総評
- 数学・英語は比較的難しめ。得意であればアドバンテージ取れる。
- 理科は標準問題の短時間型。普段から制限時間を意識したトレーニングを。
数学・英語は比較的難しめだが得意ならアドバンテージを取れる、理科は普段から制限時間を意識したトレーニングを行うべき
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入試の基本情報と面接
- 《科目(配点)》
数学150点、理科200点、英語150点 - 一次試験合格で二次試験(小論文+面接)
面接:原則グループ(2対1)/30分前後/突飛な質問はない様子 - 学納金 約3,890万円(6年間)+α
- 一般入試のほか、指定校推薦枠35名。学士編入枠も若干名。
国語 | 数学 | 理科 | 英語 | 面接 | 合計 |
– | 150 | 200 | 150 | – | 500 |
<面接等に関して>
最も定員が多い一般入試について説明します。二次試験で、小論文試験と面接が実施されます。面接は原則として受験生二人ずつのグループ面接です。面接時間はやや長めの30分前後です。個人面接となる場合は10~15分程度です。面接時間が長いため聞かれる内容は多岐に渡りますが、あまり突飛なことは聞かれないようです。
<学費はお高め>
学納金は6年間の合計で約3,890万円+諸経費となっており、私立医の中でも相当に高いです。
<その他の入試制度>
一般入試の他には、指定校推薦枠が35名もあり、1年後期から編入の学士編入枠も若干名あります。地域枠の指定校推薦入試も存在はしていますが、次年度に実施されるかどうかはいまだ不明です。
数学の分析<80分・4問>
<目標得点ライン>
満点150/H120/M85/L75/L-65/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)
- 試験時間:80分間
- 全体的な難易度は標準〜やや難
- 比較的難易度高いが、80分しか制限時間がない。
- 頻出:大問1では複素数平面、大問2以降では数3微積。
曲線の長さ、極座標などマイナー分野の出題も要警戒。 - 対策:LorM狙いなら網羅系問題集レベルまで。M越えを狙うなら『やさしい理系数学』などの難しめ問題集まで取り組んでおきたい。
問題番号 | 難易度 |
1(1) | C** |
(2) | B** |
(3) | A* |
(4) | B** |
2 | C** |
3 | C** |
<試験問題の概要>
制限時間は80分です。令和2年度の難易度評価は、大問1は小問集合となっており、A1問、B2問、C1問、大問2はC、大問3もCとしました。全体的な難易度は標準~やや難です。論証力を問う問題、典型的なように見えて一ひねりある問題、計算が煩雑な問題と様々なタイプの問題がありますが、めちゃくちゃ難しい問題ではないため、数学が得意なら抜きんでた点数も狙っていけるでしょう。比較的難易度の高い問題が揃っているのに対して制限時間は80分しかないので、時間はかなりきつく感じるでしょう。大問1の小問集合からしてボリュームが多く、大問2や大問3もすぐには方針が立ちません。
<頻出分野>
大問1の小問集合では複素数平面がほぼ毎年出題され、次点で三角関数、整数、高次方程式などの分野が出題されています。大問2以降の最頻出分野は数3微積で、次点で二次曲線や確率です。曲線の長さや極座標などマイナー分野も出題されているので警戒していきましょう。
<北里大数学の対策>
LowやMiddleラインで良ければ網羅系問題集と同等の問題まで解けるようにしておけばOKです。大問1で確実に稼いでいきましょう。大問2や大問3もしっかり得点し、Middleを超える点数を狙っていく場合は、『やさしい理系数学』など難しめの演習書まで取り組みたいところです。
英語の分析<70分・7問>
<目標得点ライン>
満点150/H120/M85/L70/L-65/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)
- 試験時間:70分間
- 大問ごとの難易度評価
1.長文・B 2.文法・A 3.長文・B 4.長文・B 5.長文・B 6.長文・B 7.並べ替え・B - いずれも標準レベルだが、量が多過ぎる。英語苦手だと解き終わらない可能性あり。
- 対策:比較的オーソドックスな問題のため、特化した対策は必要ない。過去問は早めに。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 長文 | B |
2 | 文法 | A |
3 | 長文 | B |
4 | 長文 | B |
5 | 長文 | B |
6 | 長文 | B |
7 | 並べ替え | B |
<試験問題の概要>
制限時間は70分の試験です。大問1がガッツリな長文問題で、大問2は文法、大問3~大問6は短めの読解問題で、穴埋めタイプの設問が多いようで、最後の大問7は並び替え問題となっています。
<時間配分に関して>
いずれも標準レベルの問題ですが、量があまりにも多すぎます。捨て問を作らないといけないレベルとまでは行きませんが、英語が苦手だと最後まで終わらないかもしれません。北里大学の受験を予定している場合は早い段階で一度過去問を解いておき、時間内で完走できないようなら、過去問演習を繰り返して問題形式に慣れておきましょう。大問3~大問6の穴埋めの設問は、トレーニング次第で早く解けるようになると思われます。
<北里大英語の対策>
比較的オーソドックスな問題であるため特別な対策はあまり必要ありませんが、過去問演習は早めに行っておいた方が良いでしょう。ぶっつけ本番では時間配分がうまくいかない可能性が高いです。
化学の分析 <50分・5問>
<目標得点ライン>
満点100/H90/M70/L60/L-55/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )
- 試験時間:100分間(2科目)
- 大問ごとの難易度評価
1.小問集合・B 2.無機・B 3.理論・B 4.理論・B 5.有機&高分子・B - 全体では共通テストと同等レベル
- 計算に手間取ると時間が不足する。
- 対策:『重要問題集』A問題レベル。ただし素早く解けるまでトレーニング必要。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 小問集合 | B |
2 | 無機 | B |
3 | 理論 | B |
4 | 理論 | B |
5 | 有機&高分子 | B |
<出題分野の傾向>
令和2年度では小問集合1問、無機1問、理論2問、有機と高分子の融合問題1問のセットでした。無機も高分子も毎年コンスタントに出題されますが、無機は大問1問分出題されるのに対して、高分子は有機とセットで出題されるケースが多いので、無機対策のほうがコスパは良いです。また有機や高分子の問題は計算量が多い問題が混じることもあり、素直に稼がせてくれません。
<試験問題の概要>
理科2科目で100分なので、化学には50分を割けます。問題難易度は共通テストやセンター試験と同等のレベルで、大したことはありません。
<時間配分に関して>
計算に手間取ったりすると時間が足りなくなることも予想されます。
<北里大化学の対策>
『重要問題集』A問題レベルで構いませんが、時間が厳しい試験ですので、素早く解けるようになるまでトレーニングしたいところです。
物理の対策<50分・3問>
<目標得点ライン>
満点100/H90/M65/L55/L-50/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )
- 試験時間:100分間(2科目)
- 大問ごとの難易度評価
1.小問集合・B 2.力学・B 3.熱・A - 小問集合の一部を除き、基礎〜標準レベル。
- 時間はかなり急がないと間に合わない。
- 対策:『重要問題集』A問題、『良問の風』で十分だが、素早く解けるまでトレーニング必要。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 小問集合 | B |
2 | 力学 | B |
3 | 熱 | A |
<出題分野の傾向>
令和2年度では、小問集合1問、力学1問、熱1問というセットでした。例年は熱の代わりに電磁気が出題されていることが多いです。小問集合では波動や熱の分野がよく出題され、原子に関しては殆ど出題がありません。
<試験問題の概要>
理科2科目で100分なので、物理には50分が割けます。大問3問構成で、小問集合の一部で少し厄介な問題があるほかは、どの問題も基礎~標準レベルです。
<時間配分に関して>
かなり急いで解かないといけない分量です。
<北里大物理の対策>
『重要問題集』A問題や、『良問の風』レベルまで取り組めば十分ですが、早くテキパキ解けるようになるまでトレーニングをしてください。
生物の対策<50分・3問>
<目標得点ライン>
満点100/H80/M60/L55/L-50/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )
- 試験時間:100分間(2科目)
- 体内環境、分子生物、代謝が頻出。一方、植物生理、進化、生態は出題極少。
- 大問ごとの難易度評価
1.神経・B 2.細胞生物&発生・B 3.分子生物・B〜C - 難しいのは知識問題。素早く解けば時間十分。
- 対策:標準的な問題集+網羅性高い問題集。考察系問題集までは不要。遺伝対策はやった方が無難。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 神経 | B |
2 | 細胞生物&発生 | B |
3 | 分子生物 | B〜C |
<出題分野の傾向>
体内環境、分子生物、代謝の分野がよく出題されています。一方で、植物生理や進化は小問レベルでは出題例もありますがかなり少なく、生態に関してはここ数年出題がないようです。
<試験問題の概要>
理科2科目で100分なので、生物には50分が割けます。かなり難しい知識問題がちらほら出題されており、正確な知識や理解がないとポロポロ点を落としてしまうかもしれません。考察問題はよくあるタイプで、そこまで難しいわけではありません。
<時間配分に関して>
難しいのはどちらかというと知識問題なので、テキパキ解いていけば時間ではそこまで苦労しないと思われます。
<北里大生物の対策>
『基礎問題精講』などの標準的な問題集に加え、『重要問題集』や『大森徹の最強問題集』など、網羅性の高い問題集まで取り組んで死角のない学力を養成したいところです。ただそこまで凝った考察問題は出ていないので、考察系問題集まで取り組む価値はそれほどありません。遺伝に関しては時々複雑なものも出題されているので、必須ではありませんが、対策しておいた方が無難です。
全体の得点戦略
- 偏差値の割に問題難易度高い&時間厳しい。
- 過去問演習で時間配分最適化できれば、合格可能性高まる。
H | M | L | L- | 満点 | |
数学 | 120 | 85 | 75 | 65 | 150 |
英語 | 120 | 85 | 70 | 65 | 150 |
物理 | 90 | 65 | 55 | 50 | 100 |
化学 | 90 | 70 | 60 | 55 | 100 |
生物 | 80 | 60 | 55 | 50 | 100 |
合計 | 420 | 305 | 260 | 235 | 500 |
令和2年度における北里大医学部の二次合格者の一次試験の最低点は256点と発表されています。これは正規合格者の点数でありますので、今回の得点シミュレーションでは、物理選択の場合で、正規合格の最低点であるLラインの合計が260点になるように調整しました。
<物理や化学はHighを狙いやすい>
全体的に低い点数になっていますが、物理や化学のHighラインは比較的狙いやすい水準です。『重要問題集』のA問題相当の標準問題をフォローするだけで大丈夫なんですが、制限時間がやたら短いので、この標準問題を手早く解けるようになるためのトレーニングが必要です。時間を意識したトレーニングを積むだけでも得点力が大きく向上するはずですので、まずは物理・化学の標準レベルの問題を徹底的にトレーニングしましょう。
<生物選択は化学重点的に>
生物選択のHighの8割は行けなくはない水準ですが、それより更に稼ぐとなるとかなり難しくなるので、どちらかというと化学を優先した学習をお勧めします。
<英語は過去問やればやるほど慣れていく>
理科できちんとミスなく稼げば英語や数学は多少コケていても大丈夫ですが、英語は過去問演習を繰り返すだけでも点数は上がっていくのできちんとフォローしておきましょう。
<数学で稼げるのは上位校志望の数強だけか…>
数学で稼げるのは恐らく北里大が本命の受験生というよりは、更に上位の大学を志望する数強の受験生たちです。数弱は大問1中心に稼いで大問2、3は簡単な問題だけ拾うスタンスで良いのですが、数強は時間配分を真剣に考えないといけませんので、過去問演習をやや多めに行っておきたいところです。
<問題難易度は高めかつ時間制限厳しい。過去問対策は重要。>
以上を総合すると、偏差値の割に問題難易度は高く時間制限も厳しいという上位校に似たスタンスの問題ですので、過去問演習を多めに行い時間配分の最適化を入念に行うことで合格可能性をぐっと高めることが出来ます。逆に無対策で突っ込むと基礎学力がしっかりしている受験生でも痛い目を見るかもしれません。
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