<傾向と対策>鳥取大学(医学部医学科)ザ・易問高得点型。難問問題集は禁忌。

総評

  • 基礎&標準を徹底。
  • 難問系問題集は禁忌。
  • 二次理科あるが簡単なので現役でも戦いやすい。
医学部志望の受験生は、おおむねプライドが高く、難しい問題集に手を出しがちですが、鳥取大学の受験の際にはそのようなしょうもないプライドは捨てましょう。退屈することもあるかとは思いますが、我慢して易しめの問題集を周回してください。

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率44%
  • 面接は50~100のレンジ?
  • コミュニケーション力と地域医療への関心が評価される
  • 公民は「倫理・政治経済」のみ
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 200 900
二次 200 200 200 100 700

二次比率は44%で、やや共通テスト寄りといえます。

面接点については非開示であるためグレーな点は多いです。あくまでネット上の情報を総合したものにすぎませんが、50点を割り込むことはおそらくなさそうであることと、コミュニケーション能力や鳥取県の地域医療への関心を中心に評価されるように思います。

県外出身者は鳥取県の地域医療の実情についてある程度理解した上で面接に臨む方が望ましいと言えます。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点200/H180/M150/L130
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間120分 大問4問構成
  • やや易~標準。計算も論証もほどほど。旧帝&早慶レベルの問題に丁寧な誘導をたっぷりつけた感じ。
  • 計算は微積で多いくらいで時間は余裕あるはず。
  • 標準的問題集をとにかく周回。(青チャ、フォーカスゴールド、1対1演習など)
  • 実践演習するなら下位旧帝~地方国公立レベルで誘導に乗りながら問題を解くトレーニングを。

<試験問題の概要>
制限時間は120分の試験です。大問4問構成で、やや易しい~標準的な問題で構成されています。計算問題、論証問題がバランスよく出題されています。

旧帝大、早慶レベルの問題に丁寧な誘導をつけたような問題、といった印象で、小問誘導も豊富です。計算量も、微積でちょっと多めといった程度で、時間も余るはずです。計算ミスのチェックをする時間もしっかりとりましょう。

<鳥取大数学の対策> 
普段の演習としては、青チャート、フォーカスゴールド、1対1対応の演習など標準的な問題集をとにかく周回しましょう。

入試問題演習を行うのであれば、下位旧帝大や地方国公立大などの問題、すなわち小問誘導が多い問題を対象に、誘導の意図を考えながら解くトレーニングをしましょう。

こういう能力は共通テストでも役に立つでしょうね。難易度の高い問題への対策は不要ですので、ハイレベルな問題集にむやみに手を出すのはやめましょう。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点200/H170/M150/L130
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間90分
  • 大問4問 2問は長文 2問は作文
  • 作文の形式は京大風和文英訳 + 自由英作文
  • 長文はカンタン。
  • 和文英訳はやや難。阪大レベル。
  • 自由英作文の傾向もブレている。
  • 長文簡単で長くもないので時間は余りそう。
  • 医学部入試は大半が自由英作文なので、和文英訳の対策は受験決定後速やかに。自由英作は秋ごろからは対策してね。

<試験問題の概要>
90分の試験で、大問は4問、2問は長文、2問は英作文です。英作文のうち1問は京大風和文英訳で、1問は自由英作文です。

読解はかなり易しいレベルですが、和文英訳はやや難で阪大レベル、自由英作文も、自由度の高いものから低いものまで傾向が不安定です。

<時間配分に関して>
長文が易しくそう長くもないので、時間はやや余裕が出るでしょう。

<鳥取大英語の対策>
和文英訳対策を早いうちから始められるかどうかで差がつくでしょう。医学部入試の英語は大半が自由英作文となっているため、和文英訳については殆どの受験生は共通テスト後からしか対策できないように思います。

鳥取大学の受験を決めたら速やかに英作文の添削指導の出来る教員の先生にコンタクトして、過去問答案の添削、過去問が足りなければ阪大過去問の英作文でトレーニングをし、添削指導を受けてください。

自由英作文の対策については、和文英訳より早めに行っておくべきです。遅くとも秋からは始めておいてください。自由英作文対策は受験校が変わっても役に立ちます。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間180分(理科2科目)大問5問。
  • 理論2、無機1、有機1、高分子1の構成。無機・高分子の対策も丁寧に。
  • 難易度はかなり易しい。時間も余る。
  • 重要問題集をやるにも易しいA問題周回徹底か。
  • 理科をがっつりやれない現役生には嬉しい感じ。

<試験問題の概要>
大問5問構成で、理論が2問、無機が1問、有機が1問、高分子が1問です。

<時間配分に関して>
理科2科目で180分なので、化学には90分割けることになります。

たいへん易しい問題で、90分も時間があるので、丁寧に計算をしながら進めても最後まで完走できるでしょう。易しい問題をミスなく解いていくことが必要です

<鳥取大化学の対策>
無機・高分子はほかの大学を受験する場合は簡単にしか対策しないことも多いですが、ここを受ける場合は無機で大問まるまる1問、高分子で大問まるまる1問と出題されるため丁寧めに対策しましょう。

普段の演習でもあまり難しい問題に取り組む必要はありません。例えば重要問題集をやるにしても、易しいA問題を何度も繰り返すような演習の方が望ましく、B問題はノータッチでも構いません。

理科の完成度があまり高いレベルまでは望めない現役生にはありがたい難易度の問題なように思います。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H85/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 制限時間180分(理科2科目)大問4問構成。問題の難易度は標準。
  • グラフや論述問題が少々。
  • 標準問題で90分もあるので時間には余裕。難問系問題集は不要。幅広く学習し弱点を作らないように対策。
  • グラフや論述問題だけ少し練習してもいいかも。

<試験問題の概要>
大問4問で構成されますが、いずれも全学部共通問題になっているためか、難易度そのものは標準レベルで、決して難しい問題ではありません。

基本的に解答のみを描く形式ですが、グラフや論述問題が紛れ込んでくることもあります。難易度が高いわけでもないのに、時間もたっぷり90分与えられ、高得点が狙えるセットになるでしょう。

<時間配分に関して>
理科2科目で180分なので、物理には90分の時間は割けます。

<鳥取大物理の対策>
難問題の系統とその解き方」、いわゆる難系などといった難問系問題集は不要で、標準的なレベルの問題集を周回して、苦手分野を作らないように、トレーニングを積んでください。

勉強時間に余裕があれば、時々出題されるグラフの問題や論述問題に対して何かしらの対策をしてもいいかもしれません。

生物の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 制限時間180分(理科2科目)
  • 時間すごく余るはず。さっさと化学へ。
  • 大問5問。植物・生態・進化も出るよ。
  • 難易度もかなり簡単。
    ほぼ知識問題で、考察も超典型問題。
  • 遺伝ががっつり出ている感じでもない。
  • 基礎の取りこぼしが一番の失点要因か。
  • セミナー、基礎問題精講などひたすら周回。
  • ロング記述(100字以上)もあるので
    「生物生物記述・論述問題の完全対策」も有用か。

<試験問題の概要>
大問5問構成で、植物・生態・進化を含む幅広い分野から出題されています。いずれも平易な問題で、殆どが知識問題で、考察の体をなしている問題もありますが、非常に典型的な問題なので考え込むことはないでしょう。

遺伝については集団遺伝が少し出題された程度で、現状、大問まるまる遺伝という問題は見受けられません。

<時間配分に関して>
理科2科目で180分なので、生物には90分程度の時間は割けます。とはいえ、相当ゆっくり解いていても、90分まるまる使うことはないでしょう。生物は60分程度で切り上げ、化学の計算などに時間を割く戦略を勧めます。

<鳥取大生物の対策>
易しい問題ですが高得点勝負にもなるので、セミナー生物のような基礎固め用問題集や、基礎問題精講などコンパクトな標準問題集を周回するのが基本のトレーニングとなるでしょう。

考察対策は共通テストで大きく差をつけられない程度に留め、標準問題の周回を徹底しましょう。

少し別の問題集に浮気するのが許されるのであれば、長い記述問題が時々ありますので、「生物 記述・論述問題の完全対策」なども有効でしょう。

鳥取の地域医療の概況

  • 中部(倉吉)は過疎で医師不足医師は少ない。人口はもっと少ない。
  • 各地域の主要な診療科で欠員生じる。→専門医の地域偏在問題に。
  • 東部(鳥取)西部(米子)が二大拠点。鳥大病院は米子に。

鳥取県では医師の地域偏在が問題となっており、面接でも鳥取の地域医療への理解が求められる可能性があるので、私の調べた範囲で鳥取県の医療事情について説明しようと思います。

鳥取は、鳥取市を中心とする東部医療圏と米子市を中心とする西部医療圏が地域医療の2大拠点であり、鳥取大学付属病院は西部の米子市にあります。

あいだに挟まれている中部医療圏は過疎地域であり、医師も不足しています。鳥取県全体としては、医師も少ないものの、そもそもの県民の人口も極端に少ないため、人口当たりの医師数は日本の平均よりも意外と多かったりします。

とはいえ、少ない医師が各拠点に散らばっていきますから、主要な診療科に欠員が生じることもあり、各拠点で十分な医療が提供できているとはいえないのが現状です。

総合診療医の活躍

  • 内科中心に幅広い分野の疾患を担当。
  • 基礎疾患を併発している患者さんは多い。
    糖尿病(糖尿病内科)・糖尿病性腎症(腎臓内科)
    高コレステロール、心筋梗塞(循環器内科)
    非アルコール性肝炎(消化器内科)などなど。。
  • 予防&慢性期は一人で担当した方が。高齢者の患者さんは複数の基礎疾患がある場合が多い。
  • 鳥取県は高齢化が急激に進行。
    →総合診療科がもてはやされやすい?

総合診療科では、内科領域を中心にはしますが、幅広い分野の主要な疾患をバランスよく診ます。

例えば、普段から超大食いの方は、様々な疾患を併発する可能性があります。膵臓を酷使するため糖尿病を患い、その糖尿病合併症として腎不全を起こし、コレステロール値が高いために心筋梗塞のリスクが高く、更には食生活に起因する肝炎を合併し放っておくと肝硬変に進むリスクが高い、そんな人がいたりします。

難しい手技を必要とするような急性期治療については専門家の医師に任せるしかありませんが、予防や慢性期のコントロールなどであれば、複数の専門医でこのような患者を診るよりは、一人の総合診療医で全てを見てしまうほうが、効率がいいですよね。

専門医が地域で偏在しているならなおさらです。高齢者の方は複数の基礎疾患を持っていることも多く、ちょうど鳥取県は高齢化が急激に進んでいる地域ですから、幅広い診療科の主要な疾患をバランスよく診れる総合診療医が最も必要とされる地域の1つと言って良いでしょう。

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