<傾向と対策>名古屋大学(医学部医学科):数学が超難易度の旧帝。国語は現代文のみ。

総評

  • 数学で抜きんでた学力が必要
  • 英語は速読型でそこそこ差がつく
  • 理科は標準的な問題を押さえておけば何とかなる
  • 国語は現代文のみで大きな差はつかない試験になった
数学で一歩抜きんでた学力が必要であること、英語は速読型でそこそこ差がつくこと、理科は標準的な問題を抑えておけば何とかなること、国語は現代文のみで大きな差は付かない試験になったことが抑えておくべきポイントとなるでしょう。

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率65%%
  • 面接は5~10分で概ね一般的な内容
  • 公民は1科目受験不可「倫理・政治経済」のみ使用可能
  • 大学別模試が存在。名大実践模試、名大オープン模試など。
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 200 900
二次 150 500 500 500 1650

二次比率は65%で、二次型といえます。配点は若干社会が圧縮されたともいえる配点です。

面接については、5~10分の面接で、概ね一般的なことがきかれるようです。面接落ちの噂も、聞いたことはありません。公民は1科目受験不可で、すなわち、「倫理・政経」2科目まとまった科目オンリーです。また、名大には大学別模試、すなわち名大実践模試と名大オープン模試があります。名大実践模試は通常通り実施されますが、2020年度の名大オープン模試については外部受験は中止になり、河合塾生と高校からの申し込みに限定される見込みとなっております。注意してください。なお、名大オープンについては河合塾から過去問集が販売されています。名大オープンが受験できない方は、ぜひ一度やってみてください。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点500/H420/M330/L280
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 大問4問、試験時間150分
  • 難易度はやや難~難しい
  • 典型問題ほとんどなし、斬新な設定、各大門2~3問の誘導小問。作業量多い
  • 試験時間に対してボリュームは少なくはない
  • 出題分野にやや偏り:確率、数Ⅲ微積が頻出、次点で整数
  • 対策:高度な思考力、論証力が必要
    標準問題のインプットは最小限に済ませたい、下位旧帝大レベルの演習本を挟み、上位旧帝大レベルの演習本まで仕上げたい、そのうえで頻出の確率、整数対策が理想的

<試験問題の概要>
大問4問構成で、制限時間は150分の試験です。全体的な難易度はやや難~難しいレベルです。典型問題は殆どなく、いずれも骨のある斬新な設定の問題で構成されています。 各大問2~3問の誘導小問があり、誘導は丁寧ではありますが、それでも1問1問あたりの作業量は多く、多くの受験生が手こずったでしょう。辛うじて、小問の(1)はいずれも比較的取り組みやすいのですが、小問の(2)以降はきちんと問題の意図がくみ取れていないと方針が立ちづらいでしょう。難易度は高いものの、数学の重要事項の本質的な理解、思考力、論証力をバランスよく問う良問揃いとなっており、数学が得意な受験生はきちんと報われる試験となっています。

<時間配分に関して>
制限時間150分で大問4問という構成ですが、いずれも難問になるため決してボリュームが少ないというわけではありません。とはいえ計算量がそう多いわけではないので、そこだけがまだ救いかもしれません。すぐに方針は立たないはずですので、試験本番は焦るとは思いますが、落ち着いて作業を進めていけば、時間は多少は余るかもしれません。

<名古屋大数学の対策・インプット編> 
高度な思考力・論証力を要する難問が多く、標準問題の出題が少ないので、標準問題のインプットは最小限に済ませたいところです。一対一対応の演習などコンパクトな網羅系をなるべく早いうちに1周しておきましょう。

<名古屋大数学の対策・アウトプット編>
「やさしい理系数学」、「標準問題精講」などの下位旧帝大レベルの演習本を挟み、「ハイレベル理系数学」や「上級問題精講」などの上位旧帝大レベルの演習本まで仕上げたいところです。そのうえで、頻出の整数や確率については追加の演習を行うことができれば理想です。試験本番では各大問の(1)は確実に正答した上で、大問1問は比較的方針が立ちやすい問題ですので、そのような問題を時間をかけてでもきちんと完答したいところです。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点500/H420/M380/L350
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間105分、大問4問、長文3問、自由英作文1問
  • 長文:語彙:標準、内容:標準
  • 設問形式様々あるが、それほど難しくない、短い自由英作文でボリューム的にはきつい
  • 自由英作文はグラフを読みとって、100words程度で説明させるスタイル
  • 名古屋大英語で辛いのは制限時間。自由英作文を短時間で処理することが大事。3年分の過去問演習後模試の過去問、それも使い果たしたら、最後の問題のみ、広島大の自由英作文委差し替えて練習。

<試験問題の概要>
105分の試験で、大問は4問です。長文が3問、自由英作文が1問の構成です。長文については、語彙は標準レベル、内容も標準レベルです。大問1と大問2は通常の長文、大問3は会話文になっています。設問の形式には、選択問題、内容説明問題、和訳、文補充問題、穴埋め問題、内容一致問題、など様々ありますが、いずれもそれほど難しくはありません。ただしこれらに加えて長文の内容を踏まえた25-40ワード程度の短い自由英作文が1~2題入ってきますので、ボリューム的は相当きつい構成と言えるでしょう。最後の大問4の自由英作文は2018年度からグラフを読み取って100ワード程度で説明させるスタイルになっています。それ以前は和文英訳でしたが、今では出題されなくなりました。

<時間配分に関して>
名古屋大英語で辛いところはその制限時間でしょう。難しい設問はありませんが、きちんと対策をしておかないと完走が出来ません。速読については共通テストで嫌というほどトレーニングを受けているとは思いますが、名古屋大の英語では、自由英作文を短時間で処理するということも大事になってきますので、意識的に対策をするようにしてください。

<名古屋大英語の対策>
自由英作文が現在のスタイルになってから過去問が3年分しかありません。名大オープン模試の過去問が市販されておりますので、過去問3年分をやりきってしまったらこのオープン模試の過去問に取り組みましょう。URLを動画概要欄に張っておきます。これも使い果たしたら、2017年以前の問題を引っ張り出してきて、最後の和文英訳の問題だけ、広島大の自由英作文に勝手に差し替えて練習してみましょう。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点250/H200/M170/L155
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間150分(理科2科目)
  • 大問5問構成:理論2問、融合問題(無機&有機)1問、有機1問、高分子1問※高分子の勉強はきっちりやること
  • 難易度:標準~やや難。ただしやや難少ないので埒があかないと思ったら、次の問題へ
  • 標準レベルの設問の取りこぼしはリスク、やや難の問題をスキップした時間で見直しを
  • 対策:標準的な問題集を丁寧に周回するだけで十分合格点が取れる

<出題分野の傾向>
理論が2問、理論と無機の融合問題が1問、有機が1問、高分子が1問の構成になっています。

<試験問題の概要>
無機の勉強はあっさりでも何とかなりそうですが、高分子の勉強はきっちりやってください。難易度は標準からやや難ですが、やや難の設問は少なく、殆どが標準レベルの設問です。やや難レベルの問題は間違えても合否にはあまり関係ないので、埒が明かないと思ったらさっさと次の問題へ行きましょう。一方で、標準レベルの設問の取りこぼしがあると落ちるリスクが生まれます。理論の計算問題がやたら多いのもあるので、やや難の問題を解く時間で、標準問題の見直しに時間を割きたいところです。

<時間配分に関して>
理科2科目で150分なので、化学には75分割けることになります。

<名古屋大化学の対策>
重要問題集などの標準的な問題集を丁寧に周回するだけでも、十分に合格点が取れます。化学の新演習や標準問題精講など難しめの問題集も有効ではありますが、コストパフォーマンスはよくありません。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点250/H200/M175/L160
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間150分(理科2科目)
  • 大問3問構成:力学1問、電磁気1問、熱or波動で1問
    ※原子分野の出題は今のところほとんどない
  • 難易度:標準~やや難
  • 途中経過も採点される形式
  • 融合問題や見慣れない設定の問題もあるが、手を付けるとそれほど大したことない
  • 対策:『重要問題集』や『名門の森』レベル問題の背景なども理解しながら丁寧に周回

<出題分野の傾向>
問3問構成で、1問は力学、1問は電磁気、もう1問は熱か波動、の構成になっています。

<試験問題の概要>
原子分野については出題が今のところほとんどありません。難易度は標準~やや難レベルです。途中経過も採点される形式になっていますので、過程に加点や減点がされる可能性があります。融合問題や見慣れない設定の問題もありますが、実際手を付けてみるとそれほど大したことがありませんので、基本を丁寧に身につけていれば十分対応可能なレベルです。

<時間配分に関して>
理科2科目で150分なので、物理には75分の時間は割けます。

<名古屋大物理の対策>
レベル帯としては重要問題集や名門の森レベルで構いませんが、そのまま出るわけでもないので、きちんと問題の背景などを理解しながら丁寧に周回してください。

生物の対策 

<目標得点ライン>
満点250/H210/M190/L170
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 試験時間150分(理科2科目)
  • 大問4問構成:分野の偏りあまりなく、ほぼ全範囲問われる
  • 難易度:やや易しい~やや難しい
  • 穴埋めの知識問題も多く、大胡家のリスク小
  • 考察問題はほどほど、典型問題多い、初見でも大雑把な方針立てやすいか
  • 対策:『セミナー生物』などで知識問題ケア『基礎問題精巧』等、典型問題多め問題集できれば『標準問題精巧』等の考察系問題集、遺伝もちょいちょい出題のため対策必須

<出題分野の傾向>
大問4問構成で、分野の偏りはあまりなく、一つの大問に複数の分野を無理やり詰め合わせているので、生物のほぼ全範囲について一回分の試験で聞かれます。

<試験問題の概要>
難易度はやや易しいからやや難しいレベルです。年度によってばらつきはありますが、けっこう、簡単な穴埋めの知識問題も多く、大ゴケするリスクはあまりありません。考察問題についても難易度はほどほどな感じで典型問題も多く見られ、初見の問題でもおおざっぱな方針は立てやすいでしょう。

<名古屋大生物の対策>
セミナー生物などで知識問題へのケアをしながら、基礎問題精講などの典型問題が多めに収録されている問題集をこなし、出来れば標準問題精講などの考察系問題集まで仕上がれば、けっこうな高得点が目指せます。なお、遺伝もちょいちょい出ているので、遺伝対策は必須です。

国語の対策 

<目標得点ライン>
満点150/H105/M90/L80
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • (~R2)試験時間100分、大問3問(古文・漢文含む)
    (R3~)試験時間45分、古文・漢文は廃止
  • 現代文の文章内容は標準レベル、漢字10題も出題されるが、いずれも易しい
  • 少々の抜出問題と選択式問題、その他理由説明や内容説明の記述問題、すべてのポイント抑えて高得点は至難の業
  • 対策:なかなか難しい
  • ①志望校変更により国語不要の可能性
  • ②国語の配点割合低い⇒願書出してからの対策。過去問で十分か

<試験問題の概要>
現代文の文章の内容は標準レベルです。漢字が10題も出ますが、いずれも易しいでしょう。少々の抜き出し問題と選択式問題がありますが、その他は理由説明や内容説明の記述問題が続きます。字数は50字程度の者から100字を超えるレベルのかなり多めのレベルのものまであります。ある程度、書かねばならないポイントは分かる設問が多いとは思いますが、なんやかんやで現代文の記述問題で全てのポイントを押さえて高得点を取るのは至難の業でしょう。

<名古屋大国語の対策>
名古屋大国語の対策はなかなか難しいところがあります。理由は2つあります。第1に、名大医学部志望であっても、名大をあきらめ他の二次国語のない大学に出願する可能性があるのが一つ、第二に、二次国語の配点は他の科目の3割で全体における割合が低いことです。対策を始めるとするなら名古屋大に願書を出してからになるでしょう。過去問を通して長めの記述に慣れるくらいの対策で十分ではないかと思います。実際の合格者もあまりがっつり国語の対策をしている受験生は少ないのではないでしょうか。

愛知県の地域医療の概況

  • 人口当たりの医師数は全国平均かなり下回る、それでいて周辺の岐阜、三重からの患者流入でかなり厳しい状況
  • 一方、名古屋のみならず、豊明、刈谷、豊田、小牧、一宮などに高機能病院が分散。東海の医療を支える。医療資源は少ないが、効率的な医療が実現
  • 診療科偏在の度合いは大きくないが、整形外科がちょっと不足気味

愛知県の人口当たりの医師数は、意外にも全国平均をかなり下回っています。それでいて、周辺の岐阜や三重ではもっと医師不足ですから、それらの地域から患者が流入してくるという、数字だけで言えばかなり厳しい状況になっています。その一方で、愛知県では名古屋市のみならず、豊明(とよあき)、刈谷(かりや)、岡崎、豊田、小牧、一宮などに高機能病院が分散しており、周辺地域も含めた東海地方の医療を支えています。医療資源は全体的に少ないものの、効率的な医療が実現できている地方と言えるでしょう。診療科偏在の度合いもあまり大きくありませんが、整形外科がちょっと不足気味かもしれません。

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