<傾向と対策>東京女子医科大学(医学部医学科)学費の大幅値上げで合格難易度は低下している?試験問題は非常にオーソドックスだが、化学だけはかなり稼ぎやすい。

総評

  1. 理科(特に化学)が稼ぎやすいので優先的に学習に取り組む
  2. 英語・数学もほどほどに差のつく問題。決して軽視しない。
理科、特に化学が稼ぎやすいので優先的に学習に取り組む

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入試の基本情報と面接

  • 《科目(配点)》
    数学100点、理科200点、英語100点
  • 適性試験&小論文は一次合否に使用せず。
  • 一次試験合格で二次試験(面接)。面接:個人/15分程度/一般的な内容
  • 学納金 4,621万円4,000円(6年間)+α
  • その他の入試制度》
    一般推薦(約20名):評定4.1/一浪まで
    「至誠と愛」推薦入試(約8名):評定4.1/一浪まで/OB会会員が親族
    指定校推薦(約8名)
国語 数学 理科 英語 面接 合計
100 200 100 400

最も定員が多い一般入試について説明します。適性試験及び小論文試験が実施されますが、この成績は一次試験では利用せず、二次試験の合否判定に用いられます。ただし一次合格者の9割近くが二次合格まで至るので、そこまで重要ではないかもしれません。

<面接・学納金>
二次試験では面接が実施されます。個人面接で、15分程度で概ね普通のことが聞かれるようです。ちなみに、学納金は6年間の合計で4,621万4,000円+諸経費となっており、私立医の中でも別格級に高いです。

<その他の入試制度>
一般入試の他には、評定4.1縛り、一浪までOKの一般推薦入試で約20名の定員、評定4.1縛り、一浪までの条件に加え、親族にOB会会員がいることが求められる「至誠(しせい)と愛」推薦入試で約8名の定員、その他指定校推薦も約8名の定員があるようです。そして当然のことながら、どの入試制度においても受験者は女子に限定されます。

数学の分析<60分・4問>

<目標得点ライン>
満点100/H80/M60/L55/L-50/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間:60分間
  • 大問ごとの難易度評価
    1.B** 2.B* 3.B** 4.C**
  • 全体的な難易度は「標準」
  • 典型問題がベースだが完答はかなり厳しい。
  • 頻出:数3は数3微積が大半。
  • 対策:網羅系問題集のインプット必須。『チョイス』『核心準備編』などでアウトプット。誘導が無い入試本番を装蹄師て学習すること。
問題番号難易度
1B**
2B*
3B**
4C**

<試験問題の概要>
制限時間は60分です。令和2年度の難易度評価は、大問1はB、大問2はB、大問3もB、大問4はCとしました。私立の試験には珍しく、全て記述式で、誘導が全くないのが特徴です。ただ他の年度では誘導つきの大問も存在します。全体的な難易度は標準レベルです。網羅系問題集の典型問題をベースにしたような問題ばかりですが、ややひねってあったり、作業量が多かったりして、時間内に全て完答するのはかなり厳しいです。

<頻出分野>
概ね満遍なく出題されていますが、数3から出題される場合は数3微積となっていることが大半で、複素数平面などの出題が少めです。

東京女子医大数学の対策・インプット編> 
典型問題がベースになっていることから、網羅系問題集でのインプット学習は必須です。

<東京女子医大数学の対策・アウトプット編>
『チョイス新標準問題集』や『理系数学入試の核心(標準編)』などのやさしめの演習書でアウトプット演習を行えば十分でしょう。実際の入試問題には誘導がついていないことが多いので、一問一問、よく問題の背景を理解しながら学習するようにしてください。

英語の分析<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M75/L65/L-60/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間:60分間
  • 大問ごとの難易度評価
    1.長文・B 2.長文・B 3.長文・B 4.長文・B
  • かつてのセンター試験+記述程度の問題だが分量かなり多く時間は厳しい。速読トレーニングを積んで完走を目指す。
  • 対策:速読トレーニング以外は普通の長文をメインとした演習。自由英作文の出題に注意。 
問題番号分野難易度
1長文B
2長文B
3長文B
4長文B

<試験問題の概要>
制限時間は60分の試験です。大問1から4まですべて長文問題です。大問1が重めの長文で和訳問題や30ワード程度の短い自由英作文も含まれています。大問2以降についてはやや軽めの長文になっています。

<時間配分に関して>
難易度はかつてのセンター試験に記述の問題が少し追加されたくらいですが、分量はかなり多いため、時間はかなりタイトです。テンポよく解答していかないと間に合いません。しかしながら捨て問を作るレベルの分量ではないので、ガッツリ速読のトレーニングを積んで何とか完走できるようになるまで頑張りましょう。それでもどうしても時間が足りなければ、和訳や自由英作文をカットしてしまうのも手です。

東京女子医大英語の対策>
速読のトレーニング以外は概ね普通の長文メインの演習で良いですが、短いながらも自由英作文が出題されていることには気をつけましょう。私立で英作文が出題される大学はあまり多くないので、作文や和訳対策まで手が回ると結構なアドバンテージです。

化学の分析<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点100/H95/M75/L70/L-65/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間:120分(2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.小問集合・A 2.高分子・A 3.理論・B 4.有機・B
  • 無機と高分子対策必須。マニアック出題も。
  • 知識問題やや難も計算は取り組みやすいため、時間が不足することはないか。
  • 対策:『重要問題集』A問題レベル+高分子はB問題レベルまで取り組んでおきたい。
問題番号分野難易度
1小問集合A
2高分子A
3理論B
4有機B

<出題分野の傾向>
令和2年度では小問集合1問、理論1問、有機1問、高分子1問のセットでした。無機も高分子も毎年コンスタントに出題されており対策は必須です。特に高分子でややマニアックな知識まで問われる傾向があり、教科書の隅から隅まで知識を入れるつもりで丁寧に学習してください。それに加えてアミノ酸の側鎖や核酸の構造や性質などについてもきちんと押さえておけば完璧です。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、化学には60分が割けます。知識問題はやや難しいものも含まれますが、計算問題は非常にライトで取り組みやすくなっています。

<時間配分に関して>
知識問題は難しくても計算問題はマイルドなので、時間が足りなくなることはないでしょう。

東京女子医大化学の対策>
『重要問題集』A問題レベルで構いませんが、高分子だけはやや難しいのでB問題レベルまで取り組んでおきたいところです。

物理の対策<60分・3問> 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L65/L-60/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン )

  • 試験時間:120分間(2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.力学・B 2.波動・B 3.電磁気・B
  • かつてのセンター試験や教科書で扱われる題材で基本問題が多い。後半は難問含む。
  • 取り組みやすい3問のため時間はちょうどよい。
  • 対策:『重要問題集』A問題、『良問の風』まで取り組めれば十分なレベル。
問題番号分野難易度
1力学B
2波動B
3電磁気B

<出題分野の傾向>
令和2年度では、力学1問、電磁気1問、波動1問というセットでした。力学と電磁気が固定で、もう1問は波動か熱が出ることが多いですが、原子も時々出てくるので注意です。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、物理には60分を割けます。殆どがかつてのセンター試験や、教科書に扱われるような題材で基本問題が多いですが、大問の後ろのほうに少し難しめの問題が含まれていることがあります。

<時間配分に関して>
取り組みやすい大問が3問というセットなので、ちょうどよいくらいになるかと思われます。

東京女子医大物理の対策>
『重要問題集』A問題や、『良問の風』レベルまで取り組めば十分です。

生物の対策<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L65/L-60/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ) 

  • 試験時間:120分間(2科目)
  • 大問ごとの難易度評価
    1.神経&発生&遺伝・B 2.分子生物・B〜C 3.体内環境・A 4.進化&代謝・B
  • 簡単な知識問題と難しめ考察問題の差激しい。考察問題で悩みすぎなければ時間は足りる。
  • 対策:標準的な問題集+頻出分野(体内環境、発生)は考察問題まで取り組みたい。余裕があれば遺伝対策もしておくとよい。
問題番号分野難易度
1神経&発生&遺伝B
2分子生物B〜C
3体内環境A
4進化&代謝B

<出題分野の傾向>
体内環境や発生は毎年出題されており、次点で分子生物と神経がよく出題されています。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、生物には60分が割けます。簡単な知識問題と、難しめの考察問題のギャップが激しく、ほどほどの難易度の問題があまりありません。難しい考察問題であまり考え込み過ぎずに、テンポよく進めていきましょう。

<時間配分に関して>
考察で悩み過ぎなければ間に合うくらいなので、解けない問題があってもやもやするかもしれませんが、あまり気にせずに次に進んでください。

<東京女子医大生物の対策>
『基礎問題精講』などの標準的な問題集で良いですが、頻出の体内環境や発生に絞って『標準問題精講』などの考察問題に取り組めばより高い点数が狙えます。遺伝もちょいちょい出ているので、余裕があれば対策しておくと良いでしょう。

全体の得点戦略

  • まず化学を優先的に固める。
  • 次に 物理選択者→物理優先
       生物選択者→考察ほどほどに英語対策
  • これらと並行して数学対策を進める。
HMLL-満点
数学80605550100
英語85706560100
物理85706560100
化学95757065100
生物85706560100
合計345275255235400

<学費の大幅値上げの影響で、恐らく難易度は低下している>
令和2年度における東京女子医科大の合格最低点は249点と発表されています。恐らく繰り上げ合格者の点数ですが、近年、女子医大では学費の大幅値上げがあり、受験生の人気が大幅にダウンしたと考えられることから、繰り上げ合格の最低点目安であるLowマイナスの合計点が235点になるように調整しました。ひょっとしたらこれ以上に入学難易度が低くなっているかもしれません。

<理科、特に化学で点を稼ぎやすい>
全体を概況すると、配点が理科重視なこともあり、やはり理科が一番稼ぎやすいです。化学は特に稼ぎやすいので、細かい知識問題のフォローを丁寧に行いながらHighに相当するラインまで点を伸ばしていきたいところです。次点で物理か生物ということになりますが、物理のほうがHighは狙いやすいので、物理選択の場合は物理の学習時間を多めに取るのも悪くありません。生物選択の場合はHigh突破を目指して考察対策をダラダラやるよりは、英語の速読演習や自由英作文などに時間を割く方が得策かもしれません。また、数学も決して馬鹿には出来ません。どの問題も粒ぞろいのそこそこ差のつく問題ですので、放置し過ぎは良くありません。少なくとも普段の学習時間の5分の1程度は数学に割いておくべきでしょう。

以上をまとめると、まずは化学を優先的に固め、その後物理選択者は物理優先で対策、生物選択者は考察はほどほどにして英語の対策を優先してください。そしてこれらの対策と常に並行する形で、数学の問題も少しずつ解き進めておきましょう。

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