横浜市立大学(医学部医学科) 英強有利。数3で毎年類題が出題。

入試の基本情報と面接

 二次比率は55%で、やや二次寄りといえます。配点は何故か共通テスト英語だけが1.5倍となった配点です。面接や小論文は最低評価でなければOKということで、直前にだけ対策しておけばどうにかなるでしょう。ちなみに小論文は1000字程度の分量を60分で書きます。また、公民は1科目受験が可能で、倫理、政経、現社、1科目だけでの受験が可能です。二次も含め、とにかく英語のリーディング力でゴリゴリ差がついていくので、もともと英語に自信がある人は、更に英語力を磨いて差をつけることもできます。

  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 300

1000

二次 400 400 400 1200

数学の分析<120分・5問> 

満点400/H330/M260/L220

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 全体的な難易度は標準~やや難しいレベルの問題で構成されています。また大問1は小問集合の形をとっています。大問1と2はデータサイエンス学部と共通問題で、大問3と4はデータサイエンス学部では選択問題となっています。データサイエンス学部との兼ね合いについては後程説明します。大問1の小問集合は、教科書章末問題レベルの易しいものから、やや難易度の高い問題まで幅広い難易度の問題が出題されており、これは例年同様の傾向にあります。2020年度では大問2はたいへん難易度の高い論証問題でしたが、大問3と4は比較的取り組みやすく、問題ごとの難易度のばらつきが非常に大きいのが特徴となっています。ボリュームはやや多め、といった感じで、計算量の多い問題もあり、高度な論証力を要求する問題で時間を食ったりと、人によっては時間が足りなくなることも予想され、難問に時間をかけ過ぎない時間配分の戦略についてはきちんと考えておくべきです。英語や理科で稼ぎ、数学は標準問題をきちんと取れれば、という戦略で考えている受験生は、標準問題集で標準問題の解法をマスターし、それらを短時間で解ききるためのトレーニングを積めば大丈夫です。難しい問題をある程度拾っていきたい受験生は、論証力、思考力を問う問題がよく出題されているため、下位または上位旧帝大の過去問レベルの演習を行い、粘り強く論理的に考え抜く姿勢を身につけましょう。

 ここでちょっと興味深い話をします。それはデータサイエンス学部の話です。データサイエンス学部はこれから到来するであろうAI時代に対応するための人材育成、という名目で新設された学部です。いわゆるAI人材というのは、グーグルやアマゾンなどのIT企業で働く理系の機械学習エンジニアだけでなく、広告代理店や、商社、メーカーなど、幅広い企業でのマーケティング部門におけるデータに強い人材という、ちょっと文系寄りの人材も含まれています。それゆえに、データサイエンス学部は文理共通の学部となっており、数学もその影響を受け、文系でも受験できる試験となっています。具体的には、データサイエンス学部では、大問1と2は共通問題で必ず数1A2Bとなっており、大問3~5が選択問題で1問選択すればよく、大問3は1A2B、大問4は3C、大問5は確率分布と統計に関する問題になっています。このうち大問1~4が医学科の問題となっており、全問必答となっているわけです。これらを総合すると奇妙な傾向が見えます。医学科の試験でも、数学1A2B比率が75%で固定と言うことです。更に、数3が一問ということは、単元は微積メインで出題せざるを得ない、ということになります。データサイエンス学部は事実上の工学部の情報学科ですから、微積の試験をしていないと、微積の出来ない受験生を受け入れざるを得ない事態になり、教育にはたいへん難渋しますので、数3が1問しか出題できないのであれば、微積を出題せざるを得ない、ということになります。驚くべき傾向はまだあります。この選択問題である数3の問題が、データサイエンス学部が創設されて以来、ほぼ同様のテーマを取り扱った類題が、3年連続で出題されているのです。殆ど、高校や大学の定期テストのようなノリです。データサイエンス学部では、微積の基本が出来ていればそれでよい、というスタンスなのでしょう。また、データサイエンス学部の創設以前には、複素数平面の出題もあったことを補足しておきます。あまりにも不気味な傾向が見えており、この傾向が一新され、データサイエンス学部とは完全に独立した出題が始まる可能性はありますが、一新されずに現状維持が貫かれた場合、数3の勉強時間の多くが無駄になってしまうこともあり、悩ましいところです。しかし、逆に、受験校を変える羽目になった場合は、数3軽視で、数3の実力に乏しいことはかなりマイナスに働きます。殆どの医学部受験生が、「確実な1完」として正答している数3微積の得点力が不安定になるからです。横市一本、専願です!と言ってしまえるのであれば、数1A2B重視、数3は基本だけ抑える、といったおもいきった戦略も可能、といったところでしょう。
 

英語の分析<90分・3問> 

満点400/H340/M280/L250

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 長文の語数は比較的多めで、速読型と言っていいでしょう。その割には語彙のレベルが高く、たくさんの注釈がついておりますが、注釈も結局英語で、辞書的な表現で冗長なわかりにくい説明になっているので、全ての注釈をじっくり読んでいては時間が足りません。なるべく注釈を見ずとも読めるだけの語彙力が欲しいところです。入試の直前まで細々でいいので語彙対策を続けておく必要があるでしょう。内容説明問題が主で、他には英文和訳の問題と和文英訳の問題がちらほら、といったところです。内容説明問題は、ほぼ抜き出しで対応出来るものと、段落の要約に近いレベルのものとに分かれており、後者の段落要約のレベルの問題の答案で点差がつきそうです。採点者がどのようなところで減点してくるのか、採点基準つきの記述問題集で色々と研究しながら、長文のトレーニングを進めていきましょう。また、英作文の問題は短文の和訳問題で、例文暗記の延長線上のものが多いので、入試直前まで例文の暗記チェックを行っておればそれなりの点数は出るんじゃないかと思います。長文のジャンルは文系ジャンルから理系ジャンルまで幅広く、小説まであるようで、正攻法的に色々なジャンルの長文でトレーニングしていく必要があります。共通テストの英語も何故か1.5倍の配点になっており、共通テストの英語も様々なジャンルから出題されますから、長文対策はほぼ毎日行い、速読力をつけていきたいところです。横市の受験生は、共通テストでは、是非、満点を狙っていきたいところですね。

化学の分析<90分・3問> 

満点200/H180/M150/L130

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 大問3問構成で、理論が1問、有機が1問は固定で、残り1問は無機が多いですが、理論になったり、高分子になったりと安定していません。ここの化学で最もユニークなのは有機分野です。構造決定が出題され、例年かなり難易度が高いです。構造決定の問題を解きなれていないと苦戦するでしょう。その他の問題は標準レベルで、もう片方の理科も時間が余る傾向にあるので、この難しめの有機の構造決定は飛ばすわけには行きません。出来る受験生は出来ますので、正面から取り組んでいく必要があるでしょう。他の大学では有機の構造決定の問題がここまで難しいことは稀であるため、早い段階で横市を第1志望に設定して対策に取り組んでいれば、アドバンテージを取ることが出来るでしょう。標準的なレベルの問題集に加え、有機だけ新演習など難しい問題集を+αで追加していきましょう。

物理の対策<90分・4問> 

満点200/H170/M155/L140

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で180分なので、物理には90分の時間は割けます。大問4問で構成され、難易度は標準からやや難くらいです。概ね標準レベルの問題ですが、記述形式で高度な数学を使ったり、思考力を問われるようなやや難易度の高い問題も出題されています。計算量は多めで、グラフの描出をさせる問題も見られます。時間の余裕があることが救いなので、時間をかけてでもじっくりやや難の問題に取り組みましょう。問題の大半を占める標準レベルの問題を固めるのが最優先ですが、時間の余裕もあり、受験者層のレベルも高いことですから、難易度の高い問題集に手を出してもある程度は報われます。計算量が多い傾向にあるので、普段から計算を面倒くさがらず、最後の答えがあうまできちんと取り組む姿勢が大事になってきます。

生物の対策<90分・3問> 

満点200/H180/M160/L150

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)  

 理科2科目で180分なので、生物には90分程度の時間は割けます。大問3問構成で、植物・生態・進化を含む幅広い分野から出題され、知識問題と考察問題がバランスよく配分されています。難易度はやや易しい~標準レベルで、取り組みやすい問題がここ最近では多いですが、長めの記述問題が多く、記述問題の完成度次第で小さな点差が積み重なりそうな試験です。標準問題集に加え、「記述論述問題の完全対策」が有効でしょう。遺伝はちょいちょい出ていますが、大問1問まるまる遺伝という出題はないようです。時間があれば遺伝対策をやってもいいかもしれません。

地域医療の概況

 神奈川県は大都会になるので医師数は過剰と思いきや、意外とそうでもないようで、人口当たりの医師数は全国標準レベルです。看護師数が極端に不足しています。横浜市大附属病院は横浜市、北里大学病院は相模原市、聖マリアンナ医科大学付属病院は川崎市、東海大学付属病院は伊勢原市にありますが、医大病院が地域医療に与える影響は他の地方に比べればそれほど大きくなく、たくさんある民間の病院が地域医療を支えているといっていいでしょう。神奈川のような、大都市圏での今後の地域医療の課題は高齢化の急速な進行です。2010年から2040年にかけて75歳以上の人口が80%増加するため、高齢者医療の体制をハイスピードで整備していく必要があるでしょう。また診療科としては、全体的にメジャーの内科、外科が不足しているようです。

総評

 横浜市立大学の医学部は、現状、英語で差が付き、生物有利傾向、数学も傾向対策がやりやすく、かなり文系寄りの受験戦略が可能な大学と言っていいでしょう。ただし注意点としては、横浜市立大学の対策を尖らせすぎると、他の受験校での得点力は無くなっていくことです。今回紹介させていただいた横市特有の対策を挙げると、数学では1A2B重視戦略、英語では、リーディング極振り+自由英作放置戦略、化学では構造決定トレーニング重視と、他の大学では通用しない尖った戦略を多数組み合わせることになります。逆に他のふつうの大学を志望していた受験生が志望校を横市に変更する場合は、中々かみ合わないところも出てきます。そういう意味で、都会の国公立の大学しか無理です!wでも医科歯科じゃなくていいですwと胸を張って言えるかどうかが、学力試験の出来にも影響することでしょう。

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