広島大学(医学部医学科) 二次試験の問題の分析

入試の基本情報と面接

 二次比率は67%で、二次型といえます。配点はオーソドックスな配点で、共通テストで国語200、社会で100、数学で200、理科2科目で200、英語で200、二次試験で数学600、理科600、英語600、となっています。面接点はゼロ点で、5分の短い時間で基本的な内容しか聞かれません。面接落ちの話も聞いたことはありません。5分の面接で不合格にまでするのは、教員側からしても中々度胸のいることでしょう。公民は1科目受験不可で、「倫理・政経」2科目まとまったものオンリーです。以前、二次の理科が2倍のA配点なるものがありましたが、このA配点は上位50%の選抜のための配点ですから、実質の合否判定には関係ありません。過去の合格者最低点などを見るときにはA配点を見ずに下記のB配点を見るようにしてください。

  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 200 100 200 200 200 900
二次 600 600 600 1800

数学の分析<150分・5問> 

満点600/H570/M495/L435

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 大問5問構成で、制限時間は150分の試験です。令和2年度では、全体的な難易度は標準レベルになりました。露骨な典型問題も多く見られます。その他、標準問題の解法を組み合わせた問題や、下位旧帝大レベルの問題に丁寧な誘導をつけたような問題で構成されています。制限時間は150分あるものの、どの問題も作業量及び計算量は粒ぞろいで、完答までしようとすると時間との勝負になります。見直しまで含めて各問題を慎重に解こうとすると時間が足りなくなってしまうかもしれません。数3微積及び確率が頻出で、次点で複素数、三角関数と図形などがよく出題されています。他の分野に関しても過去には出題例があるので、数3微積と確率以外はあまり分野を偏らせた勉強は避けたほうが良いでしょう。広島大数学の対策としては、標準問題集の解法をマスターすることは勿論、これらの解法の融合問題が多く出題されることから、下位旧帝大レベルの過去問でアウトプット演習を行うことも必要になってくるでしょう。標準的な解法の運用能力や、計算力で大きな差がつくので、このアウトプット演習は特に大事にしたいところです。高度な思考力や論証力は求められていないので、難問の対策は不要です。

英語の分析<120分・5問> 

満点600/H510/M450/L420

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 4問が長文で1問が英作文です。注意すべき大問が各所に紛れています。大問は英文の内容を日本語で要約する問題で、字数はおよそ250字程度のものになります。要約問題といえば東大の問題が有名ですが、東大はだいたい80字くらいでの要約になり、ピックアップするポイントも限られてきます。故に、予備校の解答速報なども大きなブレはありません。一方で、この広島大学の問題は250字というかなり長い要約になっており、予備校の解答速報などを見ても抜き出したポイントに結構大きな違いがあります。恐らくはそこまで厳しい採点にはなっていないと予想していますが、高得点を狙うには採点基準の研究が必要でしょう。大問2は会話文を題材としています。内容は平易な内容ですが、設問は会話文表現をきちんと知識として知っておかないと正答できず、文脈だけで解答すると間違えてしまうものになります。大問3と大問4は普通の長文問題で、大問3に若干、文法問題に近い設問が含まれているものの、おおむね普通の長文問題です。長文の難易度も、設問の難易度もやや易しい~標準、といったところでしょう。時間はたっぷりあるので、記述問題で若干差がつくかもしれませんが、おおむね高得点勝負になるでしょう。大問5は自由英作文です。90ワード程度の作文ですが、2つの文章を完成させる必要があります。合計すると180ワード程度になるので、そう考えるとなかなかしんどいですね。1つはグラフや表を見て説明させる自由度の低い問題、もう1つは自分の意見について述べる自由度の高い問題になっています。全体的にボリュームが多いように見えますが、長文は簡単で、120分も時間があるので、そこまで時間のきつい試験ではありません。広島大の英語対策としては、まずは第1問の要約対策として、駿台から広大実践模試、河合塾から広大オープン模試という名前の大学別模試がありますから、それぞれの模試の採点基準を研究して、両方の模試で高得点がとれそうな答案を作れるようにトレーニングしてみましょう。河合塾の広大オープン模試であれば、過去問が市販されています。第2問の会話文対策については、会話文表現がまとまった受験参考書を1周インプットするだけでもかなり変わるんじゃないでしょうか。第3問と第4問は通常の長文対策でOKです。第5問の自由英作文の傾向は殆ど変化がありませんから、過去問の周回、あるいは河合塾の広大オープン模試の過去問などを購入して数をこなせば高得点も狙っていけるでしょう。

化学の分析<60分・4問> 

満点300/H260/M220/L200

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で120分なので、化学には60分割けることになります。基本的には大問4問構成で、理論が2問、有機が1問、高分子が1問となっています。最近の広島大学の理科は難易度が乱高下しています。今年、令和2年度は難しいセットになりました。理論の発展的な問題も誘導は比較的親切に作られているため、もう少し時間があれば程よい難易度の問題になったのかもしれませんが、60分でやりきるには時間が圧倒的に足りません。令和2年度では理論のほうが難しいですが、例年はどちらかというと有機に難しい問題が入ってくることが多いと言われています。広島大学の化学の対策としては、有機の分野は問題が難しくとも満点が狙っていきやすいので、有機・高分子はきっちり対策して後半のこれらの分野の問題を手堅く固めてから、残りの問題を、残り時間とにらめっこしながらコスパのよい設問から順に固めていく方針で行くといいんじゃないでしょうか。あまり発展的な問題集をやっても、そのようなレベルの問題が出題される保証はありませんし、もし出題されたとしても、制限時間の60分で解ききるのはかなり無理ゲーに近いところがあります。

物理の対策<60分・4問> 

満点300/H270/M240/L210

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 理科2科目で120分なので、物理には60分の時間は割けます。今まで大問3問構成だったのが、令和2年度では大問4問構成になりました増えた大問は穴埋めかつ選択式の知識問題なので、ボリュームはそれほど多くなりませんでした。難易度は概ね標準レベルです。ごく一部ですが、問題の設定が複雑であったり、融合問題の形になっているものが、見受けられます。力学と電磁気が必ず出題され、熱や波動のどちらかまたは両方が出題されるケースが多く、原子分野の出題はあまりありません。時間は多くもなく少なくもなくといった感じで、ちょうどいい設定です。令和2年度では化学にかなりの時間がかかりましたので、理科トータルで見た時間配分に関しては、受験生の得意分野なども考慮して、その都度対応する必要があったように思います。広島大の物理の対策としては、標準問題集を1冊仕上げれば基本的には十分ですが、問題集の背景にある法則をきちんと理解しながら丁寧にこなし、また短時間で解くためのトレーニングも必要になってくるかと思います。

生物の対策<60分・4問> 

満点300/H250/M220/L190

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)  

 生態はほぼ確定で出題、進化と系統や神経の範囲も高頻度に出題されています。遺伝の出題頻度も高く、遺伝単発で一つの大問が作られていることもあります。植物生理の出題はあまり見られず、体内環境は何かの融合問題としてちょっとだけ出題されることが多いようです。全体的に、一つの大問で複数の単元を無理矢理詰め合わせた融合問題になっていることが多い印象です。生物も令和2年度はかなり難易度が高くなり、全ての大問で考察問題ががっつり含まれており、いずれも典型からは少しひねったもの、あるいは初見の題材を考察させるもので、難易度はそこそこ高いです。それなのに60分しか時間がないため、全問解ききれる人はあまりいなかったように思います。救いなのは長めの記述問題が少なめなくらいですね。広島大の生物の対策としては、標準問題をきちんと周回して、少し典型からいじられた出題でも対応できるような力をつけること、また、よく出題されている遺伝の対策をすることはマストで、これらの対策が終わった後、受験までの残った時間で考察問題対策を行うことができれば点数が安定してくるでしょうか。なるべく考察問題対策はしっかりやっておきたくて、考えながら解くトレーニングを積むことで、初見の問題にも強くなるのはもちろん、典型問題をいじった問題にも落ち着いて対応できるようになります。年度によって結構ばらつきはありますが、例年それなりに考察問題比率は高めになっています。逆にカットしやすいのは論述対策、知識問題対策です。数も少なく、難易度もそこまで高くありません。ここで若干ロスしてでもいいので考察をきちんととっていきたい、そんな試験です。令和2年度は物理有利の傾向が顕著に見られました。例年、生物はもう少し簡単で、物理選択と生物選択の差はもう少し詰まっているんじゃないでしょうか。

地域医療の概況

 広島県は県全体として人口当たりの医師数はやや多めで、県の面積は広いものの、地域偏在の程度も小さく、比較的安定した地域医療体制が構築されていると言ってよいでしょう。勿論広島大学の附属病院のある広島に医師が最も多いのですが、呉、福山、尾三(おさん)など周辺地域にも人口に見合った医師数が配置されており、奮闘していると言えます。診療科偏在については、全体的に外科を中心にやや過剰傾向がありますが、広島以外の地域では小児科や精神科などで不足が見られることもあります。

総評

 数学で差が付きやすく、物理有利でもあるため、数学が得意な受験生であれば、英語は傾向対策を徹底することでカバーし、有利に立ち回れると言ってよいでしょう。ただし、数学と理科で難易度がここ最近かなり上下しているので、想定した難易度と違っても、その場その場で落ち着いて問題に取り組むことも必要となってくるでしょう。

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