総評
- 数学は難易度が高く点を伸ばしにくい
- 英語や物理が非常に平易
- 物理有利で、生物選択は不利な傾向
英語や物理が非常に平易
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<注>動画内の目標得点ラインに大幅な手直しが必要となったため、ブログ内で新しい目標得点ラインを示しています。英語のHigh以外を10点程度、理科のHigh以外で5点程度の減点を行っています。
入試の基本情報と面接
- 《科目(配点)》数学100点、理科150点、英語100点
- 一次試験合格で二次試験(面接のみ)。面接:個人/15分程度/50点満点。通常の質問の他、「岩手県の地域医療」への意欲が問われることも。
- 学納金 3,400万円(6年間)+α
- 《その他の入試制度》
- 公募制推薦入試(定員15名) 評定4.0/一浪まで
- 地域枠A(定員15名) 岩手出身/評定4.3/一浪まで/奨学金
- 地域枠B(定員8名) 東北出身/評定4.0/一浪まで/奨学金
- 地域枠(定員2名) 秋田出身
- 一般入試 地域枠(定員5名) 奨学金
国語 | 数学 | 理科 | 英語 | 面接 | 合計 |
– | 100 | 150 | 100 | 50 | 400 |
<面接>
最も定員が多い一般入試について説明します。一次試験に合格すると二次試験で、面接が実施されます。小論文試験は実施されません。面接は個人面接で、凡そ15分程度の面接があり、普通の質問に加え、岩手への地域医療への意欲等を問う質問もあるようです。面接点が設定されており、50点の配点があります。
<学納金>
学納金は6年間の合計で約3,400万円+諸経費となっており、私立医の中でもけっこうな感じの学費です。
<その他の入試制度>
岩手医科大のその他の入試制度には評定4.0、一浪まで縛りの公募制推薦入試(定員15名)、岩手出身者限定、評定4.3、一浪まで、奨学金ありの地域枠A(定員15名)、東北出身者限定、評定4.0、一浪まで、奨学金ありの地域枠B(定員8名)、秋田限定の地域枠(定員2名)があります。また、一般入試の地域枠(定員5名)もあり、奨学金の貸し付けがあります。こちらは浪人回数や評定の縛りはありません。詳細については大学HPをご覧ください。
数学の分析<60分・3問>
<目標得点ライン>
満点100/H70/M55/L45/L-40/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン)
- 試験時間:60分間
- 大問ごとの難易度評価
1.B** 2.B** 3.C**** - 全体的な難易度は「標準〜やや難」
- 私立らしい特殊な出題傾向。計算力が求められる。
- 難解かつ膨大な計算を要する問題。時間不足。
- 頻出:数3微積。次点で空間ベクトル。
- 対策:ベースは標準問題。網羅系問題集でのインプット学習は必須。アウトプットは『核心標準編』『チョイス』など。時間を意識してトレーニング。
問題番号 | 難易度 |
1 | B** |
2 | B** |
3 | C**** |
<試験問題の概要>
制限時間は60分です。令和3年度の難易度評価は、大問1はB、大問2もB、大問3はCとしました。全体的な難易度は標準~やや難です。データの分析が大問単位で出題されたり、誘導が難解な問題があったりと、いかにも私立らしい特殊な出題傾向です。思考力や発想力を問う問題は少なく、計算力が最も要求される試験になっています。難解かつ膨大な計算量を要求する問題が含まれており、時間は不足気味です。
<頻出分野>
頻出分野は数3微積で、二次曲線を絡めた問題や回転体の問題などパターンも一定しています。次点で空間ベクトルが頻出です。
<岩手医科大数学の対策・インプット編>
計算量が膨大なためしんどく感じるものの、ベースとしては標準問題が中心ですので網羅系問題集を用いたインプット学習が必須でしょう。
<岩手医科大数学の対策・アウトプット編>
『理系数学入試の核心(標準編)』や、『チョイス新標準問題集』など易しい問題集で構いませんが、本番でスピーディーにアウトプットできるように時間を意識したトレーニングをしてください。
英語の分析<60分・7問>
<目標得点ライン>
満点100/H95/M75/L65/L-60/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン※動画内のラインより、10点程度減点しています。(Highは据え置き))
- 試験時間:60分間
- 大問ごとの難易度評価
1.長文・B 2.アクセント・A 3.文法・A 4.会話表現・A 5.不自然な文の除去・A 6.並び替え・B 7.長文・A - 難易度はかつてのセンター試験程度。普通に間に合う程度の分量。
- 対策:比較的オーソドックスな問題のため、特別な対策は不要。苦手分野は対策を。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 長文 | B |
2 | アクセント | A |
3 | 文法 | A |
4 | 会話表現 | A |
5 | 不自然な文の除去 | A |
6 | 並び替え | B |
7 | 長文 | A |
<試験問題の概要>
制限時間は60分の試験です。はじめの大問1と最後の大問7が長文で、あとはアクセント、文法、会話表現、不自然な文の除去、並び替え問題となっています。長文にせよ、その他のタイプの問題にせよ、難易度はかつてのセンター試験とほぼ同等です。
<時間配分に関して>
60分の制限時間に対して大問は7問もありますが、英語が苦手でなければ普通に間に合います。
<岩手医科大英語の対策>
比較的オーソドックスな問題であるため特別な対策は必要ありません。他の科目に比べて圧倒的に稼ぎやすいはずなので、失点の多い分野があればかつてのセンター試験に準ずる対策をしてください。長文読解力はすぐには上がりませんが、その他の問題は短期間の対策でも得点力をつけやすいでしょう。
化学の分析<60分・3問>
<目標得点ライン>
満点75/H60/M50/L42/L-37/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン※動画内のラインより、3~5点程度減点しています。(Highは据え置き) )
- 試験時間:120分間(2科目)
- 大問ごとの難易度評価
1.小問集合・B 2.無機・B〜C 3.有機・B - ほとんどの問題はセンター試験レベルだが、一部マニアックな出題もある。
- 時間はちょうどよい程度。
- 対策:『重要問題集』A問題レベルで構わない。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 小問集合 | B |
2 | 無機 | B〜C |
3 | 有機 | B |
<出題分野の傾向>
令和3年度では理論1問、無機1問、有機1問のセットでした。無機が毎年出題され、高分子は時々出ます。
<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、化学には60分の時間を割けます。殆どの問題はセンター試験レベルでそう難しくありませんが、無機などの分野でマニアックな知識問題がちらほら出題されています。とはいえそう多いわけでもなく、対策も難しいので、そういう問題はあまり気にせず標準レベルの問題を確実に解いていきましょう。
<時間配分に関して>
60分の制限時間に対してちょうどいいくらいの分量です。
<岩手医科大化学の対策>
『重要問題集』A問題レベルの演習で構いません。マニアックな知識問題が合否を左右することはないので気にせずいきましょう。
物理の対策<60分・3問>
<目標得点ライン>
満点75/H65/M50/L45/L-40/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ※動画内のラインより、5~10点程度減点しています。(Highは据え置き) )
- 試験時間:120分間(2科目)
- 大問ごとの難易度評価
1.力学・A 2.電磁気・A 3.波動・A〜B - 時間に関してもちょうどよい程度。
- 対策:『重要問題集』A問題、『良問の風』でおつりが来るレベル。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 力学 | A |
2 | 電磁気 | A |
3 | 波動 | A〜B |
<出題分野の傾向>
令和2年度では、力学1問、電磁気1問、波動1問が出題されました。例年、力学と電磁気は固定で、残り1問が波動か熱、または原子です。
<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、物理には60分を割けます。大問3問構成です。どの問題も非常に平易で、易しめの問題集に収録されているような問題ばかりです。
<時間配分に関して>
分量もそれほど多くないので時間はちょうどいいくらいです。
<岩手医科大物理の対策>
『重要問題集』A問題や、『良問の風』レベルまで取り組めばおつりが来ます。
生物の対策<60分・5問>
<目標得点ライン>
満点75/H55/M45/L37/L-33/
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン L-:繰り上げ合格者最低点予想ライン ※動画内のラインより、3~5点程度減点しています。(Highは据え置き) )
- 試験時間:120分間(2科目)
- 大問ごとの難易度評価
1.神経・B 2.体内環境・B 3.発生・C 4.細胞生物・B 5.分子生物・C - 全体的に粒ぞろいの考察問題が続く。ほどほどに差がつく難易度。
- 時間は結構タイト。化学との時間配分に注意。
- 対策:標準的な問題集+考察系問題集。頻出分野に絞ってOK。余裕あれば遺伝も。
問題番号 | 分野 | 難易度 |
1 | 神経 | B |
2 | 体内環境 | B |
3 | 発生 | C |
4 | 細胞生物 | B |
5 | 分子生物 | C |
<出題分野の傾向>
令和2年度では神経、体内環境、発生、細胞生物、分子生物のセットでしたが、例年ほぼこの構成が踏襲されており、年度によっては、細胞生物の代わりに代謝になったり、分子生物が進化と系統との融合問題になったりします。植物生理・生態は出題がありません。
<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、生物には60分の時間を割けます。全体的に粒ぞろいの考察問題が多く、めちゃくちゃ難しいわけではないのですが、ほどほどに差がつく難易度の問題が大半を占めています。
<時間配分に関して>
60分の制限時間で5問の考察問題を捌く必要があり、結構タイトです。化学で悩み過ぎないで生物に時間を割けるよう時間配分に気を付けてください。
<岩手医科大生物の対策>
『基礎問題精講』などの標準的な問題集に加え、『標準問題精講』などの考察系問題集まで取り組みたいところです。分野の偏りが激しいので、頻出の神経・体内環境・発生に絞った対策で良いでしょう。遺伝は複雑なものは出題されていないので、余裕があれば対策するくらいで構いません。
全体の得点戦略
- 得点しやすい順番
英語→物理→化学・生物→数学
H | M | L | L- | 満点 | |
数学 | 70 | 55 | 45 | 40 | 100 |
英語 | 95 | 75 | 65 | 60 | 100 |
物理 | 65 | 50 | 42 | 40 | 75 |
化学 | 60 | 50 | 42 | 37 | 75 |
生物 | 55 | 45 | 45 | 33 | 75 |
合計 | 290 | 230 | 194 | 177 | 350 |
※動画内と分析のロジックが変わっています。令和2年度における岩手医科の一次合格の最低点は188点、最終合格の最低点(おそらく正規合格者の最低点)は255点と発表されています。(当時の満点は400点でしたので、高めに出ています。)今回の分析では、繰り上げ合格ライン(Lマイナスライン)を205点(満点400点)とし、これを350点満点換算に変換した結果を表に示しています。概ね、半分程度の得点率でどうにかギリギリといった難易度のようです。
<英語・物理の点が伸ばしやすい>
岩手医大の入試で最も高得点を出しやすいのは英語、次点で物理でしょう。化学、生物はやや点を伸ばしにくく、数学に至っては圧倒的な計算量のセットに押し殺され、全体的に低い得点帯で団子になっていると予想しています。平易な問題ばかりの英語と物理で、確実に高得点を取れるかどうかが合否を分ける最も大きな要素です。「英語が得意な物理選択」という属性であればめちゃくちゃ有利で、積極的に出願校の候補に入れていきましょう。どちらかというと英語で稼げるのは生物選択者かもしれませんが、理科だけで見ると残念ながら生物は不利です。
岩手県の地域医療の概況
- 医師数はやや少なめ。盛岡に医師が一極集中。県域広く大きな問題。
- 各地に県立病院配置。高度医療が必要な場合は盛岡へ搬送される体制。
- 三陸海岸付近の地域は未だ東日本大震災の影響から医師少ない。盛岡からも遠く課題が山積する地域。
岩手県の医師数は全国平均に比べやや少な目です。盛岡に医師の半分以上が集中しており、県の広さも相まって、地域偏在が大きな問題となっています。県各地に県立病院が配置されており、高度な医療が必要な場合は盛岡の病院に搬送される体制が敷かれています。また三陸海岸付近の地域は未だ東日本大震災の影響があり医師数が少なく、盛岡から遠いこともあり、課題が山積みです。
コメント
各ラインの点数ですが、この年度は400点満点では無いでしょうか。
コメント、ご指摘ありがとうございます。確認しましたところ、確かにその通りでございました。
この合計点を基に分析の整合性を取っていたため、分析(の定量的な部分)全体を手直しする必要が出てきました。急ぎ対応します。この度はご指摘ありがとうございました。