておき、それぞれのテーマに関して自分の意見をある程度まとめておきましょう。万が一想定外の質問が来ても、何かしらの回答はしておいて場をつないでください。

ちなみに、学納金は6年間の合計で1850万円になり、私立の中ではかなり安めになります。これに加えて海外臨床実習のための積立金など種々の費用が追加されます。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点150/H130/M105/L90/L-80/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間80分、大問4問構成。難易度は易しい~標準
  • 時間かなり厳しいが、捨てるべき問題が不明確とにかく解き続ける必要あり
  • 頻出は数Ⅲ 微積、次点で数列、確率、ベクトル
  • 対策:網羅系問題集でのインプット学習必須ⅠAⅡBはセンター試験過去問も有効。数III 込みでは『チョイス新標準問題集』お薦め。
大問分野難易度評価
1小問集合AまたはB***
2数列A**
3複素数平面B***
4数3微積B***

<試験問題の概要>
制限時間は80分の試験です。大問は4問構成ですが大問1が独立した小問4つに分かれた小問集合です。

全体的な難易度は易しい~標準レベルです。数学では各大問に難易度評価をつけています。

令和2年度では大問1の小問集合はAまたはBで、合計で30分弱で仕上げたいところです。

大問2は数列の問題で超典型的な問題で難易度評価Aになります。

大問3は複素数平面で方針は立ちやすく難易度評価はBとしていますが、計算量が多いため中々大変です。

大問4は数3微積の問題で、この分野の総合的な理解を問う問題で難易度評価Bとしています。

<制限時間に関して>
どの問題も大して難しくなく、大問の後半の設問ですらそれほど難しくありません。これがある意味厄介で、時間が非常に厳しい試験ですが捨てるべき問題がはっきりしません。とにかく手を休めずひたすら問題を解き続ける必要があります。

<頻出分野>
数3微積が必ず出題されており、次点で数列・確率・ベクトルが頻出になっています。

<国際医療福祉大数学の対策・インプット編>
基本レベル、標準レベル中心の問題構成であるため、網羅系問題集でのインプット学習は必須でしょう。

国際医療福祉 大数学の対策・アウトプット編>
数1A2Bだけであればセンター試験過去問などもよく似た傾向ですので国公立との併願組はそれでOKです。数3も含めた問題集としてはチョイス新標準問題集など平易なアウトプット演習書を薦めます。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点200/H160/M125/L115/L-105/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間80分、大問5問
  • 《難易度評価》
    1 文法/-/B
    2 並び替え/-/C
    3 長文+正誤/約700語/C
    4 読解/約800語/C
    5 読解/約800語/B
  • 対策:単語暗記の他、熟語暗記にも注力。志望度高いなら文法問題には普段から取り組んでいること。その上で長めの長文対策。文法と長文の力で差がつくセット。
大問種別ワード数難易度評価
1文法 B
2並び替え C
3長文+正誤約700C
4読解約800C
5読解約800B


<試験問題の概要>
80分の試験で、大問は5問です。以前まで大問6問構成だったのが1問減りました。

大問1は文法問題で、かつてのセンター試験と大差ないレベルなので高得点を狙っていきたいところです。

大問2は並び替え問題ですが、いくつかやや難の問題も紛れています。熟語の知識をきっちりと身に着けたうえで、更に並び替え問題そのものにも慣れていないと完全回答は難しいでしょう。

大問3は正誤問題で、長文に下線部が複数引いてあり、間違えている文を各段落から選ぶ形式となっています。文法的な間違いがあるケースもあれば、文脈的に間違いがあるケースもあります。

大問1から3までそれなりにたくさんの設問がありますが、いずれも文法問題のトレーニングをきちんと積んでいないと高得点が期待できません。国公立併願組は文法問題対策はおろそかになりがちなので、この辺りは私立専願組のほうがやや有利でしょう。

大問4・大問5は長文問題で、大問4は語彙レベルも内容もやや難しく、大問5は比較的標準的な長文でした。設問は語彙の言い換え、内容に関する問題、文挿入問題、などあります。文章が難しいからと言って、設問の難易度は控えめにしてあるかと言えばそうでもなく、中々にハードな構成となっています。

<国際医療福祉大の英語の対策>
国際医療福祉大英語の対策としては、並び替え問題が毎年出ていることを加味して、単語の暗記に加え熟語の暗記も意識的にトレーニングしていきましょう。また普段から文法問題を解いていないと前半の大問の得点率が伸びないため、国際医療福祉の志望度が高ければ意識的に対策していきましょう。その上で長めの長文演習を行えば他の受験生に比べてようやくアドバンテージが取れてくるかなあと思います。

なお作文に関しては出題されていないので対策不要です。文法と長文の力で差がつく問題セットとなっています。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M75/L65/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間120分(2科目)、大問4問
  • 時間かなりタイト。得意なら完走できるか。理論に解きやすい問題がある傾向。
  • 対策:『重要問題集』はB問題までトレーニング。①教科書傍用問題集の基本問題を通じて、マイナー知識問題の漏れを無くす。余裕あれば有機だけやや難問題まで。
大問分野分量ABCD
1小問集合標準15%60%25% 
2理論標準35%50%15% 
3理論標準50%30%20% 
4有機やや多い15%15%50%20%

<出題分野の傾向>
大問1は小問集合、大問2と大問3は理論、大問4は有機が出題されています。

無機についてはほぼ毎年、理論との融合問題という形で何かしら聞かれているので、無機の対策は必須です。また理論と無機の融合問題が多いということがありますので、理論の中でも酸化還元や電池と電気分解などの出題が若干多めかなあという印象です。

高分子に関しては出る年は出る、という感じですが、有機のテーマが毎回生体内の物質が題材となっているので、高分子に脱線する問題は出しやすいと言えるでしょう。毎回出てるわけではないんですけどね。

<試験問題の概要>
令和2年度の試験では、第1問は小問集合ですが、教科書の隅に書いてあるようなマイナーな知識を問うような問題も目立ち、案外粒ぞろいの構成となっています。選択肢を慎重に吟味する必要があり、そこまでさくさく進みません。

第2問は理論の問題で比較的オーソドックスな問題です。

第3問は無機と理論の融合問題で、これもまた大して難しくありません。

第4問の有機はくせ者です。生体中の複雑な有機分子を題材とした問題となっており、毎年凝った問題が出題されています。ただし令和2年度はラストの難しい問題が不適切問題で全員正解という形になってしまいました。難易度評価Dとしているところは全員に加点があります。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。

時間に関してはかなりタイトですが得意な受験生ならようやく完走できるか、といったレベルです。化学が得意な受験生は有機から先にやってしまう人も多いかと思いますが、理論に解きやすい問題が転がっていることも多いので、あまり有機の完答にこだわりすぎないようにしましょう。

<国際医療福祉大化学の対策>
国際医療福祉大の化学の対策としては、重要問題集はB問題も含めてトレーニングをしておきたいところです。

それに加えて、小問集合の知識問題の得点率を上げるため、教科書傍用問題集に掲載されている基本問題の演習を通じてマイナー知識問題の漏れを少なくすること、余裕があれば有機だけはやや難しい問題(新演習レベル推奨)も含めてトレーニングすること、この二点まで対策できればかなりアドバンテージが取れるでしょう。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H80/M60/L55/L-45/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間120分(2科目)、大問5問。例年出題セット変わらず。
  • 全体的に難問混ざる。飛ばしながら解答する。
  • 対策:『名門の森』★レベル、『重要問題集』のA問題レベルをしっかり理解して解けるように。
    余裕あればワンランク上まで出来ると良い。
大問種別分量ABC
1小問集合標準60%40% 
2力学多い20%40%30%
3電磁気やや多い20%50%30%
4波動多い20%40%40%
5多い60%40% 

<出題分野の傾向>
令和2年度では小問集合と、力学・電磁気・波動・熱のセットになりました。例年このセットのようで、原子については小問集合の最後の設問に1問出題されるのみです。

<試験問題の概要>
第1問の小問集合は物理の各分野に関して、易しめ~標準レベルの問題が並んでいます。

第2問は力学の問題、第3問は電磁気、第4問は波動、第5問は熱の問題で、第5問の熱だけは比較的稼ぎやすかったものの、全体的に難しい設問が所々に混じっており飛ばしながら進めていく必要があります。必ずしも最後のほうの設問が難しいとは限らないのが質の悪いところです。

<国際医療福祉大物理の対策>
時間の制約が非常に厳しく、難しい問題を考える時間がないため、名問の森★レベル、重要問題集A問題相当のレベルの問題をしっかり理解して解けるようになっていれば一応の点数は取れますが、余裕があれば問題のスクリーニングの練度を高めるためにも、ワンランク上の問題までトレーニングしてみても損にはなりません。

生物の対策

<目標得点ライン>
満点100/H80/M65/L60/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 試験時間120分(2科目)大問4問分野の偏りほとんどなし。
  • 時間ちょっときつめ。知識パートから解答を。
  • 対策:『基礎問題精講』等の標準的な問題集をきちんとこなし、網羅性の高い問題集に丁寧に取り組むこと。余裕あれば遺伝対策も。知識問題パート向けに『生物用語の完全制覇』
大問分野分量ABC
1体内環境標準35%35%30%
2発生・遺伝やや多50%30%20%
3神経標準30%30%40%
4生態標準15%65%20%

<出題分野の傾向>
国際医療福祉大生物には分野の偏りが殆どありません。生態や植物生理などの分野もしっかり出題され、そこそこの難易度の問題が出題されています。

<試験問題の概要>
それぞれの大問が2パートに分かれており、前半は知識問題、後半は考察問題です。

考察問題は標準問題を少しひねったものになっていることが多いですが、年度によっては初見の実験考察問題になっていることもあります。全体的に、知識問題のパートでもかなり細かい知識の理解を問われる傾向にあり、すんなり点をくれません。次の考察パートも超典型問題ばかりという訳でもないので、基礎だけやれば大丈夫という試験では決してありません。

<制限時間に関して>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度の時間は割けます。制限時間に関してはちょっときつめと言った程度で、まずは知識パートを全て解答してから、考察パートに手を付けましょう。

<国際医療福祉大生物の対策>
まずは基礎問題精講などの標準的な問題集をきちんとこなしたうえで、更に、大森徹の最強問題集や生物重要問題集などの網羅性の高い標準問題集を丁寧に演習しましょう。

余裕があれば、遺伝対策も行いたいところです。更には知識問題パートの正答率を高めるために「生物用語の完全制覇」などの問題集に手を付けても構いません。必要ないのは論述対策くらいでしょうか。

国際医療福祉大のその他の入試制度

  • 《特待生制度》
  • 一般入試で45名、共通テストで5名が自動的に特待生になる。地元縛り、診療科縛り無し。給付型奨学金。
  • 給付されると6年間の学納金は300万ただし、留年or成績上位50位圏外で資格喪失
  • 特待生は繰り上がりなし
  • 正規合格かつ上位に入っている必要アリ国際医療福祉大のその他の入試制度
    《共通テスト選抜》
  • R3の共通テストボーダー(河合塾):85%繰り上げ合格11名
  • 共通テスト利用入試でも二次試験として英語の学力テストアリ。
    《その他》
  • 学生特別選抜 20名枠。
  • 帰国生および外国人学校卒業生特別選抜
  • 若干名の枠アリ。

<特待生制度に関して>
一般入試で45名、共通テスト枠で5名が自動的に特待生になります。地元縛りや診療科縛りもありませんし、そもそも給付型の奨学金です。

特待生の繰り上がり制度はないようなので、正規合格かつ上位に入っていないと特待では入学できません。特待ラインはこの動画でいうところのMiddleより更にちょっと高い得点率になるかなあと予想します。やや特殊な傾向の英語も含め、きちんと対策しないと特待ラインには到達しないでしょう。

<共通テスト選抜・その他>
次に共通テスト選抜です。令和3年度の河合塾共通テストボーダーは85%で、概ねこのラインが合否ラインと考えられます。ちなみに共通テスト利用入試でも繰り上げ合格を11名出しているようです。また共通テスト利用入試でも二次選考としてこっそり英語の学力試験があります。試験の中身に関しては今のところ情報がほとんど出回っていません。

その他、留学生特別選抜で20名もの枠があり、帰国生及び外国人学校卒業生特別選抜でも若干名の枠があります。該当する方は募集要項のほうご覧ください。

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