筑波大学(医学部医学科) 適性試験500の地雷が怖い。学科試験は素直に良問。

入試の基本情報と面接

 二次比率は61%で、二次型のように見えますが、適性検査の点数が無駄に高いので事実上50%のほぼイーブンと言えます。配点はオーソドックスな配点で、共通テストで国語200、社会で100、数学で200、理科2科目で200、英語で200、二次試験で数学300、理科300、英語300、適性試験500となっています。適性試験は300点の適性試験1と200点の適性試験2に分かれます。適性試験1は文章完成法という精神科の検査でも用いられる方法でパーソナリティなどの検査を行い、適性試験2は通常の面接です。この2つの試験で500点も配点があり少し不気味な気がしますが、概ね350~400点あたりのレンジに落ち着くようです。(※追記:極端に低い点数がつくケースも見られるようです。)適性試験1で用いられる文章完成法については、後程説明をします。適性試験2の面接については、15分の面接が2回という形式で、1回目は通常の面接、2回目は、コミュニケーションのトラブルに関する事例をその場で告げられ、トラブルの解決法についての意見を言うなどといった、普段の生活におけるコミュニケーション力について問う形式のものです。高校生活が勉強ばかりでした、という受験生だと答えづらく、若干のビハインドを食らいそうです。最後に、公民は1科目受験可です。すなわち、現社、倫理、政経、1科目だけでの受験が可能です。

  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 200 900
二次 300 300 300 500 1400

数学の分析<90分・3問> 

満点300/H285/M240/L220

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 大問5問構成で、制限時間は120分の試験です。大問1~3は数学1A2Bで全問必答、大問4~6は数3の内容で2問選択できる形式になっています。大問4は微積、大問5は極限、大問6は複素数平面といったセットになっています。全体的な難易度は標準です。一部やや難レベルの問題も散見されます。ここでユニークなのは数3の選択問題でしょう。例年、易しい「当たり問題」や難しめの「ハズレ問題」があり、選択次第で問題の難易度が変わります。平成31年度の試験では5番の極限がハズレのやや難の問題で、4番の積分が当たりの基本問題でした。複素数が当たりの易しめの問題になっていることも多く、数3は各分野についてしっかり学んでおいた方がよいでしょう。ボリュームはほどほどで、計算量や作業量は少なくて済む傾向があります。やや難の問題以外は、ある程度の演習を積んでいればさくさく解けていくでしょう。標準的な問題集で標準問題の解法をインプットし、またそれが早く完璧に解けるように周回数を多めにしてトレーニングしましょう。ハズレの問題を引いてしまってもしっかり点を取りたい、という受験生はやや難易度の高い問題集でアウトプット演習を行っても構いません。

英語の分析<60分・3問> 

満点300/H270/M225/L210

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 120分の試験で、大問は3問で、2問が長文で1問が英作文です。長文そのものの難易度は内容・語彙レベル共に標準といったところで、設問に関しても癖がなくこれまた標準レベルです。長文のジャンルも、文系ジャンルと理系ジャンルの論説文がバランスよく出題されており、これもまたオーソドックスと言えます。特徴的なのは長文の長さが異様に長いことでしょう。そう易しくはない文章を多読させる形式になっているため、英語が苦手だと途中で疲れてしまって正答率が落ちる、なんてこともありそうです。また記述問題の量がそれほど多くないので、オール・オア・ナッシングになりやすく、英語が得意な人はきちんと差をつけることができる出題形式になっているといえるでしょう。英作文の形式は毎年ちょっとずつ変わっています。概ね100ワード程度の自由英作文はほぼ毎年出ているようですが、プラスアルファで並び替えが出たり、長文をセットで読ませたり、色々あるようです。ボリュームも多いですが時間もたっぷりあるので、慣れていればそこまで時間が足りないこともないでしょう。筑波大英語の対策としては、ワード数の多い長めの英文で普段から演習することで長文読解の基礎体力をつけること、また、色々なタイプの自由英作文に慣れておくことが重要といえるでしょう。

化学の分析<60分・3問> 

満点150/H140/M125/L110

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。基本的には大問3問構成で、理論が2問、有機が1問です。無機分野の出題は少なく、理論の小問にちょっと入るかどうか、といったところです。高分子の出題も少な目で、有機の小問にちょっと入るかどうか、といったところです。難易度は標準レベルで、理論の問題が多めなのですが計算は簡単な値にしてくれていることが多いようです。とはいえトータルの計算量はそこそこあるためケアレスミスのリスクは高く、時間も60分しかないため、理論の後ろの方の重めの設問は思い切って飛ばして、見直しの時間に充てるほうが賢明なように思います。筑波大化学の対策として最も重要なのは理論対策でしょう。理論化学の標準的な問題を、全分野にわたってスムーズに解けるかどうかで得点率が大きく変わってきます。難問に手を出す時間はあまり取れませんから、普段の難問対策は不要で、試験本番ではそのような難問に手を出すのを我慢できるかどうかが重要になってくるでしょう。

物理の対策<60分・3問> 

満点150/H135/M120/L105

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。大問3問構成で、力学と電磁気が確定で出題、残り2問が波動・熱・原子のいずれかが出題されています。難易度は概ね標準レベルです。難問は少なく、たいへんオーソドックスな問題です。ボリュームもほどほどで、時間は60分しかありませんが、全問解き切れる受験生が多いのではないかと思います。標準問題がメインですので、標準レベルの問題集をまずは1冊完成させることが重要で、逆に、それ以上の対策は一切不要です。また、原子分野もよく出題されているようなので、苦手分野を作らずバランスよく勉強するようにしましょうね。

生物の対策<60分・4問> 

満点150/H130/M110/L100

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)  

 理科2科目で120分なので、生物には60分程度の時間は割けます。大問4問構成で、出題分野には偏りがあります。進化と系統が必ず出題されており、そう難しくはないのですが、広いテーマから出題されているので、この分野だけは標準的で網羅性の高い問題集を2冊こなすくらいでもいいかもしれません。次点で生態・神経なども多く出題されているようです。前半の大問は知識問題メイン、後半になると実験考察メインとなっていることが多いようです。最低限の点数を取るだけなら知識問題を抑えておけばどうにかなるのですが、アドバンテージを取ろうとすると考察問題でそれなりの正答率が必要になってきます。標準的な受験問題集を仕上げた後、考察系問題集も1冊は取り組みたいところです。遺伝は出ないこともないのですが、集団遺伝以外は大問まるまる出題されることは少なく、余裕があれば取り組みたい、といったところになるでしょう。若干物理選択の方が有利ですが、考察問題の得点率が良い受験生であれば物理選択とほぼ対等に戦えるように思います。

適性試験(文章完成法)に関する追記事項

 筑波大学では適性試験という試験があり、そのうちの1つが文章完成法という変わった形式のテストになるので、ご紹介します。文章完成法のテストは、文の前半部分がすでに印刷されており、後半部分を自分で埋めるという形式になっています。例えば、「私の長所は」と書き込まれていれば、「粘り強く物事に取り組み続けることだ」などと自分で書き加えます。その内容のみならず、文の長さ、文字の筆跡、どこまで解答できているか、などの項目が評価されているようです。ていねいな字でやや長めの文を書き、それでかつ、なるべく多くの設問に回答するにこしたことはないでしょう。精神科の検査でも用いられているため、市販はされておらず、対策は難しいですが、その場その場で落ち着いて対応しましょう。

地域医療の概況

 茨城県は県全体として人口当たりの医師数はかなり不足しており、筑波大のあるつくば市以外は全国平均を下回ります。県庁所在地である水戸と、筑波大のあるつくばが二大拠点で、そのほか、土浦、取手(とりで)・龍ヶ崎(りゅうがさき)、日立などが主な医療拠点となります。それでいて今後高齢化の急速な進行によりさらに医師不足が懸念されている地域となります。つくばだけ医師過剰で、そのほかの地域では様々な診療科が不足しており、耳鼻科や放射線科、リハビリテーション科などでは県庁所在地の水戸でも不足気味です。茨城県の医療の現状はこのようにあまり楽観視できない状態にあり、かつかつの状況でも円滑にコミュニケーションを取って活躍できる医師が必要とされているためか、今のような人物重視の試験となっているのでしょう。

総評

 筑波大学の入試は、人物重視の試験のカラーが強くなってきているものの、学科試験はよく練られた良問で、数学で稼ぐもよし、英語で稼ぐもよし、理科で稼ぐもよしで、様々な受験戦略で取り組むことができる大学と言ってよいでしょう。

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