<傾向と対策>金沢大学(医学部医学科)二次比率70%かつ標準問題が大多数。記述模試の判定通りの合格率になりそう。二次逆転も狙いやすく。

総評

  • 難易度、傾向が年度によってブレがち。しかしレベルはおおむね標準問題。「どんな模試でもそつなく高偏差値」な、素の基礎学力が反映されやすい。(逆に傾向対策はしにくい。)
  • 二次比率70%なので、二次力さえあれば、共通テストの失敗を大逆転できる。
素直に基礎学力が反映されることから、努力が報われやすく、理不尽さは感じにくい試験とも言えます。二次比率は70%と極端に高くなったのもあり、元々二次力の高い受験生なら、共通テストで風邪を引いて低い点数に留まってしまったような時には、金沢大学で大逆転、そんなシナリオはありそうです。

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率70%
  • 生物受験不可。
  • 面接は105~135のレンジ?
  • 面接では基本的事項しか聞かれない。+医療ニュース関連?
  • 公民は「倫理・政経」のみ。
  • 共通テストに博打要素を感じる人には仮の第一志望校としてもおすすめ。
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 100 50 100 100 100 450
二次 300 300 300 150 600

二次比率は70%で、極めて二次配点が高くなっています。

理科は物理・化学オンリーで、生物選択は受験できない大学であることに注意してください。

面接点については非開示であるためグレーな点は多いです。あくまでネット上の情報を総合したものにすぎませんが、点数は70%~90%程度のレンジであること、点数化すれば105点~135点ということですね。面接で聞かれることのほとんどがどこの大学でも聞かれるような内容ですが、研究への関心、医療ニュースなどについての質問なども時々あるようです。例のウイルスは誰でも話題にしますから、プラスアルファで何か1つネタがあると安心かもしれません。

近年難化傾向であり、この傾向が続けば医学部受験層であっても差のつきやすい試験となります。

各科目の分析に入る前に、全体的な傾向として補足を致します。金沢大学医学部はここ2年で問題の難易度が急激に難化しており、令和2年度の二次最低点の得点率は平成30年度に比べれば、10%程度減少しております。今回の分析は主に令和2年度の難しい年の傾向が続くだろうという仮定のもとでのものになります。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点300/H240/M195/L180
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間120分 大問4問構成
  • 標準~やや難のレベル。計算多め。
  • 難しい問題も、標準的解法の組み合わせ。
  • 全体的に作業量多く、ボリューム多い。
  • すぐに方針の立たない問題は後回し。確実に解ける問題から解答すべし。
  • 標準問題(1対1など)のインプットは勿論重要。
  • 難問系問題集は不要だが、「複合的」な問題を捌けるよう標準問題のアウトプットは必要。金沢大過去問、下位旧帝の過去問辺りが無難。
  • 近年見られる誘導のない問題を対策するなら京大過去問等も検討。
  • 発想力や思考力というより、正確な計算力など、普段のトレーニングが点差に反映されそう。

<試験問題の概要>
制限時間は120分の試験です。大問4問構成で、標準的~やや難しい問題で構成されています。

計算問題が少し多めかもしれません。難易度の高い問題も混じることもありますが、発展的な内容を問われるというよりは、標準的な内容の組み合わせ、応用であることが多い印象です。

全体的に作業量の多い問題が目立ちます、120分の試験としてはボリュームの多い試験と言えます。方針を立てるのに時間がかかる問題は後回しにして、方針が立ち、確実にとける問題から解いていくことが重要なポイントとなってくるでしょう。

<金沢大数学の対策・インプット編>
1対1対応の演習など標準的な問題集の解法をマスターすることは最優先でしょう。

金沢大学については、難しい問題も結局標準問題の組み合わせで出来ていることが多いため、難しい問題集に取り組む必要はありません。 

<金沢大数学の対策・アウトプット編>
なるべく実践的な環境で、下位旧帝大レベルの問題に取り組みましょう。勿論、金沢大学の問題でもOKです。

難易度の高い問題の対策は基本的には不要ですが、時間に余裕があれば、誘導のない問題が含まれるようになった近年の傾向に合わせて、京大などの過去問で、誘導のない大問を解く練習をするとよいでしょう。

発想力や思考力よりも、計算力などといった、普段の地道なトレーニングが点差に繋がっていく、そんなセットです。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点300/H240/M210/L180
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間90分
  • 大問3問 2問は長文1問は作文
  • 作文の形式は80~120語の自由英作文。長文の最後にも短い自由英作文あり。
  • 自由英作文の処理早ければ時間はほどほど。丁寧に長文読む余裕あるかも。
  • 「英問英答」が特色だがほぼ抜き出し問題。ただし文法ミスには注意。
  • 自由英作文の傾向はブレている。

<試験問題の概要>
90分の試験で、大問は3問、2問は長文、1問は80~120word級の自由英作文になっています。

長文の2つの大問の最後に、長文のテーマに沿った短い自由英作文もついています。自由英作文に慣れていれば、そこまで時間がきついわけでもありません。

はじめに1回通読して全体像をつかみ、小問を解く際にはもう1度丁寧に細かいところを読んでいく、そんなスタイルでいいように思います。

英文で問題があり、それを英語で答える形式の問題がユニークとされていますが、殆どの問題は本文中の表現の抜きだしに近い形で解答できるので、そこまでビビる必要はありません。ただし、しょうもない文法ミスがないように見直しの時間はとってください。

自由英作文はの自由度は高かったり、低かったり、色々ブレている傾向です。色々なバリエーションの自由英作文のトレーニングを行う必要があるでしょう。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点150/H130/M110/L90
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間120分(理科2科目)
  • 大問4問構成
  • 理論1、無機1、有機1は確定で、+aが有機(医薬品絡み)or高分子or理論…
  • 難易度は標準レベル。
  • 時間は圧倒的に足りない。物理も時間が足りないので情報処理能力が命。
  • 瞬時に方針を見抜き、一発で正確に正しい答えを導けるレベルまで習熟しないと点数に繋がらない。
  • 標準問題集でいいが、徹底的にやりこもう。

<出題分野の傾向>
大問4問構成で、出題分野の傾向はやや不安定です。

ここ数年の傾向としては、理論1問、無機1問、有機1問はほぼ確定で、もう1問が医薬品に関連した有機になることもあれば、高分子になることもあれば、年をさかのぼれば理論にもなったり、といった様子で安定していません。

求められる得点率も高いことから、あんまり山を張らず、まんべんなく勉強する必要がありそうです。

<時間配分に関して>
難易度は標準的ですが、いかんせん時間が60分しかありません。物理の時間も厳しいですから、理科全体としてたいへん高い情報処理能力が要求されます。

<試験問題の概要>
また、それぞれの問題について、時間をかけて考えれば解ける、程度の定着度では太刀打ちできません。一瞬見ただけで解答の方針が浮かび、計算や構造決定を素早く間違いなく進めていく力がないと点数に繋がりません。


<金沢大化学の対策>
新演習など難問の問題集にじっくり取り組むというよりは、重要問題集などの標準的なレベルの問題集を、何度も周回して定着させるといった方針で勉強を進めるべきでしょう。

瞬殺できる問題の幅が広がれば広がるほど、点数が伸びていきます。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点150/H120/M105/L90
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。難易度は標準~やや難。時間厳しく、全問解ききるのは難しい。
  • 問題の背景や流れを意識しながら解かないと詰まってしまいやすい。
  • 標準的問題集で良いが、それぞれの小問の誘導の意味を意識しながら問題に取り組もう。

<試験問題の概要>
大問3問で構成され、難易度そのものは標準~やや難レベルです。

60分しかない試験なのに、それなりに難しい問題を解ききる必要があります。全問解答しきるには、相当の実力が必要でしょう。

問題の背景や流れをきちんと理解しながら解いていかないと途中で詰まってしまう場合が多いため、いたずらに小問の解答を出すだけでなく、最終的に何を求めにいこうとしているのか意識しながら問題に取り組みましょう。

<時間配分に関して>
時間も切羽詰まっていますから、後ろのほうの小問は飛ばして切り抜けざるを得ないのが実情でしょう。時間さえあれば標準的な問題が大半です。

<金沢大物理の対策>
普段のトレーニングとしては標準的な問題集で良いですが、その普段のトレーニングの時から、小問の誘導の意味を意識しながら、大問全体の流れを把握して問題に取り組むように心がけましょう。

石川県の地域医療の概況

  • 石川県の医師数は実は多め。金沢大学以外に、金沢医科大学(私立)もあるため。
  • 医師の地域偏在激しく能登半島北部の医療は厳しい。

石川県の医師数は病院勤務医を中心に比較的充実しています。

その理由は、石川県には金沢市に、金沢大学以外に、金沢医科大学という私立大学も存在するからです。

金沢市の医療資源は全国トップレベルの充実度となっています。ただし県内における医療資源の偏在は激しく、例えば能登半島の北部では、高度な医療が必要な場合には、能登半島中部の病院に患者さんを搬送するか、時には100キロ以上離れた金沢の病院へ患者さんを搬送することもあるそうです。

少し前に、日本で医学部を増やそうとしていた時に、「医師不足が問題なのか?偏在が問題なのか?」という議論がなされたことがありましたが、こと石川県に至っては、後者の偏在が問題なのでしょう。

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