総評
- 理科重視の配点だが、理科の問題は易しく高得点勝負になる
- 英語、数学も全体的に易しく高得点型
- 面接である程度のばらつきを覚悟
理科重視かつ面接リスク有りということを反映してか、一浪の受験生の合格率が最も高くなっています。「理科に自信が出てきた一浪の受験生」は受験校の候補に入れても良く、特に九州、鹿児島出身であれば積極的に受験を検討したいところです。
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入試の基本情報と面接
- 二次比率51%
- 面接は10分前後で概ね一般的な内容
- 面接点は満点~30点程度まで大きく点差がついている様子
- 九州以外の地方からの受験生と浪人回数が多めの受験生はややリスクか
- 合格率が最も高いのは一浪生
- 公民は1科目受験不可。「倫理・政治経済」のみ使用可能
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 面接 | 合計 | |
共通 | 200 | 100 | 200 | 200 | 200 | – | 900 |
二次 | – | – | 200 | 400 | 200 | 120 | 920 |
二次比率は51%で、ほぼイーブンといえます。
至って普通の面接が行われるにも関わらず、面接点は大いに差がつくようで、満点近い受験生がいる一方で、30点程度にとどまる受験生もいるようですが、平均としては80~90点程度に落ち着くようです。
九州以外の地方からの受験生、浪人回数が多めの受験生はややリスクがあります。
数学の分析
<目標得点ライン>
満点200/H180/M165/L155
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 大問5問、試験時間120分
- 難易度は標準レベル。全体的に2~4問の誘導小問付き。
- 大問1:小問集合
- 大問3は選択問題(数列/ベクトル/確率分布)。
- 高度な発想力や論証力までは要求されない
- ボリュームは適正
- 数Ⅲ微積、複素数平面が頻出。二次曲線もやや多めの出題
- 対策:網羅系問題集でのインプット学習必須
- アウトプットは地方国公立大レベルの問題集、下位旧帝大レベルの問題集まで取り組みたい
<試験問題の概要>
大問5問構成で、制限時間は120分の試験です。
全体的な難易度は標準レベルです。全体的に、2~4問の誘導小問がついていることが多いようです。大問1は小問3問からなる小問集合で、いずれもやや易しい~標準レベルの問題です。
大問3が選択問題になっており、数列、ベクトル、確率分布の3択から選べるようです。
難易度はいずれも標準レベルで、どの問題を選ぶかで大きく当たりはずれはなさそうです。
標準問題の解法を総合的に運用することが求められますが、高度な発想力や論証力までは要求されていません。制限時間120分に対して、ボリュームは適正です。
やや計算が煩雑な問題もあり、計算を手際よく処理していく必要があります。
<頻出分野>
出題分野については数3微積や複素数平面が頻出で、二次曲線などもやや多めに出題されています。
<鹿児島大数学の対策・インプット編>
標準問題中心のセットであるため、青チャート、フォーカスゴールド、一対一対応の演習などの網羅系問題集でのインプット学習は必須になるでしょう。
<鹿児島大数学の対策・アウトプット編>
理系数学入試の核心(標準編)などの地方国公立レベルの問題集のほか、やさしい理系数学や標準問題精講などの下位旧帝大レベルの問題集にも取り組みたいところです。
英語の分析
<目標得点ライン>
満点200/H170/M155/L145
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間90分、大問5問
- 《大問別分析》
- 大問1:長文問題(やや易しい)
大問2:長文問題(やや易しい)
大問3:文法問題(易しい)
大問4:和文英訳(例文暗記で対応可能)
大問5:自由英作文(80-100words) - 全体的にかなり易しいレベルのため、時間が極端に不足することはないか
- 対策:英作文で若干の差がつく可能性英語が苦手でも英作文さえ頑張れば対応可
<試験問題の概要>
英語の分析に入ります。90分の試験で、大問は5問です。大問1、大問2は通常の長文問題です。
内容・語彙のレベルはやや易しいレベルで、難しくありません。大問3は文法問題ですが、これも易しく、かつてのセンター試験よりも易しいレベルです。大問4は和文英訳で、いずれも短文で、例文暗記の延長線上で対応できるレベルです。
大問5は自由英作文で、80~100ワード程度の標準的な長さになります。
<時間配分に関して>
全体的にかなり易しいレベルなので、制限時間は90分とかなり短めではありますが、時間が極端に不足することもないでしょう。
辛うじて英作文で多少の差がつくか、といったレベルなので、英語が苦手な受験生でも英作文のトレーニングさえ頑張ればキャッチアップできるかと思われます。
化学の分析
<目標得点ライン>
満点200/H190/M170/L160
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間150分(理科2科目)
- 大問5問構成(小問集合1問、理論2問、有機1問、高分子1問)
- 取り組みにくい問題もあるが、ほぼ基本問題
- 大問数は多いが難易度低く知識問題も多い時間が不足することはないか
- 対策:『重要問題集』等の標準的な問題集を周回するだけでも十分に合格点に到達可能時間が無ければA問題だけでも対応可能
<出題分野の傾向>
大問5問構成で、小問集合が1問、理論が2問、有機が1問、高分子が1問の構成になっています。
無機についてはあまり出題されることはありませんが、年度によっては大問まるまる1問無機になっていることもあります。
<試験問題の概要>
全体的な難易度はやや易しいから標準レベルで、取り組みにくい問題もありますが、殆どは基本的な問題になっています。
大問数は多いものの、難易度は低く知識問題も多いので、時間が足りなくなることもないでしょう。
<時間配分に関して>
理科2科目で150分なので、化学には75分割けることになります。
<鹿児島大化学の対策>
重要問題集など標準的な問題集を丁寧に周回するだけでも十分に合格点に到達するでしょう。時間が無ければA問題だけでも構いません。
物理の対策
<目標得点ライン>
満点200/H170/M150/L140
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間150分(理科2科目)
- 大問4問構成力学、電磁気、波動、熱のセット原子の出題はここ何年か全くなし
- 難易度は標準レベルだが導出過程を書かせる問題も多く、時間に余裕はないか化学で余った時間を物理に補填
- 対策:『重要問題集』、『名門の森』などの標準問題集を丁寧にこなすだけでも合格点に到達する。普段から導出過程を書くトレーニングを
<試験問題の概要>
大問4問構成で、分野については、力学、電磁気、波動、熱のセットになっていることが殆どです。
原子の出題はここ何年か全く無いので、時間が無ければカットしても構いません。難易度は標準レベルでそう難しくはありませんが、導出過程を書かせる問題も多く時間にそう余裕があるわけでもありません。
とはいえ化学は時間が余りがちかと思いますので、理科トータルで見ると時間不足で困る受験生は少ないでしょう。
<時間配分に関して>
理科2科目で150分なので、物理には75分の時間は割けます。
<鹿児島大物理の対策>
重要問題集や名門の森などといった標準問題集を丁寧にこなすだけでも十分に合格点に到達しますが、導出過程を書かせる問題も多いので、普段の演習から、導出過程をきちんと書きながらトレーニングをするようにしてくださいね。
生物の対策
<目標得点ライン>
満点200/H180/M160/L150
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)
- 試験時間150分(理科2科目)
- 大問4問構成。分野の偏りあまりなし体内環境と神経が最頻植物生理も普通に出題。これらも得点の必要
- 難易度はやや易~標準。ほとんど知識問題考察問題はほとんどないが、知識の論述問題はそれなりに出題。ここで差がついているか
- 対策:標準問題集を丁寧にこなした後、『生物記述論述問題の完全対策』等の論述用の問題集をこなせば、高得点が期待できる遺伝の出題もあるため時間があれば対策
<試験問題の概要>
理科2科目で150分なので、生物には75分程度の時間は割けます。大問4問構成で、分野の偏りはあまりありません。
体内環境と神経が最も頻出ですが、生態や進化、植物生理と言った分野も普通に出題されています。
求められる得点率も高めなのでこれらの分野も捨てるわけにはいきません。全体的な難易度はやや易しい~標準レベルで、多くが知識問題です。
考察問題は殆どないものの、知識の論述問題はそれなりの比率で出題されており、ここで若干の点差はつきそうです。
<鹿児島大生物の対策>
基礎問題精講など標準的な問題集を丁寧にこなした後、論述問題の対策のために「生物記述論述問題の完全対策」などの論述用の問題集をこなせばかなりの高得点が期待できます。
あまり難しいものはありませんが、遺伝の出題もありますので、時間に余裕があれば対策をしてください。
鹿児島の地域医療の概況
- 人口当たり医師数は全国平均レベル
- 地域偏在が激しく、鹿児島市に医師が集中その他地域は医師不足
- 離島医療が特徴的奄美群島は日本の離島の中ではトップレベルに医療が充実している
- 精神病棟が多いため全県的に精神科医多めほかの診療科は鹿児島市では充足、他地域では不足という状況
鹿児島県の人口当たりの医師数は全国平均レベルです。
しかしながら地域偏在は激しく、医学部のある鹿児島市に医師が集中し、その他の地域では医師が不足気味です。
鹿児島県の地域医療で特徴的なのは離島医療です。鹿児島県に属する離島地域の中には奄美群島(奄美諸島)と呼ばれる島々がありますが、離島の中では日本トップレベルに医療が充実した地域と言われています。
診療科偏在については、精神病棟が多い影響で、全県的に精神科の医師は多めになっていますが、他の診療科は概ね、鹿児島市では充足、他の地域では不足、といった様子で、診療科偏在よりも地域偏在の方が深刻な問題となっています。
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