<傾向と対策>山梨大学(医学部医学科)後期のみ。二次英語なし。理数共に難しめで、飛びぬけた実力がないとアドバンテージが取れない。

総評

  • 二次試験に英語が存在しない
  • 数学、理科共に難問多く、飛び抜けた実力がないとアドバンテージ取れない
  • 化学は現状理論オンリーの問題。高得点はあまり期待できない
東大理3、東京医科歯科大などを目指して難問対策も行ってきた受験生はチャンスがあるかもしれません。

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率52%
  • 面接点は「0点」。ほとんどの受験生が5〜10分程度の簡単なグループ面接で終了するが、稀に再面接となる受験生もあるとのこと
  • 公民は1科目受験不可。「倫理・政治経済」のみ使用可能
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 100 100 600 1100
二次 600 600 1200

二次比率は52%で、ほぼイーブンといえます。一般入試では前期の募集はなく、後期のみ募集しています。

面接点はゼロ点で、殆どの人は5分から10分の簡単なグループ面接だけで済みますが、稀に再面接などもあるとの話です。

公民は1科目受験不可で、「倫理・政経」2科目オンリーです。

数学の分析<120分・6問>

<目標得点ライン:>
満点600/H420/M330/L255
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 大問6問、試験時間120分
  • 難易度は標準〜やや難
  • 大問1、2は小問集合。答えのみ記述。正確な計算力が要求される。大問3以降は通常の記述問題。計算量多い、忍耐力要求される出題目立つ。初見では手も足も出ない思考力問題も散見
  • ボリューム多め。捨て問判断難しい
  • 確率、整数が頻出も、その他まんべんなく出題
  • 対策:標準問題用に標準問題集でのインプット。アウトプットは「やさしい理系数学」等のレベル。ただし山梨大特化なら入試問題演習が高価。早慶理系、大阪医大、関西医大など

<試験問題の概要>
大問6問構成で、制限時間は120分の試験です。全体的な難易度は標準~やや難レベルです。
大問1と大問2は小問集合で、大問1は5問前後、大問2は3問の小問から構成されています。大問1のほうが比較的典型問題が多く取り組みやすく、その一方で大問2はボリュームが多く難易度が高い傾向があるようです。この大問1と2は答えのみを書く形式であり、正確な計算力が要求されます。
大問3以降は小問誘導がほとんどなく、通常の記述問題です。問題の傾向としてはかなり嫌らしい傾向があり、典型問題のように見えて、計算量がやたら多い問題や、余計な設定があり無駄に煩雑になっている問題が多く、忍耐力が要求される出題が目立ちます。その他、初見では手も足も出ないであろう思考力問題も散見され、非常に癖のある悪問と言っても良いでしょう。

<制限時間に関して>
制限時間120分に対してボリュームは多めです。全体的に計算量や作業量が多く、後半の大問に至っては方針を立てる段階でも時間を食います。とはいえ明らかに捨て問と判断できる大問も少ないです。捨て問をどれだけ作るべきかはそれぞれの受験生の数学力によって違うため、時間を測って何度も過去問に取り組み、時間配分の最適化をよくよく検討しましょう。

<頻出分野>
確率や整数が頻出ではありますが、二次関数や二次曲線など他の大学ではマイナーな分野も含めてまんべんなく出題されています。

<山梨大数学の対策・インプット編> 
癖のある出題ではあるものの大問1や大問2を中心に標準問題もあるため、「青チャート」、「フォーカスゴールド」、「1対1対応の演習」などの標準的な問題集でのインプットは必須でしょう。

<山梨大数学の対策・アウトプット編>
「やさしい理系数学」や「標準問題精講」レベルまで必要ですが、前期が終わり山梨後期だけに特化、ということであれば、市販の良問ばかり収録されている問題集よりは、悪問も出題されている大学の入試問題演習のほうが効果は高いでしょう。傾向がよく似ているのは早慶理系や、大阪医大や関西医大などの私立医学部の数学です。もちろん山梨大の過去問が最優先ですが、問題が尽きたらこれらの大学の過去問にも取り組んでみましょう。

化学の分析<60分・3問> 

<目標得点ライン>
満点300/H210/M140/L125
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。R2はすべて理論
  • 難易度は標準〜難しい。誘導少なく、半分数学のような出題目立つ。国際化学オリンピック級の難問も
  • 明らかな難問に見切りを付ければ時間は余る。取れそうな問題を見極めて確実に拾う
  • 対策:「重要問題集」等の標準的な問題集。過去問で「既視感のある問題を確実に解く」。誘導ないためリード文に従って解いても×。問題の背景を確認しながら丁寧に演習する

<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。大問3問構成で、令和2年度では、全ての大問が理論でした。高分子が入って来ることもありますが、高分子の知識というよりは等電点の計算など、結局理論の問題になっていることが多いです。かつては大問数が多く無機や有機の出題もされていましたが、今では殆ど出題されていません。

<試験問題の概要>
難易度は標準から難しいレベルで、全体的に誘導が少なく、自力で方針を立てて計算をさせる、半分数学の問題のような出題が目立ちます。標準的な問題もありますが、難しい問題は本当に難しく、国際化学オリンピックなどで出しても良いようなレベルの難問も含まれています。普通の受験生はあまりこのような問題で悩み過ぎず、物理など他の理科科目に時間を割くのが得策でしょう。このような明らかな難問に早々に見切りをつければ、時間はけっこう余ります。取れそうな問題をきちんと見極めて、確実に拾っていきましょう。

<山梨大化学の対策>
多くの受験生は標準問題だけ拾っていくスタイルになるかと思いますので、「重要問題集」など標準的な問題集だけで構いませんが、実際の試験問題はもっと難しい問題も含まれますので、過去問演習を通して、「既視感のある問題だけを確実に解く」練習をきちんと積んでください。

「化学の新演習」など難問系の問題集に取り組んでいただいても構いませんが、実際の入試問題には誘導が殆どないので、「リード文の誘導に従って解いていく」トレーニングをしても得点につながりません。問題の背景などをしっかり別冊の資料集である「化学の新研究」で確認しながらじっくり丁寧に取り組んでいくくらいでないと、アドバンテージを取れるレベルにまではならないでしょう。

物理の対策<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点300/H240/M190/L165
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問4問構成。力学、電磁気、波動、熱力学のセットが大半だが、稀に原子の出題もある
  • 難易度は概ね標準レベル。ただし大問4問かつ導出過程の記述が必要。時間は大変シビア。ケアレスミスに注意。化学も含め、理科トータルで最適化。
  • 対策:「重要問題集」、「名問の森」等の標準問題集で十分だが、普段から記述での解答づくりを意識して導出過程を丁寧に書くこと

<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。大問4問構成で、力学、電磁気、波動、熱力学のセットで出題されることが大半ですが、稀に原子の出題もあります。

<試験問題の概要>
難易度はおおむね標準レベルで、さくさく解いていけるとは思いますが、大問4問かつほとんどの設問が解答の導出過程を記述させる形式になっているので、時間制限はたいへんシビアです。ケアレスミスが大きな減点に繋がりやすいので、ミスの少なくなるような答案作りや、余白の使い方などはよくよく研究しておきましょう。

<時間配分に関して>
化学で難問を無視すれば時間が余りますので、その場合は物理にも多めの時間を割けるでしょう。

<山梨大物理の対策>
「重要問題集」や「名問の森」などの標準的な問題集に取り組むだけでも十分ですが、普段の演習から記述で解答を書くことを意識しながら、解答の導出過程を丁寧に記述するようにしてください。

生物の対策<60分・4問> 

<目標得点ライン>
満点300/H240/M190/L165
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問4問構成。分野に偏りあり。細胞生物と分子生物がほぼ毎年出題。代謝、体内環境が次点で頻出。神経、発生、遺伝がちらほら
  • 知識問題と考察問題は半々。
  • 知識問題:空欄補充と長めの論述問題。
  • 考察問題:ほどほどの難度。適度に差がつく
  • 対策:前期対策とバランス。「基礎問題精講」等の標準的な問題集に加え、+αは頻出の分野に絞って行いたい。遺伝は余裕があれば対策に取り組むと良い

<出題分野の傾向>
分野の偏りがかなりあり、細胞生物と分子生物がほぼ毎年出題、代謝・体内環境が次点で頻出、その他は神経や発生、遺伝です。この他の分野は小問集合に知識問題として出題されることはありますが、大問のテーマとしては出題されていません。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度が割けます。大問4問構成で、最後の大問は小問集合の形を取っています。知識問題と考察問題は半々の構成です。知識問題の内訳は空欄補充と長めの論述問題が半々であり、時々高校生物を明らかに逸脱した問題が出題されていますが、あまり気にしても仕方ないでしょう。考察問題の難易度はほどほどで、適度に差がつくレベルの難易度になっています。最後の大問は知識の選択問題ですが、正しい選択肢を複数選ぶ形式になっており、正確な知識がないと点を落としてしまいます。

<山梨大生物の対策>
前期の対策もあるので、「基礎問題精講」など標準的な問題集は全範囲に渡って演習すべきですが、プラスアルファの対策は頻出の分野に絞って行いたいところです。「生物 記述論述問題の完全対策」など、論述のトレーニング用の問題集を分野を絞って取り組んでいきましょう。遺伝に関しては時々出ているといった程度ですので、余裕があれば対策に取り組んでみると良いでしょう。

山梨県の地域医療の概況

  • 人口当たり医師数は全国平均レベル
  • 地域偏在かなり激しい。甲府市に医師が集中。甲府から離れるほど医療資源は不足傾向
  • 温泉街でもある石和市にはリハビリテーション施設が大変充実。首都圏からも多くの患者
  • 診療科偏在はほとんどなく、バランス良い

山梨県の人口当たりの医師数は全国平均レベルです。しかし地域偏在はかなり激しく、山梨の県庁所在地である甲府市に医師が集中しており、甲府から離れれば離れるほど医療資源が不足する傾向が見られます。なお温泉街でもある石和(いさわ)市にはリハビリテーション施設がたいへん充実していることが知られています。アクセスが良いためか、首都圏からの患者も積極的に受け入れているようです。診療科偏在は殆どなく、バランスの良い構成になっています。

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