総評
- 差がつきやすい科目は数学
- 英語では設問ごとの難易度バランスが悪いためにあまり差がつかず、出題傾向も迷走気味
- 理科は高得点勝負だがほどほどに差がつく問題
二次比率も高いため、数学が得意な受験生であれば、二次逆転を目指すのに有望な大学の1つと言ってよいでしょう。
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入試の基本情報と面接
- 二次比率53%
- 10分前後の面接で概ね一般的な内容60~70点程度に収束していると予想
- 公民は1科目受験不可「倫理・政治経済」のみ使用可能
二次比率は53%で、やや二次型といえます。
面接についてはかなり情報は少なくあまり確かなことは言えませんが、10分前後の面接で概ね一般的なことが聞かれるようです。面接点については他の科目の予想点数ラインから逆算すると、60~70点程度に収束しているのではないかと予想しています。
数学の分析
<目標得点ライン>
満点300/H270/M235/L205
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 大問4問、試験時間120分
- 難易度は標準~やや難
- 求値問題が多く、論証問題は少ない
- 多分野融合問題が目立つ様々な標準問題の組み合わせで解ける
- ボリュームは適正計算量は標準的だが、場合分けが煩雑
- 数列、数Ⅲ微積が頻出も多分野融合問題が多いことから、まんべんなく学習する必要
- 対策:標準問題集での解法インプット必須アウトプットは地方国公立大レベルで十分下位旧帝大レベルまで取り組むのもOK
<試験問題の概要>
大問4問構成で、制限時間は120分の試験です。
全体的な難易度は標準~やや難レベルです。各大問が3~4の誘導小問から構成されています。概ね、求値問題が多く、論証問題は少ない傾向にあるようです。多分野融合問題の出題が目立ち、様々な標準問題の組み合わせで解ける問題が多くなっています。
制限時間120分に対してボリュームは適正です。計算量は標準的な分量ですが、場合分けなどが煩雑で時間を食うこともあります。
<頻出分野>
数列や数3微積がやや頻出ですが、多分野融合問題の出題が多いことから。数学の各分野について満遍なく学習を進めていく必要があるでしょう。
<高知大数学の対策・インプット編>
標準問題の解法とその応用で解ける問題が多いので、青チャート、フォーカスゴールド、一対一対応の演習などの標準的な問題集での解法のインプットが必須になるでしょう。
<高知大数学の対策・アウトプット編>
基本的に地方国公立大レベル、問題集で言うところの理系数学入試の核心(標準編)などのレベル帯で十分ですが、年度によっては難しいこともあるので、下位旧帝大レベル、問題集で言うところのやさしい理系数学レベルのものに取り組んでも構いません。
英語の分析
<目標得点ライン>
満点300/H220/M190/L180
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間120分、大問5問出題傾向定まらず、配点もいびつ。配点の大きい大問から着手する
- 長文は語彙:標準、内容:標準
設問は答えが定まる問題が大半だが、記述式の問題も散見される - 設問間の難易度バランスはかなり不安定
- 高知大一本狙いなら文法問題集に取組むが高知大以外の出題も検討ならコスパ悪い
簡単な設問だけ拾えばOKというスタンスでほかの科目の対策に時間割く方が合理的か
<試験問題の概要>
120分の試験で、大問は5問です。
令和2年度では、長文が3問、穴埋めの文法問題が1問、並び替え問題が1問の構成です。あまり傾向が一定していないようで、年度によっては長文が5問になっていたり、作文が混じっていたり、作題担当の先生の迷走が続いています。
また大問ごとの配点もかなりいびつな構成になっているので、各大問の初めに記入してある配点を確認して、配点が大きそうな大問から着手していきましょう。
長文そのものの難易度については、語彙は標準レベル、内容も標準レベルです。設問の形式については、空所補充、文の補充、内容一致問題、並び替え問題などの答えが決まる問題が大半ですが、和訳や内容説明などの記述式問題もちらほらあります。
設問間の難易度バランスがあまり取れておらず、内容一致問題など、文章の理解を試す問題は比較的平易ですが、穴埋め問題や並び替え問題などの文法力を問う問題の難易度がかなり高く、あまり馬鹿正直に取り組んでいると時間を浪費します。
長文以外の大問にも穴埋めや並び替えの問題がありますが、
こちらについても難易度がかなり高い設問が含まれており、殆どの受験生はまともに正答できていないであろう問題が結構な数あります。
<高知大英語の対策>
文法問題を対策するために、フォレストやネクステージなどの文法問題集に取り組んでトレーニングをするのも悪くはありませんが、多くの受験生は高知大以外への出願も考えているでしょうから、そういう意味ではコストパフォーマンスは悪いと言えます。
英語については簡単な設問だけ拾えばOKというスタンスで、他の科目の対策に時間を割く方が合理的でしょうね。
化学の分析
<目標得点ライン>
満点150/H140/M130/L120
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間120分(理科2科目)
- 大問6問構成理論3問、有機2問、高分子1問ただし変則的に無機2問出題の実績もあり
- 難易度はやや易しい~標準
各大問の設問は多くなく計算量もほどほどサクサク解けるか - 対策:『重要問題集』等の標準的な問題集を丁寧に周回するだけで十分合格点に到達
出題範囲広いため浅く広くでもOK分野ごとの得意不得意が無いように
<出題分野の傾向>
大問6問構成で、令和2年度では、理論が3問、有機が2問、高分子が1問の構成でした。
無機については理論の代わりに出たり、有機の代わりに出たり様々です。変則的に無機が大問2問出題されたような年度もあるので、無機をあまり軽視し過ぎるのはリスクが高いと言えます。
<試験問題の概要>
難易度はやや易しいから標準レベルで、大問は6問もありますが、各大問の設問数はあまり多くなく、1問1問の設問の計算量も程ほどで、意外とさくさく解けていけるでしょう
<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。
<高知大化学の対策>
重要問題集など標準的な問題集を丁寧に周回するだけで十分合格点に到達します。時間が無ければA問題だけでも構いません。出題される範囲は広いので、浅く広くでも構いません、分野ごとの得意不得意がないようにしてください。
物理の対策
<目標得点ライン>
満点150/H120/M110/L100
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間120分(理科2科目)
- 大問3問構成
力学1問、電磁気1問、熱力学 or 波動で1問(原子はあまり出ない) - 難易度は易しい~標準レベル
解答の導出過程を記述させる形式のため、不慣れだと時間を取られてしまう可能性 - 対策:『重要問題集』、『名門の森』等の標準的な問題集でも十分だが、普段から記述解答を意識して、導出過程を丁寧記述するように
<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。大問3問構成で、1問は力学、1問は電磁気、もう1問は熱力学か波動、の構成になっています。
原子分野については出題はあまりされていないようです。
<試験問題の概要>
難易度は易しいから標準レベルで、さくさく解いていけるとは思いますが、一つ気を付けたいことはすべて解答の導出過程を記述させる形式になっているので、そこが不慣れだと時間を食ってしまうかもしれないということです。
<高知大物理の対策>
重要問題集や名門の森などの標準的な問題集に取り組むだけでも十分ですが、普段の演習から記述で解答を書くことを意識しながら、解答の導出過程を丁寧に記述するようにしてください。
生物の対策
<目標得点ライン>
満点150/H135/M115/L105
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間120分(理科2科目)
- 大問4問構成。分野の偏りあまりなし
- 難易度はやや易しい~標準典型問題の出題が大半論述問題も典型的な問題。満点も狙える
- 対策:易しいが出題範囲は広いため、『大森徹の最強問題集』等の網羅性の高い標準的な問題集をきちんと押さえる遺伝はあまり出題されず、対策不要
<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度の時間は割けます。
大問4問構成で、分野の偏りはあまりありません。植物生理の出題頻度が若干少な目と言った程度ですが、全く出ていないわけでもありません。生態や進化などのマクロ生物学の分野もガッツリ出題されているため、あまり分野を偏らせた学習はお勧めできません。
<試験問題の概要>
難易度はやや易しいから標準レベルで、典型問題が大半となっています。論述問題もちらほらありますがこれもまたよく見るような典型的なもので、満点も狙っていきやすい難易度のものになっています。
<高知大生物の対策>
易しいものの出題分野は幅広いため、大森徹の最強問題集など網羅性の高い標準的な問題集をきちんと押さえることが出来れば、かなりの高得点が狙っていけるでしょう。
遺伝についてはあまり出ていないので、対策は不要です。
高知県の地域医療の概況
- 人口当たりの医師数は全国平均よりやや多い
- 地域偏在が激しく、高知市に一極集中安芸・高幡医療圏では医師はかなりの不足状態
- 診療科別では産婦人科医療に大きな問題安芸医療圏ではきめて少ない人員で支え、
- 高幡医療圏では分娩可能な施設が長らくない状況(ここ数年で1件開設)
- 救急医療にも深刻な問題。どの診療科でも医師には救急医療への知見が求められる
高知県の人口当たりの医師数は全国平均と比べるとやや多めになっています。
しかし、地域偏在はかなり激しく、県庁所在地である高知市に医師が一極集中しており、医師数は過剰と言っても良い状況です。一方で、室戸市のある安芸(あき)医療圏や、四万十川下流域である高幡(こうばん)医療圏では医師はかなり不足状態にあります。
南部の幡多(はた)医療圏は意外にも医師数は充足しているものの、全体としてはかなり地域偏在の度合いは強いと言えます。診療科については産婦人科医療に大きな問題を抱えており、安芸(あき)医療圏では極めて少ない人員で産婦人科医療を支えており、高幡(こうばん)医療圏に至っては分娩が可能な施設が長らくありませんでしたが、ここ数年で1件施設が増えた、といったような状況です。
救急医療にも深刻な問題を抱えています。県全体で見れば救急医の数はある程度いるのですが、そのほとんどが高知市とその周辺にいるという状況で、安芸医療圏や高幡医療圏はもちろん、幡多医療圏でも救急の専門医は極めて少ない状況です。
医師はどの診療科にいっても救急医療をある程度できないと行けませんが、高知県ではその傾向がより色濃く出ていると言ってよいでしょう。
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