弘前大学(医学部医学科) ほぼ英語だけの総合問題?地元有利?

入試の基本情報と面接

 共通テストボーダー(2021、河合塾):82%
 全統記述偏差値(2020):総合問題に変更したため未設定
 駿台全国偏差値(2020):59

 二次比率は33%で、共通テスト型といえます。配点はやや理科に寄せた配点となっています。面接は15分の個人面接で、下は50%~上は満点近い点数で大きく差がつく試験です。以前は面接点が300点もありましたから凄まじい差がついていましたが今年度より200点になりましたので多少はマシになるかもしれません。青森は慢性的に医師不足な都道府県にもかかわらず弘前大学の卒業生はあまり青森に残ろうとしないようで、その中でも弘前大学付属病院は特に不人気で、前期研修医の研修病院マッチングの結果では、合計45名の定員がある中でマッチ者数は3名という極めて厳しい状況になっています。(学士編入試験では、出願資格として弘前大学医学部付属病院の研修プログラムへの参加を出願資格としています。一般入試ではそのような縛りはありません。)ただし青森の市中病院の中にはきちんとフルマッチしている病院もあるので、そこはフォローしておきます。また公民は1科目受験が可能で、すなわち、倫理、政経、現社、それぞれ1科目での受験が可能です。
※令和3年度における弘前大一般入試の県内出身者の合格者数は1名(県定着枠)しかおらず、現状、県外生の合格者が多数を占めています。(Web東奥 2021/3/6の記事より)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/484039

  国語 社会 数学 理科

英語

(総合問題)

面接 合計
共通 200 100 200 300 200

1000

二次 300 200 500

総合問題の問題予想 

 弘前大学では令和3年度で通常の学力試験を廃止し、総合問題という問題形式になりました。それゆえ過去問が存在せず、分析が出来ません!ゆえに面接で圧倒的優位な立場にある青森出身の受験生以外は令和3年度の受験を推奨しません。しかしながら募集要項にどのような方向性で作題するかの指針が示されています。以下募集要項の文章をそのまま読みあげます。「日本語又は英語の文章や図表などの資料を用い,そこから得られる情報と意味の理解度を 評価します。これまで授業で学んだ知識を関連付け,多面的・多角的に考察し,考察の過程 や結論に至る根拠を記述できる力を重視します。例えば,教科書等で扱われていない初見の 内容であっても,資料の意味するところを読み解き,科学的思考に基づき考察する問題など を出題することもあります。また,英語での解答や計算を求めることもあります。」ということですので、これを紐解くと、どのような問題が出題されるか予想すると
①理系ジャンルの英文を題材とした長文読解(英問英答の問題含む)
②理系ジャンルの日本語の課題文を題材とした小論文的な問題
③自由英作文があるかもしれない。
④数学の問題が数問混じるかもしれない。
ということになります。※未確認の情報ですが、実際は英語メインの問題に化学の出題が多少あったとのことです。

 また制限時間が120分しかないことも分かっています。最もこの形式に近い他大学の出題は、秋田大の後期の小論文の問題かなあと個人的には思っています。秋田大後期小論文は、前に述べた4つの項目のうち、①と②が該当します。そこで、秋田大後期の小論文入試について分析しようと思います。

秋田大後期小論文の分析<110分・4問> 

 秋田大後期の小論文入試は制限時間120分で大問は2問です。

 大問1では英文の課題文が与えられています。すべてではありませんが、自然科学系の題材になっていることが多いようです。内容・語彙ともに標準レベルです。設問は数十字程度の内容説明問題や、100字レベルの要約に近い設問が主ですが、年度によっては自分の意見を書かせる小論文らしい問題が出ることもあります。このような記述メインの問題は国公立大の入試ではそう珍しくはありませんが、秋田大医学部の前期の試験とは明らかに違う傾向なので注意をしてください。

 大問2では日本語の課題文が与えられています。これもまたすべてではありませんが、自然科学系の題材になっていることが多いようです。設問は100~200字程度の内容説明や理由説明などが主ですが、年度によっては自分の意見を書かせる小論文らしい問題が出ることもあります。秋田大後期基準ではこのような問題セットで6割5分~7割程度が目標の点数になります。採点が甘めかもしれませんが、後期試験ということもあり、しっかり文章の書ける受験生でないと突破は難しいでしょう。弘前大前期基準では恐らく6割程度の出来が目標にはなるでしょうが、実際はこの通り出題されない可能性の方が高いので、あくまで目安程度にお考え下さい。

検討に値する過去問 

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 その他、検討に値する過去問として、
1.琉球大後期の小論文の過去問
2.広島大前期英語の自由英作文、要約問題
3.弘前大前期の数学
などが考えられます。1番の琉球大後期の小論文における課題文は殆ど英文ですが、秋田大より更に自然科学系の題材に偏っています。また生物を中心とした理科の問題が出題されることもあります。2番の広島大前期英語では、グラフの読み取りを題材とした自由英作文が毎年出題されているほか、長めの要約問題も毎年出題されています。3番の弘前大前期の数学については、今年の総合問題では「計算を求める」とのことですので、数学の問題が少し出題されるかもしれないと予想するのであれば少々は解いてみてもいいかもしれない、というレベルです。トータルで120分しか制限時間がない中で、数学の出題はかなり控えめになるんじゃないかなと個人的には予想します。

新医師臨床研修制度と弘前大学付属病院の状況

 さて、弘前大学では今年度から通常の学力試験を廃止するという思い切った改革を行うことになりました。特殊な問題を出題することで、早期から弘前大学を第一志望にし対策を行う青森県の受験生を優先的に合格させたいという狙いは正直あるんじゃないかなあと思います。弘前大が地元の受験生獲得に躍起になるその背景には、新医師臨床研修制度とそれに伴う大学病院の人気の低下、という事情があると考えられるため、簡単に説明しようと思います。

 新医師臨床研修制度が実施される以前は、殆どの医学部卒業生が大学病院で研修を行っていました。しかしながら大学病院は通常の病院では対応できない疾患を持っている紹介患者さんが主で、初診の患者さんであったり、ありふれた疾患、いわゆるコモン・ディジーズを持っている患者さんは稀であります。ゆえにそのような初診の患者さんに対するプライマリ・ケアの技術の指導が大学病院では不足しがちであるという背景を踏まえ、新医師臨床研修制度が制定されました。この新制度の制定により、多くの市中病院が初期研修を実施できるようになり、また医学生も大学に縛られず自由に研修病院を選択できるようになりました。

 その結果、プライマリ・ケアの経験を積むことが出来、頻度の高いコモン・ディジーズを診ることのできる市中病院は研修病院として人気となり、その中でも一部の都市部の市中病院は4~5倍を超える非常に高いマッチング倍率を誇るようになりました。一方で、地方の病院、その中でも大学病院は研修医の獲得にたいへん苦戦しており、研修医の数があまりにも不足しているため、関連病院に派遣していた中堅クラスの医師を大学病院に呼び戻してしまい、地方の病院でも中堅クラスを中心に医師不足の状態に陥っています。青森県の2020年度の研修医マッチングにおいては、弘前大学付属病院へは45名の枠があるうち3名のマッチに留まりましたが、その一方で、青森県立中央病院では15名フルマッチ、八戸市立市民病院では(産婦人科以外の)通常のプログラムでは17名フルマッチと、市中病院での研修医獲得の状況は概ね良好と言えます。とはいえ弘前大学附属病院で非常に苦戦しているため青森県全体としても研修医獲得状況はかなり苦しい状況にあります。

地域医療の概況

 青森県の人口当たりの医師数は全国平均より少ないですが、弘前大学のある津軽地域や、八戸市、青森市などに医療拠点が分散しているため、他の医師不足地域からのアクセスもそこまで悪くないため地域偏在の問題はそこまで顕著ではありません。ただし下北半島のエリアのみはいずれの地域からも遠く遠距離の搬送を強いられることがあります。診療科偏在は若干見られ、内科全般や小児科のほか、眼科や耳鼻科、放射線科などのマイナー科でも不足傾向にあります。

総評

 弘前大学の入試は、入試制度が大幅に変更され全く情報が無いので原則として出願をお勧めしませんが、このような入試制度改革の背景には青森県や弘前大学付属病院に残る医師を何が何でも確保したいというスタンスがあるでしょうから、青森県の受験生に関しては問題傾向を予想しながら対策し、出願してみても良いでしょう。ただし青森県の受験生でもある程度以上実力があるなら、今年度の弘前大の受験はブラックボックスな部分があまりにも大きすぎるため、秋田大や山形大など、近隣の都道府県の大学を受験する方が無難かもしれません。
※令和4年度以降は、不確実性は依然高いものの、英語メインの出題であることから、英語で全てをひっくり返す戦略が可能かもしれません。また詳細に関しては問題が入手出来次第分析します。(弘前大の総合問題を提供していただける方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。)

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