はじめに
医学部入試対策について、インターネット上で様々な情報が錯綜しています。
- 「医学部受験生は難しい問題集までやらないとダメ」と言われたり、
- 「医学部受験は基礎問題と標準問題の完成度だ」などと言われたり、
- 「医学部受験は特殊な問題が出るから特化した対策をしないといけない」などと言われたり、
矛盾したメッセージが氾濫しています。この矛盾は国公立で50、私立でも30余りある医学部を全て一括りにして話してしまうからこそ発生しているとわたしは考えています。
このチャンネル(ブログ)ではこれまで、実際に50ある国公立大学の医学部入試の過去問を全科目コツコツ解き、分析動画(記事)をアップロードしてきました。このページでは、「青チャートすらオーバーキルな易しい医学部がある?」という切り口で、数学の分析をまとめています。
動画でご覧になりたい方はこちら
青チャートとよく似た「網羅系問題集」
- 「網羅系問題集」と呼ばれるカテゴリーの問題集。
- 典型的な標準問題を全て収録し、インプット学習に有効。
- 「フォーカスゴールド」=青チャートと同等のレベル
- 「黄チャート」=青チャートより少し易しいレベル
青チャートはメジャーな問題集なので皆さんご存じとは思いますが、まずは青チャートの概要やその使い方などについてI先生にお伺いしようと思います。
はい、青チャートとは、「網羅系問題集」と呼ばれるカテゴリーの問題集で、数学の各分野に関して、典型的な標準問題をほぼ全て収録してある問題集です。とにかく似たような問題が色々な大学で出題されていますから、じっくり考えて取り組むというよりは、何度も繰り返して解法を身に着けるという「インプット学習」のための問題集と言えます。同じような問題集にフォーカスゴールドや黄チャートなどがあります。フォーカスゴールドでは青チャートと同等のレベルですが、黄チャートなどですと青チャートよりは少し難易度が落ちますね。
しかし青チャートとかフォーカスゴールドってかなり分厚いですよねあれ。全部やり切るのは途方もない感じもしますが、、
なるべく、ちゃんとやってください(笑)どうしても時間が足りない場合は、問題数を厳選した基礎問題精講や一対一対応の演習などの選択肢もあります。基礎問題精講ならば黄チャートと同等のレベルで、一対一対応の演習では、青チャートより少し上のランクになります。チャートが間に合わない受験生はだいたい数学が苦手なので、基礎問題精講をチョイスするケースが多いんじゃないでしょうか。
なるほど。まあそういう選択肢もあるということですね。と、いうわけで、今回は、このメジャーな網羅系問題集である青チャートで、国公立医学部どこまで行ける?というお題で、お話しさせていただきます。
グループA(非常に易しく青チャがオーバーキル)
- <易問高得点型>佐賀、愛媛、琉球、長崎、鹿児島
- <特殊型>大分、弘前(恐らく共通テストのみ)
- <その他>自治医大
まずはグループAですね。グループAに分類される、かなり易しい難易度の問題が出題されている大学はどういうところがありますか?
易問高得点型から、佐賀・愛媛・琉球・長崎・鹿児島の5大学を挙げます。あとは特殊型で、大分大と(動画で言及ないので追加)、共通テストでしか数学が問われない弘前を挙げます。おまけで自治医大もこのカテゴリーかと思います。
なるほど。易問高得点型の大学は他の科目もかなり簡単なので、ここの分類で良いかと思います。青チャートすらオーバーキルというのはなんだか拍子抜けですね。
そうですねえ。この辺りの大学なら、青チャートの代わりに、黄チャートや基礎問題精講などへレベルを落としても大丈夫かなと。ただ高得点勝負になるので、ケアレスミスで大きな減点を食らうと目も当てられません。
確かにそうですね。ケアレスミスを防ぐにはどうしたらいいですか?
一つの方法としては、きちんとアウトプット演習の時間を取ることです。青チャートはどちらかというと解法を覚える使い方をする受験生が多いと思いますが、実際に解答するにあたっては色々なところでつまづくわけですね、例えば計算ミスだとか。青チャートで覚えた解法をきちんと初見の問題に正しく適用して、最後まで正しく解答を書ききる力をつけてほしいのです。
なるほど。どういう問題集をアウトプット用の問題集としておすすめしますか?
時間に余裕があれば、チョイス新標準問題集、あまりないようだったら理系数学入試の核心(標準編)などで構いません。青チャートの類題のような問題ばかりですが、順序はバラバラですし、もちろん係数などの設定も異なります。
なるほどね。医学部の先生、ケアレスミスには基本的に厳しいですから、そういうところまできちんと練習してミスのない答案を作るように心がけないといけないですね。
そうですねえ。
※補足コメント
弘前大は二次で通常の学力試験を廃止し、総合問題という形の出題となりました。総合問題は令和3年度では英語がメインで化学の問題が少し混じってくるというもので、本格的な数学の問題が出題されていません。詳細は弘前大のリメイク動画を後日投稿しますので、そちらのほうでご紹介します。弘前大のページはこちら
グループA(佐賀、愛媛、大分、琉球、長崎、鹿児島、弘前)の大学を目指す受験生は、背伸びし過ぎず黄チャートで良さそうです。グループBマイナス(信州、鳥取、山形、香川、徳島、岐阜、群馬)の大学でも、数学が苦手なら黄チャートで良いでしょう。
黄チャートも、演習用の完成ノートパックが発売されています。
ただし解説動画つき教材はないようです。進捗管理、質問受けなどご希望の方は、S先生までご相談ください。
オンライン家庭教師(数学)のご案内
青チャートもフォーカスゴールドも黄チャートも分厚くて出来ない!とにかく時間がない!というあなたには、基礎問題精講シリーズがお勧め。
数3はないのですが、演習用の例題定着ノートもあります。
ただし解説動画つき教材はないようです。進捗管理、質問受けなどご希望の方は、S先生までご相談ください。
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時間に余裕があれば、チョイス新標準問題集をお勧めします。
時間に余裕が無ければ、理系数学入試の核心(標準編)をお勧めします。
添削、進捗管理、質問受けなどご希望の方は、S先生までご相談ください。
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グループBマイナス(概ね易しく、青チャートが解ければ合格者平均を超えることが期待される)
- <易問高得点型>信州、鳥取、山形、香川
- <英数二科目型>徳島
- <特殊型>岐阜、群馬
- <その他>宮崎(※令和4年度より理科追加)
次はグループB-(マイナス)です。グループAほどカンタンではないですが、この辺りの大学も高得点勝負になりやすい大学かなと思います。どういうところがありますか?
易問高得点型からは、信州、鳥取、山形、香川になりまして、英数二科目型から徳島、特殊型から岐阜、群馬になります。あと二次理科が追加されて未分類の宮崎も数学はグループBマイナス相当かなと。
この辺、だいたい医学部専用問題が1問混じってきてるところばかりですよね。
そうですね。そこで綺麗に完答する実力をつけるにはもうちょっと頑張りたいですけど、大半の問題が他学部との共通問題なので、必ずしも医学部専用問題を完答して満点を目指す必要はありませんね。
グループA(佐賀、愛媛、大分、琉球、長崎、鹿児島、弘前)の大学を目指す受験生は、背伸びし過ぎず黄チャートで良さそうです。グループBマイナス(信州、鳥取、山形、香川、徳島、岐阜、群馬)の大学でも、数学が苦手なら黄チャートで良いでしょう。
黄チャートも、演習用の完成ノートパックが発売されています。
ただし解説動画つき教材はないようです。進捗管理、質問受けなどご希望の方は、S先生までご相談ください。
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青チャートもフォーカスゴールドも黄チャートも分厚くて出来ない!とにかく時間がない!というあなたには、基礎問題精講シリーズがお勧め。
数3はないのですが、演習用の例題定着ノートもあります。
ただし解説動画つき教材はないようです。進捗管理、質問受けなどご希望の方は、S先生までご相談ください。
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既にお持ちの方も多いでしょうが、入試数学の鉄板、青チャートです。
最近、青チャートの例題&練習問題の演習用ノート(完成ノート)が出ているようです。
さらに、例題の解説動画つきの教材まで出てきたようです。学校の授業や予備校の授業が当てにできない受験生は、こちらのほうが良いかもですね。良い時代になりました…
グループBプラス(概ね標準的で、青チャートで合格者平均前後は期待できる)
- <英数二科目型>秋田、島根
- <標準問題型>筑波、新潟、三重、岡山、熊本、高知
- <標準短時間型>金沢、神戸、広島
- <単科医大型>札幌
- <特殊型>福井、山口
なるほど。次はグループB+(プラス)です。まだまだ青チャートで何とかなるレベルと思いますが、どんな大学がありますか?
英数二科目型から、秋田・島根、標準問題型から、筑波、新潟、三重、岡山、熊本、高知、標準・短時間型から金沢、神戸、広島、を挙げます。単科医大型からは札幌医大、特殊型から福井、山口を挙げます。
なるほど。この辺じっくり見ていきましょうか。英数二科目型の秋田・島根ですが、この辺りは二次数学でそこそこ差がつきそうな大学ですよね?
そうですね。易しすぎた記憶もないし、難しすぎた記憶もないし、あんまり印象ないんですけど、そういう問題セットが一番差が付きますね笑
なるほど。この2大学は、二次英語では殆ど差がついていないので、相対的に二次では数学で差が付きます。ただ共通テスト比率が非常に高いので、共通テストの出来が良ければ数学が少し苦手でもまあ大丈夫かなあとは思います。
で、次、標準問題型、標準・短時間型はまあグループBプラスあたりが多いのかなと思っていますが、新潟大って最近どうなんでしょう?難易度変動が激しいイメージがありますが。
まだ難易度は高止まりしていますが、私の解いた年度に比べれば、小問誘導がある程度親切にはなっているので、若干は難易度が緩和されているのかなと思います。
なるほどなあ。次に単科医大の札幌医大ですが、時間制限が厳しすぎて、難問対策のコストパフォーマンスが悪く、むしろ青チャートレベルの対策がいちばん丁度よい、と理解していますが、どうでしょう?
まさにその通りですね。札幌医大は拾うべき標準問題と、難しい捨て問の難易度のギャップが激しいので、数学は青チャートレベルの対策に抑えて、他の科目で点数を稼ぐ方針で良いと思います。ただ最新年度の令和3年度の問題では、難しすぎる捨て問は無くなっていましたが、それでも青チャートに類題のある問題ばかりで、結局青チャートが出来れば大丈夫です。
最後に特殊型の福井大。理科はかなり分野ガチャゲーなところがあるんですけど、数学はまだ順当に青チャートレベルの問題の定着度で差がつく問題ですか?
まさにその通りですね。青チャートレベルの熟練度で、ほどほどに点差がつきそうな良問です。
既にお持ちの方も多いでしょうが、入試数学の鉄板、青チャートです。
最近、青チャートの例題&練習問題の演習用ノート(完成ノート)が出ているようです。
さらに、例題の解説動画つきの教材まで出てきたようです。学校の授業や予備校の授業が当てにできない受験生は、こちらのほうが良いかもですね。良い時代になりました…
既にお持ちの方も多いでしょうが、入試数学の鉄板、青チャートです。
最近、青チャートの例題&練習問題の演習用ノート(完成ノート)が出ているようです。
さらに、例題の解説動画つきの教材まで出てきたようです。学校の授業や予備校の授業が当てにできない受験生は、こちらのほうが良いかもですね。良い時代になりました…
グループC(標準~やや難の問題が多く、青チャートで合格者最低点水準であれば期待される大学)
- <標準問題型>大阪市大(大阪公立大)
- <標準短時間型>名古屋市立
- <単科医大型>旭川、福島県立、浜松、滋賀、和歌山、京都府立医大、奈良(前期)、山梨
- <旧帝大型>北海道、東北、九州
- <特殊型>横浜市立、富山
- <その他>防衛医大
次はグループCにいきます。この辺からかなり難しい問題になってきますが、どういう大学がありますか?
標準問題型からは大阪市大、標準・短時間型から名古屋市立大、単科医大型から旭川医大、福島県立医大、浜松医大、滋賀医大、和歌山県立医大(動画内では抜けていたので追加)、京都府立医大、奈良県立医大の前期、山梨大、旧帝大から北海道大、東北大、九州大、特殊型から横浜市立大、富山大を挙げます。おまけで防衛医大もこのグループです。
なるほど。こちらも深掘りしていきましょうか。まず標準問題型の大阪市大ですが、ここは問題難易度が難しいというよりは、極端な理数重視配点という特徴から、かなり数学が得意な受験生が集まる傾向にあり、相対的に青チャートレベルが出来るだけではちゃんとしたアドバンテージが取れないということですよね。
そうだと思います。かなりレベルの高い受験生が集まってきている印象があります。
次に標準・短時間型の名古屋市立大ですが、ここはグループBプラスの神戸や広島に比べるとちょっとレベル高いんです?
名古屋市立大のほうが、思考力型の問題も散見され、神戸や広島のオーソドックスな問題に比べるとやや難しい印象があります。それでいて、受験生の平均点は意外と高く、びっくりしましたねえ。
なるほど。次に単科医大型ですが、殆どの大学がグループCにありますね。
そうですね。青チャートレベルの問題もあり、このレベルの問題を抑えるだけでもギリギリのラインは確保できますが、アドバンテージを取ろうとすると難しい問題も拾っていく必要があります。
なるほど。ちなみにこの辺りの大学は英語でも点差がつくので、英語がしっかり出来る人なら、数学は青チャートレベルでとどめて、英語できちんと稼いでいくという戦略も可能です。ただし山梨大は二次英語はないので注意して下さいね。次に旧帝大型の北大、東北大、九大ですが、旧帝でも少し問題難易度が易しめという見解でいいんでしょうか。
そうですね。地頭がいい受験生なら、青チャートだけで合格水準まで取っているような受験生もそれなりにいるんじゃないでしょうか。
なるほど。最後に特殊型の横浜市大、富山大ですが、問題の難易度的にはかなり難しく、この辺りの大学であれば数学が得意だとかなりアドバンテージが取れそうなところですか?
青チャートで解ける問題も多少はありますが、中には阪大などで出てきてもおかしくないような重厚な問題も散見され、そのような問題の出来が良ければ他の受験生と比べてちゃんと差がつけることができますね。
なるほど。この2大学の他科目の情報を補足すると、横浜市立大は英語もきちんと差のつく問題で、富山大は専門性の高すぎる難しい英文が出るものの採点はゆるゆるという内容で、グレーなところです。
既にお持ちの方も多いでしょうが、入試数学の鉄板、青チャートです。
最近、青チャートの例題&練習問題の演習用ノート(完成ノート)が出ているようです。
さらに、例題の解説動画つきの教材まで出てきたようです。学校の授業や予備校の授業が当てにできない受験生は、こちらのほうが良いかもですね。良い時代になりました…
グループD(難しい問題が多く、青チャートだけでは合格者最低点水準も厳しい大学)
- <標準短時間型>千葉
- <単科医大型>東京医科歯科、奈良県立医大(後期)
- <旧帝大型>東京、京都、大阪、名古屋
最後にグループDです。ぱぱっといきましょう。どういうところがありますか?
標準・短時間型から千葉大、単科医大型から東京医科歯科大、奈良県立医大後期、旧帝大から東大、京大、阪大、名古屋大を挙げます。
東大・京大・阪大・名古屋大・東京医科歯科大・奈良後期は、まあ、お察しくださいということで、千葉大に関してだけお伺いします。どうして千葉大がグループDに入ってきているんです?
殆どの問題が思考力型の問題となっており、青チャートにあるような典型問題が解けたところで、そこまで稼ぎにくいなあと思っているのと、あとは千葉大受験生のレベルも旧帝大の医学部に匹敵するくらいの高い学力層が受験することも要因にありますね。
なるほど。
この動画内で扱った問題集一覧
既にお持ちの方も多いでしょうが、入試数学の鉄板、青チャートです。
最近、青チャートの例題&練習問題の演習用ノート(完成ノート)が出ているようです。
さらに、例題の解説動画つきの教材まで出てきたようです。学校の授業や予備校の授業が当てにできない受験生は、こちらのほうが良いかもですね。良い時代になりました…
既にお持ちの方も多いでしょうが、入試数学の鉄板、青チャートです。
最近、青チャートの例題&練習問題の演習用ノート(完成ノート)が出ているようです。
さらに、例題の解説動画つきの教材まで出てきたようです。学校の授業や予備校の授業が当てにできない受験生は、こちらのほうが良いかもですね。良い時代になりました…
最近、青チャートに代わり人気を伸ばしているフォーカスゴールドシリーズです。
フォーカスゴールドも動画解説つきの教材を販売しているようです。バラ売りではないので、買う手間が省けますね。
グループA(佐賀、愛媛、大分、琉球、長崎、鹿児島、弘前)の大学を目指す受験生は、背伸びし過ぎず黄チャートで良さそうです。グループBマイナス(信州、鳥取、山形、香川、徳島、岐阜、群馬)の大学でも、数学が苦手なら黄チャートで良いでしょう。
黄チャートも、演習用の完成ノートパックが発売されています。
ただし解説動画つき教材はないようです。進捗管理、質問受けなどご希望の方は、S先生までご相談ください。
オンライン家庭教師(数学)のご案内
青チャートもフォーカスゴールドも黄チャートも分厚くて出来ない!とにかく時間がない!というあなたには、基礎問題精講シリーズがお勧め。
数3はないのですが、演習用の例題定着ノートもあります。
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