東京大学(理1・理2・理3) 東大固有対策多数。まずは東大を目指す度胸から。

入試の基本情報と面接

 東大理系入試では学部別の入試を行っておらず、理科1類、理科2類、理科3類の3つのカテゴリーに分けて選抜をします。ざっくり、理科1類では数学・物理・地学系、主に理学部や工学部が多く、理科2類では化学・生物系で、農学部や薬学部がイメージしやすいですが工学部や理学部の関連分野も該当します。理科3類が医学部医学科です。理1、理2、理3共に、二次比率は80%で、二次型といえます。配点も理1、理2、理3共通で、オーソドックスですが計算方法はやや複雑です。共通テストで国語200、社会で100、数学で200、理科2科目で200、英語で200になりますが、この計900点を110点に圧縮します。ですので、満点を110点にして換算すると、社会のみ12.22…点で、他の科目は24.44…点となります。二次試験では数学120、理科120、英語120、国語80となっています。面接については理3のみ課され、15分の面接で、概ね一般的なことがきかれるようです。基本的には寛容なスタイルかと考えられます。(※補足。ツイッター上で理3面接落ち報告がありました。ツイート主はアカウントを削除したため真偽は不明ですが、けっこう理不尽な落とされ方をする可能性があるので注意が必要です。)公民は1科目受験不可で、すなわち、「倫理・政経」2科目まとまった科目オンリーです。また、東大には大学別模試、すなわち東大実践模試と東大オープン模試があります。その他代ゼミから東大プレ、東進から東大本番レベル模試もあります。何はともあれ東大模試を受けないと東大への出願を検討する材料が揃いませんから、必ず受験するようにしてください。

  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 200

900

(110)

二次 80 120 120 120 440

数学の分析<150分・6問> 

満点120/H95/M85/L80(理3水準)H95/M65/L55(理1/理2水準)

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 全体的な難易度はやや難~難しいレベルです。典型問題は殆どなく、いずれも骨のある斬新な設定の問題で構成されています。全体的に典型問題は少なく、定石がそのまま通用する問題が殆どありません。また、初めの取っ掛かりが難しい問題が多いことも東大数学の特徴でしょう。いずれも斬新な問題設定ですが、高校範囲を明らかに逸脱していたり、繁雑な計算を要求することも少なく、高度な思考力を備えていれば標準問題の解法の応用で解くことのできる良問と言えます。おおむね、大問1や大問2、大問3までは比較的まだ取り組みやすいですが、大問4以降はかなり難しい問題が続いています。制限時間150分に対して、ボリュームはやや多めです。もともと全部通しで解く問題セットではないため、後半の大問は無理に手を付ける必要はありません。出題分野については多分野融合問題が目立ち、数3微積・整数・複素数を中心とした問題が特に多くなっています。その他、軌跡と領域や空間図形などを絡めた問題も出題頻度が高めです。東大数学の対策としては、高度な思考力・論証力を要する難問が多く、標準問題の出題が少ないので、標準問題のインプットは最小限に済ませたいところです。一対一対応の演習などコンパクトな網羅系をなるべく早いうちに1周しておきましょう。その後、「やさしい理系数学」、「標準問題精講」などの演習本を挟みます。理1・理2合格であればこの辺りまでの演習でも十分な点数が期待できます。理3以上、または理1・2でも数学で稼ぎたい受験生に関しては、「ハイレベル理系数学」や「上級問題精講」などの上位旧帝大レベルの演習本まで仕上げたいところです。高度な論証力・記述力を要求する問題が多いため、普段の学習から論理的に矛盾の無い記述解答、適切な数式表現を心がける必要があります。添削指導などを定期的に受けるとより良いかと思います。

英語の分析<120分・5問> 

満点120/H95/M85/L80(理3水準) H95/M75/L65(理1/理2水準)

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 各大問で複数のパートに分かれており、問題のバリエーションは多めです。大問1(A)は日本語要約の問題で、英文レベルは標準的ですが要約の練習は普段からしていないとかなり低い点数になるかもしれません。大問1(B)は現在は文挿入問題となっています。ダミー選択肢がけっこうありますが、英文そのものが標準的なのもあり、そこまで苦労する問題ではありません。大問2は英作文で、自由英作文1題と和文英訳1題です。自由英作文のワード数は60~80ワードと大したことはありませんが、形式についてはかなりコロコロ変わっているので、色々なバリエーションの自由英作文のトレーニングが必要です。和文英訳については易しすぎず難しすぎずのほどほどの難易度です。これもまた和文英訳のトレーニングは必要です。大問3はリスニングです。リスニングは配点も30点とやや多めだろうと予想されており、全て選択式であるため英語で稼いでいきたい受験生は重点的に対策する必要があります。かなり長いスクリプトですがスクリプトそのものの難易度はほどほどです。一部の設問には、「NOT mentioned」、すなわちスクリプトでは言及されていない内容を選ぶ問題が含まれているため、これがややくせ者です。また東大リスニングではリスニング開始前に選択肢を見ることが出来るので、どこかで時間を取って選択肢をきちんと読んでおきましょう大問4(A)は誤文訂正の文法問題ですが、どちらかというと文法問題集をやりこむというよりは、精読の問題をきちんと丁寧にこなしているかどうかで差がつく問題です。大問4(B)は英文和訳の問題で、長文そのものの難易度がやや難でこれもまた精読力で差がつく内容です。大問5は小説の問題ですが、これもまた英文のレベルは高めで、語彙的は標準レベルですが内容的にはやや難です。設問は様々な形式がありますがいずれも粒ぞろいで、丁寧に読まないと正答までいきつきません。これらの問題傾向を総合すると、東大英語の対策としては、時間のタイトな試験ではあるものの英文レベルは決して易しくはないので、速読系のみならず解釈や精読系の読解演習も必要になってくること、英作文対策も自由英作と和文英訳の両方が必要であること、また英語で稼ぎたい受験生はリスニングもかなりのエネルギーを注いで対策する必要があること、この3点になります。

化学の分析<75分・3問> 

満点60/H50/M45/L42(理3水準) H50/M38/L35(理1/理2水準)

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で150分なので、化学には75分割けることになります。大問3問構成ですが、令和2年度ではそれぞれの大問がパートIとパートIIに分かれており、テーマがそれぞれ異なるため事実上大問6問構成です。理論が3問、無機メインの問題が1問、有機が1問、高分子が1問の構成になっています。年度によっては大問1問が2パートに分かれていない年度もあります。高分子が時々出題されないこともありますが、他の分野はおおむね満遍なく出題されているようです。難易度は標準からやや難で、意外と半分くらいの設問が標準レベルですが、目新しい題材に対して思考力を問うタイプのやや難レベルの設問も多く存在します。ただこのやや難レベルの問題もあまり煩雑な計算や処理を必要とすることは少なく、化学の基礎的事項を深く理解していれば作題者の意図が案外アッサリ理解でき、さくさく進めることが出来ます。東大化学の対策としては、重要問題集などの標準的な問題集を丁寧に周回するだけでも半分くらいの点数は確保できます。化学の新演習や標準問題精講など難しめの問題集も有効ですが、ある程度しっかり時間を取って、それぞれの問題のテーマにやその関連分野について色々調べながらゆっくり進めてください。化学の思考力系の問題は東大以外の入試にはあまり多く収録されていないので、過去問演習にもなるべく早めに入ることを薦めます。

物理の対策<75分・3問> 

満点60/H50/M45/L42(理3水準) H50/M38/L35(理1/理2水準)

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で150分なので、物理には75分の時間は割けます。大問3問構成で、1問は力学、1問は電磁気、もう1問は熱か波動か原子、の構成になっています。難易度はやや難~難しいレベルです。化学と同様、教科書レベルの基礎的事項が背景にありますが、この基礎的事項を深く理解していないとなかなか解答が難しくなっています。令和2年度では、複雑な問題、目新しい設定の問題も目立ちます。東大物理の対策としては、重要問題集レベルの標準的な問題に加え、標準問題精講や難系統問題とその解き方などの難問系の問題集も有効ですが、難問に取り組む際には、その背景にある原理・原則をその度に再検討し、別解があるかどうか検討してみるなど、1問1問しっかり時間を取ってゆっくり進めるようにしてください。電磁気の分野を筆頭に、意外と過去問の類題が出ていたりもするので、過去問対策にも早めに取り組み、問題の背景をしっかり理解しながら解く習慣をつけてください。

生物の対策<75分・3問> 

満点60/H50/M45/L42(理3水準) H50/M38/L35(理1/理2水準)

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)  

 理科2科目で150分なので、生物には75分程度の時間は割けます。大問3問構成ですが、分野の偏りはあまりなく、一つの大問が融合問題になっていることが多いです。難易度は概ねやや難レベルです。考察問題のオンパレードですが極端に難しい問題は少なく、生物の基礎的事項をきちんと理解していれば作題者の意図をすぐにくみ取って解答することが可能です。マニアックな知識問題もほぼ皆無で、論述問題も解答に必要な要素が分かりやすく、生物の試験でありながら物理並みの高得点も狙っていきやすい問題になっています。東大生物の対策としては、基礎固めはしっかり行っておきたいものの、基礎問題精講など典型問題の周回はほどほどにして、早めに考察問題対策に入っていきたいところです。考察対策としては、「標準問題精講」に加えて、多分野融合問題も多く収録されている「思考力問題精講」もお勧めです。考察問題に慣れていればそこまで怖い問題ではありませんが、ぱっと見はほぼ初見のテーマになりますので、典型問題ばかり解いていても点数は伸び悩むでしょう。遺伝対策については、京大のような煩雑すぎる遺伝問題はあまり出題されていないので必須ではありませんが、余裕があればやってみても良いでしょう。

国語の対策<100分・3問>

満点80/H55/M50/L45(理3水準) H55/M45/L40(理1/理2水準)

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)  

 大問1は現代文、大問2は古文、大問3は漢文ですが、現代文に半分の配点があり、古文と漢文でそれぞれ4分の1の配点があると予想されています。現代文の難易度は標準~やや難レベルで、全体的に設問の意図がはっきりしているので、ある程度の部分点は狙っていきやすいように思います。ちなみに漢字の問題もちょろっと出てます。古文・漢文も文章そのものは共通テストやセンター試験の平均的な難易度とそう変わらず、設問も現代語訳や内容説明問題が主ですが、それほど難しい難易度ではありません。ただ採点はやや厳しめと言われているので細かい部分にも気を配りながら慎重に答案を作ってください。恐らく時間は余る受験生が多いと思われますので、見直し時間をしっかりとって、減点されるかもしれない箇所は見つけ次第修正していきましょう。

進振り制度と卒後キャリア

 東大は入学時には東大理1・理2・理3の枠で入学しますが、実際に学部や学科が決まるのは3年生以降になります。3年生に進学する前に進振り制度なるシステムで志願する学部学科を決定しますが、大学1年・2年の成績が良くないと人気の学科には進学できません。基本的には、数学・物理系の学科は理科1類から、生物系の学科は理科2類からの方が進学しやすいですが、大学での成績が良ければ毛色の違う学科へ進学することも十分可能です。ちなみに理科2類から医学部医学科へ行く学生もそこそこいたりします。詳細は東大生のYoutuberも多いと思いますのでそちらのほうご覧ください。

 さて、医学部以外の理系学部としては、工学部・理学部・農学部・薬学部・教養学部がありますが、概ねどの学部でも大学院の修士課程に進学し、修士課程修了後、就職する方が大半です。理学部の場合は若干博士課程進学も多いかもしれません。工学部・農学部・薬学部は様々な学科が存在するため修士課程修了後の就職先には様々ありますが、基本的にはメーカー就職になります。工学部からは自動車・電機機械・鉄鋼・エネルギー・化学・建築・ITなど、農学部からは食品・化学など、薬学部からは医薬品業界への就職が主流でしょう。個々の業界や企業によってかなり違うので非常に乱暴な比較ですが、医師と比べれば、メーカー技術職は比較的ゆったりした勤務である一方、給与などはかなり控えめで昇給スピードも緩やかです。メーカー技術職は、ざっくり分けると、研究職・開発職・生産職の3種類に分かれます。研究職は企業の未来の基盤技術の研究を進めています。基本的には狭き門ですが、東大卒はその能力特性から、本人が望んでなくても研究職をやっていることが多いかもしれません。開発職は実際の製品開発を中心に行います。新製品の企画を行い、試作品を何度も作って性能のテストを行い、改善点を見出し再度試作品製作、テストを行い…というサイクルを続け、製品の仕様が固まり次第、生産職の社員と協力しながら量産化の準備を進めます。いかにもモノづくりらしい仕事で、どの業界でも人気は高めです。(一応、医薬品業界の開発職は臨床試験に関わる仕事で他業界とはやや毛色が異なることを補足しておきます。)生産職では工場での生産設備の設計や生産ラインの改善を中心に行います。開発部から上がってきた製品の量産化に向けて、効率よく製品を製造するための生産ラインを設計します。グローバル企業においては、製品の生産拠点は国外にも多数存在するため、海外出張が最も多い職種と言えます。どの職種にせよ、医師とはかなり毛色の違う仕事になりますね。

総評

 東京大学の入試は、どの科目も実力差がはっきり出る問題セットだがその中でも理科は極端な高得点も可能であること、どの科目も東大特有の対策が多く志望校を変えると東大対策の多くが無駄になってしまうため、東大志望と決めたら1年は腰を据えて東大対策に勤しむこと、が抑えておくべきポイントとなるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました