<傾向と対策>福井大学(医学部医学科)全体的に問題難易度難しめだが、理科の出題分野が運ゲー。意外な逆転も。

総評

  • 科目間のバランスが良く、数学、英語、理科のいずれの科目でもほどほどの点差がつく試験
  • それぞれの科目に独特な傾向きちんと過去問を踏まえて対策する
センター重視の割には逆転も狙いやすく、令和2年度ではセンター78%からの逆転例もありました。理科の点数は運要素で決まるところもあり、二次力が足りないために通常の二次型の試験での逆転が厳しい受験生でも、ワンチャンあるかもしれません。

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率44%
  • 面接は約10分間で一般的な内容70~80点前後になることが多い
  • 短い面接のため、第一印象が重要、身だしなみになどに最新の注意、想定される質問は答えを準備しておく
  • 公民は1科目受験不可、「倫理・政治経済」のみ使用可能
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 200 900
二次 200 200 200 100 700

二次比率は44%で、共通テスト型といえます。面接では、約10分の面接で概ね一般的なことが聞かれるようです。面接点はあまり情報がありませんでしたが、70~80点前後が一般的なようです。大きな差はついていないようですが、ある程度は差がつくかもしれません。短い時間の面接ですので、第一印象がたいへん重要です。身だしなみなどには細心の注意を払って、聞かれるであろう質問に関しては予め答えを想定しておいてください。これだけの対策で10点プラスされると思えば儲けものです。公民は1科目受験不可で、すなわち、「倫理・政経」2科目まとまった科目オンリーです。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点200/H160/M125/L100
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 大問4問、試験110分
  • 難易度は標準~やや難
  • 各大問3~4問の小問に分かれ、後半になるほど難しくなっていく
  • ボリュームは適正かやや少なめ。見直しも可
  • 出題分野には偏りあり。重点的に対策を
  • ‐複素数平面を絡めた多分野融合問題
  • ‐数Ⅲ微積(特に空間図形の体積を絡めて)
  • ‐確率
  • 対策:標準問題の解法を押さえることが必須、千葉大、神戸大、下位旧帝大の問題でアウトプット演習。頻出以外も満遍なく勉強

<試験問題の概要>
大問4問構成で、制限時間は110分の試験です。全体的な難易度は標準~やや難レベルです。標準問題にアレンジを加え融合問題として仕上がっている問題や、旧帝大レベルの問題に丁寧な誘導をつけている問題が多くなっています。各大問3~4問の小問に分かれており、前半は著しく易しく、後半になればなるほど難しくなっていきます。後半の小問には、やや思考力を要する問題も散見されます。制限時間は110分と中途半端な時間ですが、計算量や作業量は少な目であるため、ボリュームは適正か、人によってはやや少なめと感じるでしょう。見直しの時間も十分とれるかと思います。

<頻出分野>
出題分野には偏りがあります。2018年度から3年連続で複素数平面を絡めた多分野融合問題が大問1に出題されています。また数3微積が頻出で、その中でも空間図形の体積を絡めた問題が極めて頻出になっています。更には確率も頻出です。2019年度にはデータと分析の問題があったことも補足しておきます。

<福井大数学の対策> 
前半の小問は典型問題ばかりですので、青チャートや1対1対応の演習などで標準問題の解法を抑えることは必須になります。

その後、千葉大・神戸大、あるいは下位旧帝大レベルの問題でアウトプットの演習を積んでください。広島大・岡山大なども似たようなテイストの問題が多いかもしれません。複素数平面や数3微積の立体の体積に関する問題は重点的に対策が必要ですが、他の分野は満遍なく勉強してください。難しめの問題も、典型問題が融合している故の難しさですので、難問や奇問対策は不要です。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点200/H160/M140/L125
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間110分、大問4問、長文3問、自由英作文1問
  • 長文の難易度は、語彙:標準、内容:標準~やや難
  • 《大問別分析》
  • 大問1:長文(穴埋め問題)
  • 大問2:長文(小説)←難度高く後回しも手
  • 大問3:長文(理系ジャンル)
  • 大問4:自由英作文(100words前後)
  • 大問1、3、4を処理してから、大問2に取り組むと最も得点が安定する

<試験問題の概要>
110分の試験で、大問は4問です。長文が3問、自由英作文が1問の構成です。長文については、語彙は標準レベル、内容は標準からやや難レベルです。

大問1は長文の穴埋め問題で、さほど難しくはありませんが、手際よく処理していかないと他の問題に時間が割けませんので、早く解ききる練習が必要でしょう。

大問2は小説が出題されており、これが中々くせ者です。小説そのものも最後まで展開の読みにくい文章であり、設問はもっと難しく、殆ど現代文の記述のような答えにくい設問になっています。恐らく低い点数で団子になっている可能性が高く、最後に回してもいいかもしれません。

大問3は理系ジャンルの長文で、これはいたって普通の長文問題です。大問4は100ワード前後の自由英作文で、これもまたよく見かけるようなテーマの自由英作文です。大問2の小説だけが取り組みにくいので、大問1と3と4をきちんと処理してしっかり点数を稼いだ後、大問2は後から時間の許す限りゆっくり取り組む、そんな感じの解き方が、最も得点が安定するのではないかと思います。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M70/L65
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • R2は大問3問構成、理論2問、有機1問だったが傾向不安定
  • 難易度は標準~やや難、解き始める前に全体確認して見通し立てる
  • 対策:『重要問題集』等の標準的な問題集を1周丁寧に仕上げたら、福井大の過去問を用いて、時間配分に注意しながら練習
  • 年度によって時間配分の戦略に変化、小問解き終わるたびに経過時間を記録し、その年度の適切な時間配分を検討

<出題分野の傾向>
大問3問構成で、理論が2問、有機が1問でした。傾向があまりはっきり定まっておらず、理論1問、有機1問、無機1問の年もあれば、そもそも大問が2問で、無機が1問、有機が1問で理論がほんの少ししか出ない、といった年もありました。

<時間配分に関して>
難易度は標準からやや難で、60分の試験でもあるので最後まで到達しなかった受験生もいるように思います。1番を解き始める前に、全体の問題数を確認して、どのようなペースで解くべきか、重い計算問題を飛ばすべきかどうか、ある程度見通しをつけておきましょう。傾向が定まっていないことが傾向、といった様子です。

<福井大化学の対策>
重要問題集レベルの標準的な問題集を1周丁寧に仕上げたら、あとは福井大学の過去問を用いて、時間配分を気にしながら点数をなるべく稼いでいく練習になるかと思います。恐らく年度によって時間配分の戦略が色々変わってきます。小問が解き終わるたびに経過時間を記録し、その年度で適切な時間配分はどうだったか、過去問を解き終わるたびにきちんと再検討してみてください。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H80/M70/L65
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問2問構成。明確な傾向なし。※力学、電磁気が出題されない年も
  • 難易度は標準レベル。出題分野の不確実性がくせ者。
  • 「共通テストのビハインドを逆転したい!」⇒対策が容易な分野に山を張る戦略も
  • 「共通テストのリードを維持したい」⇒苦手分野もある程度解答できるように対策

<出題分野の傾向>
大問2問構成で、出題分野にははっきりした傾向がありません。力学や電磁気が全く出題されない年すらあります。令和2年度では原子分野が大問1題ぶん出題され、困惑した受験生もいたかもしれません。

<試験問題の概要>
難易度は標準レベルで難問はありませんが、この出題分野の不確実性がくせ者です。重点的に対策した分野がたまたま出題されれば高得点になりますが、その逆もまた然りです。

<福井大物理の対策>
共通テストのビハインドを逆転したい受験生は熱力学や原子など、比較的対策が容易な分野を重点的に対策し、あとは出題者が気まぐれでこれらの分野を出題することを祈る、といった戦略を取ることが出来ます。一方で、共通テストのリードを維持したい受験生は、苦手分野が出題されたときにもある程度解答できるように、苦手分野を潰していく勉強を心がけましょう。

生物の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H80/M70/L65
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。出題分野に偏り。分子生物、体内環境はほぼ毎年出題、次点で細胞生物と神経が多く出題
  • 難易度は標準~やや難。知識問題と考察問題が半々。知識の論述もあるが、考察の方は多いので優先的に対策
  • 考察系問題集は分野を絞った対策でOK
  • ボリューム多め。化学の事情を鑑みて配分
  • 遺伝も少々出題。余裕があれば対策したい

<出題分野の傾向>
大問3問構成の年がほとんどで、出題分野には大いに偏りがあります。分子生物、体内環境はほぼ毎年出題されており、次点で細胞生物と神経の分野が多く出題されています。変則的に、植物生理が出題された年もありました。態の出題は殆どなく、進化と系統の分野も出題は控えめです。

<試験問題の概要>
難易度は標準からやや難で、知識問題が半分、考察問題が半分といった感じになっています。知識の論述問題もちらほら見られますが、考察問題の方が数が多いので、論述対策より考察問題対策の方が優先でしょう。最終的には、考察系問題集にまで手を出していきたいところです。

<福井大生物の対策>
考察系問題集は体内環境、分子生物、細胞生物、神経など分野を絞った対策でOKです。ボリュームはちょっと多めなので、化学の事情も鑑みながら、ペース配分を調整してください。遺伝もちょいちょいありますので、余裕があれば対策をしたいところです。

福井県の地域医療の概況

  • 人口当たりの医師数は概ね全国平均レベル
  • 地域偏在が激しい、福井市とその周辺に一極集中状態
  • 丹南、奥越地方や敦賀市などは医師不足
  • 高度な医療が必要な場合は福井市まで移動刷る必要
  • 診療科偏在の問題はほとんどなし

福井県における人口当たりの医師数はおおむね全国平均レベルです。しかしながら地域偏在は非常に激しく、福井市とその周辺に医師が一極集中しています。丹南(たんなん)、奥越(おくえつ)地方と呼ばれる福井市から少し離れた地方や、原子力発電所の多い敦賀(つるが)市などでは、医師不足であり、高度な医療が必要な際は、県のサイズも小さいこともあり、福井市の病院まで移動するようです。なお、診療科偏在の問題はほとんどありません。

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