<傾向と対策>東京医科歯科大学(医学部医学科)難問系。でも難問から逃げるな。

総評

  • 数学、理科でやや難レベルの問題を得点していく実力がないと、余裕を持った合格は厳しい
  • 英語は設問への取り組み方に工夫が必要になるため、過去問の丁寧な周回が重要になってくる
数学・理科でやや難レベルの問題を取っていく実力がないと余裕を持った合格は厳しいこと、英語で設問への取り組み方に工夫が必要になるため過去問の丁寧な周回が重要になってくること、が押さえておきたいポイント

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入試の基本情報と面接

  • 二次比率67%
  • 面接は0点。5−10分の面接で一般的な内容。時々二次面接になることもあるらしい
  • 再受験生では圧迫気味になることも
  • 公民は1科目受験不可※「倫理・政治経済」のみOK
  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 40 20 40 40 40 180
二次 120 120 120 360

入試二次比率は67%で、二次型です。面接点は0点で、5~10分の面接で概ね一般的なことが聞かれるようです。時々、二次面接になる方がいるようです。また、再受験生などでは圧迫面接気味になることもあるようです。

公民は1科目受験不可で、「倫理・政経」のみです。

数学の分析<90分・3問> 

<目標得点ライン>
満点120/H90/M75/L65
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 大問3問、試験時間90分
  • 難易度はやや難〜難
  • 問題分長く、斬新な設定。融合問題が多い
  • ボリューム多め
  • 分野の偏り少ないが、確率、整数、数3微積、空間図形、空間ベクトルがやや頻出
  • 対策:インプットは最低限に済ませ、早期にアウトプット演習へ。下位旧帝大レベルから難度を上げ、最終的には最難関レベルの重厚な問題演習まで。

<試験問題の概要>
大問3問構成で、制限時間は90分です。全体的な難易度はやや難から難レベルです。全体的に問題文が長く、斬新な設定であり、多くの分野の融合問題になっていることも多いです。どの問題も明らかに難易度が高く、ボリュームは多めと言っていいでしょう。思考力・計算力・論証力のすべてにおいて高い水準が求められ、方針を決める段階、計算の段階、解答作成の段階のすべてで相当な時間がかかるでしょう。

<頻出分野>
分野の偏りはあまりありませんが、確率や整数、数3微積、空間図形及び空間ベクトルあたりがやや頻出となっています。

<東京医科歯科大数学の対策・インプット編> 
標準問題が殆ど出題されないため、通常の受験生の対策とは異なった対策を意識しなければならないでしょう。標準問題のインプット演習は、「1対1対応の演習」など薄めの問題集で最低限に済ませ、早い段階でアウトプット演習に移行したいところです。

<東京医科歯科大数学の対策・アウトプット編>
初めは下位旧帝大レベルの比較的易しい問題から始め、徐々に難易度を上げていき、最終的には東大・京大・単科医大・東工大・慶応医学部など最難関レベルの重厚な問題をじっくり解く演習まで進めたいところです。多くの分野の融合問題がよく出題されるため、重点分野を意識しつつも、幅広い分野に関して演習が必要になります。

英語の分析<90分・1問>  

<目標得点ライン>
満点120/H80/M70/L60
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間90分、大問1問
  • 医学 or 生物学の超長文が出題。内容、語彙は標準のため物理選択でもOK
  • 設問に癖あり
    正誤判定24問:標準
    英文要約(英):やや難
    和訳:やや易しい
    ぼほ全体の400字要約(旧):やや難
  • 英文要約(英)は表現を流用しすぎると減点
  • 解き方の要領が重要(以下、例)
    ①英文要約と日本語要約に目を通す
    ②正誤問題のページを切り離して長文読む
    ③1パラグラフ読む→正誤問題解く、の繰り返し
    ※日本語要約のキーポイントに下線を引く
    ④英文要約の箇所に到達したら英文要約問題を処理
    ⑤下線を確認して、日本語要約に取り組む
  • ある程度の英語力は必要だが、過去問演習を繰り返して解き方の手順を最適化する方が重要
  • 第一志望にしている受験生は、秋ごろには過去問に取り組み、取り組み方の最適化を考えていくこと

<試験問題の概要>
90分の試験で、大問は1問です。医学または生物学のジャンルのたいへん長い長文が出題されます。内容や語彙は標準レベルで、一般の雑誌から引用しているため、英語力があれば物理選択の人でもある程度ついていけるように思います。とはいえ生物選択の方がややスムーズに読めるかもしれません。

設問にはたいへん癖があります。初めの設問は正誤判定問題が24問、次の設問は長文の一部の内容を英文で要約する問題、次の設問は和訳、最後の問題は英文のほぼ全体を400字の日本語で要約する問題となっています。それぞれの設問の難易度は、正誤判定は標準、和訳はやや易、英文要約と日本語要約がやや難、といった印象です。英文要約は「自分の言葉で表現せよ」との指定があり、長文内の表現を流用し過ぎると減点を食らうリスクがあります。10~25ワードで答える形式なので、自由英作文のトレーニングは必要ありませんが、使える表現を増やすために例文暗記などはしっかり目にやっておいたほうがよいでしょう。

<設問の解き方に関して>
英語力以上に、設問の解き方の要領が重要です。一例を紹介します。まず、英文要約と日本語要約の設問に目を通し、何を問われているのかきちんと確認します。その後、正誤判定問題のページを切り離してから、長文を読み始めます。長文を1パラグラフ読んだ後、正誤判定問題を解けるところまで解きます。正誤判定問題を解ききるまでこれを繰り返しましょう。

また、読んでいる最中に日本語要約のキーポイントとなりそうなところにアンダーラインを引きながら、英文要約問題も処理します。最後にアンダーラインを引いた箇所を確認し、日本語要約に取り掛かりましょう。長文を読み切るだけの英語力は必要ですが、過去問の演習を繰り返し自分なりの設問の解き方の手順を最適化する努力のほうがさらに重要です。かなりの年数、同じような傾向で出題されているので、東京医科歯科大を第一志望にしている受験生は、秋ごろには過去問に取り組み、設問への取り組み方の最適化をきちんと行っていきましょう。

化学の分析<60分・3問>  

<目標得点ライン>
満点60/H45/M40/L35
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。理論1問、有機1問、高分子1問が多い
  • 設定が斬新。高分子で医学分野の出題も
  • やや難以上の問題が並ぶ
  • 対策:英数安定→標準問題数で最低限確保。英数不安→「化学の新演習」の星3レベルまでじっくり考えるトレーニングが必要。「新・理系の化学100選」もあるが…

<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、化学には60分割けます。大問3問構成で、理論が1問、有機が1問、高分子が1問で出題されることが多いようです。理論がまるまる1問無機に差し替えられた年度もあります。全体的に設定が斬新で、高分子では医学の分野を題材とした高度な問題が出題されています。

<試験問題の概要>
はじめのほうの設問は比較的易しいですが、後半の設問はなかなか骨があります。リード文の斬新な設定をその場で理解して応用する問題、高校では教わらないため与えられた少ない情報から推測して解答しなければならない問題、いずれもやや難以上のレベルの問題が並んでいます。

<東京医科歯科大化学の対策>
英語や数学の点数が安定しているなら、易しいレベルの問題だけを拾いに行けばよいので、標準的な問題集をしっかりこなすだけでも最低限の点数は確保できます。英数の成績にやや不安があり、理科で稼がなければならない受験生はなかなか大変です。斬新な設定の問題が多いため、「化学の新演習」の星3(★★★)レベルの問題までじっくり考えて答えを出すトレーニングが必要になるでしょう。一応、世の中には「新・理系の化学100選」などの、「新演習」以上の問題集も存在し、思考力を鍛えるのに良い問題集はありますが、60分では全ての問題を解ききれず、難問対策ががっつり得点につながるわけでもないので、コスパはよくなさそうです。

物理の対策<60分・2問>  

<目標得点ライン>
満点60/H45/M38/L30
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問2問構成。力学1問、電磁気 or 波動で1問。※稀に原子、熱力学も過去出題
  • 難易度は標準〜やや難。思考力、計算力を要する高レベル問題も
  • 大問2問だが小問10問程度、後半は難しい。ボリュームはほどほど〜やや厳しめ
  • 対策:前半の小問を確実に正答するための基礎力、標準問題の解答力を身に着ける

<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、物理には60分が割けます。大問2問構成で、1問は力学、1問は電磁気か波動という構成になっています。たまに原子分野も変則的に出題されているようです。熱力学の分野も、稀ではありますが、一応過去には出題があるようです。全体的な難易度は標準からやや難です。思考力や計算力が要求され、標準的な問題集の演習だけでは太刀打ちできないレベルのものがいくつかあります。

<試験問題の概要>
大問は2問ですが小問が10問程度と多く、概ね大問の後半の方が難しい構成になっています。大問2問でありながら、小問の分量や難易度を考慮すれば、ボリュームはほどほどかやや厳しめか、といったところになります。物理の実力があればスラスラ解けるかもしれませんが、大問の後ろの方の小問は飛ばし飛ばしやっている受験生も多そうです。

<東京医科歯科大物理の対策>
多くの大学の物理の入試に当てはまることですが、大問の初めの方の小問で間違えると芋づる式に後半の小問も間違えていきます。前半を落とすと後半の難問も点にならないので、前半の小問を確実に正答するための基礎力・標準問題の解答力をきちんと身につけましょう。難易度の高い問題集も無駄にはなりませんが、これは標準問題をきちんと解ける前提での話です。

生物の対策<60分・3問> 

<目標得点ライン>
満点60/H45/M40/L35
(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

  • 試験時間120分(理科2科目)
  • 大問3問構成。出題分野に偏り。あまり出題されないのは植物生理と生態。一つの大問に複数分野のトピック。範囲広い
  • 知識の論述問題が非常に多い。「生物 記述・論述の完全対策」等の論述トレーニング用の問題集が必須。
  • 文字を早く書く。誤字に注意しながらも読めるレベルで、スピード意識
  • リード文の長い考察問題。難易度は旧センター(難)くらいか
  • 仮設に対して自分で実験を設定、期待される結果について論述させる問題が毎年出題。考察問題対策するならばこの手の問題か
  • 対策:論述問題の解答力をつけることが先決
  • 典型問題の出題少→標準問題対策は最低限
  • アドバンテージ必要なら考察系問題集やり込み
  • 遺伝は出題少なく、特化した対策は不要

<出題分野の傾向>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度が割けます。大問3問構成で、出題分野には偏りがあり、あまり出題されていない分野(植物生理と生態)を言う方が早いです。この2分野はたまに申し訳程度にちょろっと簡単な問題が出題されている程度で、共通テスト対策だけでも十分対応できます。他の分野はまんべんなく出題されており、一つの大問に複数の分野のトピックを詰め込んでいる形式です。
東京医科歯科大の生物の特徴は知識の論述問題があまりにも多すぎることでしょう。「生物 記述・論述問題の完全対策」などの論述トレーニング用の問題集は必須です。また、仮説に対して自分で実験を設計し、期待される結果について論述させる問題が毎年出題されています。多くの実験考察問題では作題者が実験を設計していますが、どういう仮説を証明するためにこのような実験になったのか、1題1題検討してみてもいいかもしれません。

<試験問題の概要>
理科2科目で120分なので、生物には60分程度が割けます。大問3問構成で、時間が60分しかないため、文字を速く書くことが出来るかどうかで生物のみならず化学での時間の余裕が変わってきます。東京医科歯科大ではどうかわかりませんが、採点官の教授の先生は汚い字でも意外と読んでくれているようです。重要な生物用語の誤字は減点の可能性がありますので、そういうところだけは丁寧に書き、他は読めるレベルであればよい、というスタンスで、スピードを意識しながら記述を処理しましょう。論述問題を高速で処理できれば、考察問題に手を出す時間が捻出できます。リード文が理解できれば意外とさくさく解けていけますが、リード文自体が結構長いので、ある程度時間を犠牲にしないと得点できません。難易度は旧センター試験の難しめの考察問題くらいです。

<東京医科歯科大生物の対策>
とにかく論述問題の解答力をつけることが先決であるため、基礎固めが終わり次第「生物 記述論述問題の完全対策」など論述対策を始めることが最優先でしょう。あまり露骨な典型問題も出題されていないので、標準問題の演習は「基礎問題精講」で簡単に済ませてしまいましょう。英数の得点に余裕があればこのあたりの対策でも十分乗り切れます。理科でアドバンテージを取らないといけない場合は、「標準問題精講」「思考力問題精講」などの考察系問題集をやりこみましょう。遺伝問題は意外にも出題が少なく、特別な対策は不要です。

東京都の地域医療の概況

  • 日本の医療の中心。全国の手術の9%が23区内で実施
  • 医師数はかなり過剰。一方看護師はかなり少ない
  • 23区内でも地域偏在激しい。足立区、葛飾区、荒川区、墨田区、江東区、江戸川区は医師不足状態。電車移動必要
  • 23区外は医師不足傾向、高齢者医療が課題
  • 東京都の一部である島しょ部も一応頭に。過疎地域であり、医師少、人口少の地域

東京都は日本の医療の中心地でもあり、高度で難易度の高い手術は東京の大病院で行う必要があるため、全国の手術のなんと9%が23区内で行われています。日本の都道府県が47あることを踏まえれば、なかなかの数字です。
東京都は全体的に医師数はかなり過剰ですが、その一方で看護師数はかなり少なくなっています。また、同じ23区内でも地域偏在が激しく、東部の足立区、葛飾区、荒川区、墨田区、江東区、江戸川区などでは医師不足ですが、交通網が発達しているため、電車に乗って中央部の病院を受診することが多いようです。23区以外の地域では若干医師不足傾向にあり、これらの地域では今後高齢化が激しく進み、高齢者が電車に乗って都心の病院に受診ということも難しくなっていくと、高齢者医療の拡充が強く求められるようになってくるでしょう。また小笠原諸島など島しょ部も東京都の一部です。これらの地域は過疎地域であり、医師も少ないが人口も少ない、そういった地域です。

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