<傾向と対策>札幌医科大学(医学部医学科)単科医の割にオーソドックス。卒後キャリア注意だが一般枠もあまり難易度変わらず?

総評

  • 単科医大の割には標準的な問題多い
  • 数学では差がつきにくい
  • 理科は高得点勝負。やや物理有利
札幌医科大学の入試は、単科医大の割には標準的な問題が多いこと、数学では差がつきにくいこと、理科は高得点勝負だがやや物理有利であること、などが抑えておきたいポイントになってくるでしょう。

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率50%
  • 通常の受験枠である「一般枠 20名」と「先進研修連携枠 55名」が存在 ※卒後、道内の指定された病院で勤務
  • 合格者は総合店の高い順にそれぞれの枠で決定するが、先進研修連携枠が先に定員に達した場合、点数が上なら、定員枠を超えて、先進研修連携枠で採用 ※先進研修連携枠の合格最低点よりも低い点数で一般枠での合格はない
  • 面接は15分間で一般的な内容、大学の設立母体(北海道)や先進研修連携枠の意義など、北海道の地域医療に関する理解を求められることも
  • 面接点は先進研修連携枠で、一般枠共に85点程度になることが多い
  • 公民は1科目受験可能 ※倫理、政治経済、現代社会でOK
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 150 50 150 200 150 700
二次 200 200 200 100 700

二次比率は50%で、共通テストと二次がイーブンといえます。
面接点は15分の面接で概ね一般的なことが聞かれるようですが、札幌医科大学の設立母体や、まあこれは北海道らしいんですけど、その他、先進研修連携枠の意義など、北海道の地域医療に関する最低限の理解を求められることもあるようです。面接点もまた出願枠で差があると言われており、先進研修連携枠では概ね85点程度とのことですが、一般枠では50点前後になることが多いようです。(※追記:どちらの枠でも85点程度を平均にある程度のばらつきがあるようです。一般枠だからといって面接点を低くつけられることはなさそうです。(複数の視聴者さんからの情報提供))公民は1科目受験可で、倫理・政経・現社のみの受験でOKです。基本的に、先進研修連携枠で出願するため、北海道の医療にガッツリコミットする決断が必要なこと、社会が現代社会などで超軽量受験が可能なことなどが特筆すべきポイントでしょう。

数学の分析

<目標得点ライン>
満点200/H150/M130/L120
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 大問4問、試験時間100分
  • 難易度はやや易~やや難
    問題ごとの難易度が激しい
  • ボリュームは適正~やや多め、捨て問をきちんと捨てられれば時間は適正、数Ⅲを中心に計算量はやや多め
  • 数Ⅲ微積と確率が頻出も、まんべんなく出題
  • 対策:標準問題の解法マスターが最優先、そのうえで地方国公立大レベルのアウトプット、下位旧帝大レベルのアウトプットで点数安定。計算力が要求されるため、数Ⅲ中心がおすすめ

<試験問題の概要>
大問4問構成で、制限時間は100分の試験です。全体的な難易度はやや易しいからやや難レベルです。

<頻出分野>
問題ごとの難易度のばらつきが激しく、令和2年度では捨て問ではないかと思われる難問もありました。難問で悩み過ぎず、取れる問題で確実にとっていきたいところです。またこのような捨て問が混じることは例年よくあることみたいです。制限時間100分に対し、ボリュームや適正かやや多めと言えます。4問まともにやると多めになるのですが、捨て問をきちんと捨てるのであれば適正と言えます。また数3を中心に計算量はやや多めな印象です。出題分野は数3微積や確率が頻出でありますが、他の分野もまんべんなく出題されているようです。

<札幌医科大数学の対策・インプット編>
 捨て問があるものの、他の問題は典型問題や標準問題が中心なので、青チャートや一対一対応の演習などで標準問題の解法をマスターするのが最優先でしょう。

<札幌医科大数学の対策・アウトプット編>
地方国公立大レベルのアウトプット演習、余力があれば下位旧帝大レベルのアウトプット演習を行えば点数が安定するでしょう。計算力が要求される問題が多いため、数3を中心に演習すると良いでしょう。捨て問まで拾っていくのであれば、名大や阪大レベルの難易度の高い問題のアウトプット演習まで必要ですが、コストパフォーマンスとしてはあまりよくないでしょう。

英語の分析 

<目標得点ライン>
満点200/H150/M130/L120
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間80分、大問2問
  • 長文は内容も語彙も標準レベル、ジャンルは1題文系、1題医学または生物学の出題が多い
  • 選択問題と記述問題が半々。若干難度に差
  • 《大問2選択問題》
    難しくはないが複数選択のため全てを正しく選択しないと「0点」。差がつくか
  • H31年度で自由英作文の出題が削除も、R2年度ではようやく問題で英作文復活、当面英作文の出題傾向は不安定か

<試験問題の概要>
80分の試験で、大問は2問です。長文は内容も語彙も標準レベルで、語彙に至ってはたくさん注釈もついているので、けっこう読みやすいように思います。ジャンルは1題は文系ジャンル、もう1題は医学または生物学のジャンルで出題されることが多いようです。設問は選択問題も、記述問題も、半々といったところですが、難易度には若干の傾斜があるようです。大問2の選択肢問題は、複数の選択肢を選ぶ問題で、すべてを正しく選ばないと点数にならないので、難しくはないのですが、正確に読まないと点数が0になるので、そこそこ点差がついていそうな気はします。平成31年度では英作文の問題が消えました。令和2年度では要約問題という形で英作文が復活しました。当面、英作文の傾向は安定しないように思いますので、自由英作文を中心に様々なタイプの英作文をまんべんなくトレーニングしておきましょう。ただ配点もあまりなさそうなので、コスパの観点から思い切って捨てるのも一つの手です。

化学の分析 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成、理論2問、有機1問が多い、無機は理論とセット、高分子は有機とセットで出題されたり、されなかったり
  • 難易度はやや易~標準レベル
  • 理論2問で60分。計算問題は急ぐ必要あり、見直しの時間もあまり取れないか
  • 対策:『重要問題集』などの標準的な問題集を固めれば、高得点が取れるはず

<出題分野の傾向>
大問3問構成で、理論が2問、有機が1問で出題されることが多いようです。

<試験問題の概要>
無機は理論とセットで聞かれることもありますが、そもそも聞かれない年度も多いようです。高分子は有機の問題とセットで聞かれることが多く、これもまた聞かれない年もありますが、聞かれる年はそれなりの配点があります。問題のレベルはやや易しい~標準レベルです。基礎が固まっておればさくさく解いて行けるとは思います。

<時間配分に関して>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。
理論が2問で60分なので、計算問題は急ぎ気味で解くことになると思います。計算ミスには気を付けてください。見直す時間もあまり取れないかもしれません。

<札幌医科大化学の対策>
特別な対策は必要なく、重要問題集など標準的な問題集を固めればきちんと高得点が取れるはずです。

物理の対策 

<目標得点ライン>
満点100/H90/M80/L70
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成:力学1問、電磁気1問
    熱or波動or原子で1問(原子が頻出)
  • 難易度はやや易~標準レベル
  • 時間は少し余る人が多いか
  • 対策:『重要問題集』などの標準的な問題集を丁寧に1周すれば、高得点が狙える。原子分野も忘れずに対策、苦手を作らないように満遍なく学習を

<出題分野の傾向>
大問3問構成で、1問は力学、1問は電磁気、もう1問は熱か波動か原子という構成になっています。

<試験問題の概要>
原子分野はむしろ頻出となっています。全体的な難易度は易しいから標準レベルです。難しい問題は一切ありません。ボリュームがあるわけでもなく、時間は少し余る人も多いかと思います。

<札幌医科大物理の対策>
重要問題集など、標準レベルの問題集を丁寧に1周すれば、高得点が狙っていけます。もちろん、原子分野も忘れずに、苦手を作らないよう満遍なく学習を薦めましょう。

生物の対策<75分・4問> 

<目標得点ライン>
満点100/H80/M70/L60
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。出題分野に多少偏り、分子生物はほぼ毎年しゅつだい、体内環境も頻出、他の分野はまんべんなく出題
  • 知識問題は平易だが、考察問題はやや難
    知識問題だけを拾う戦略が賢いか
  • 考察問題も得点しようとするなら、『標準問題精講講』などの考察系問題集も必要
  • 遺伝もちょいちょい出題、対策は必須

<出題分野の傾向>
大問3問構成で、出題分野には多少の偏りはあります。分子生物はほぼ毎年出題、体内環境も頻出です。他の分野は、生態や進化、植物生理も含め、まんべんなく出題されています。

<試験問題の概要>
知識問題は平易ですが、考察問題はやや難です。生態や進化の問題でもけっこう凝った設定の考察問題が出題されています。コストパフォーマンスだけ見れば、知識問題だけを拾う戦略が賢いように思います。

<札幌医科大生物の対策>考察もとろうとするのなら、標準問題精講などの考察系問題集も必要になります。遺伝もちょいちょい出ているので、遺伝対策も必須です。個人的には生物の対策はほどほどで、化学で高得点を狙う戦略を薦めます。

北海道の地域医療の概況

  • 医師数は全国平均より少し多い
  • 地域偏在が問題、根室地方、日高地方等極端な医師不足状態
    ※新臨床研修制度のよりへき地に医師が派遣できなくなった
  • 釧路等、札幌、旭川から遠い場所にあってもたくさんの人口を抱える都市が存在、広大な土地のため、患者の輸送は難しい
  • 札幌医大の「先端研修連携枠」制度は、上記のような問題が背景か

北海道の医療体制はなかなか複雑な問題をはらんでいます。北海道の人口当たりの医師数は、全体で見れば、意外にも全国平均より少し多い水準になっています。何が問題なのかというと、地域偏在です。北海道の東の端の根室地方、南の端の日高地方などでは極端な医師不足状態にあり、大きな問題になっています。かつては、大学病院の力が強く、少し無理を押してでもこれらの地方へ医師を派遣していましたが、新臨床研修制度が開始されてから、大学病院から人が減り、僻地にまで医師を派遣できなくなりました。さらに、北海道には、釧路など、札幌や旭川から遠い場所にあっても、たくさんの人口を抱えている都市があります。北海道はたいへん広い都道府県ですので、たとえ釧路に医師が少なかったとしても、釧路の患者を札幌まで運ぶわけにもいきません。このような都市の病院は恐らくは大学病院の医師派遣に依存していると考えられ、そのような背景から、札幌医大の先端研修連携枠なる制度があるのではないかと推察します。診療科偏在についてはあまりなく、地域偏在の方が深刻な問題となっています。

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