浜松医科大学 二次試験の問題の分析

浜松医科大学(医学科)入試分析!ーあっしー先生国公立医学部を語る④

入試の基本情報と面接

 二次比率は61%です。配点は標準的な配点です。面接点に関しては非開示であるためグレーな点は多いです。浪人差別があるかどうかを考察するため、現役と浪人の比率を調べたところ、1:1程度の年が最も多いのですが、令和2年になって浪人がかなり増えました。浪人差別はあまりないかもしれません。ただし、前期の一般入試の県内:県外比率はかなり狭い範囲に収まっているのが現状です。文部科学省から何か言われた大学ではありませんが、静岡県の学生にはちょっと易しめになっているかもしれません。県外出身者は静岡県の地域医療の実情についてある程度理解した上で面接に臨む方が望ましいと言えます。また、公民は1科目受験可能で、「倫理」、「政治・経済」、「現代社会」1科目のみでの受験が可能です。重量級の単科医大の問題で、二次比率が高めなのは二次逆転の夢が見れますね。実際に、センター75%からの大逆転事例もあるそうです。

  国語 社会 数学 理科 英語 面接 合計
共通 100 50 100 100 100 450
二次 200 200 200 100 700

数学の分析<90分・4問> 

満点200/H140/M110/L90

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 標準的な問題が多いものの、時々、難易度の極めて高い問題が紛れ込んでいます。この難易度の高い問題を90分の試験で完答することは不可能に近いですから、そのような問題をきちんと飛ばせるかどうかが1つのポイントになります。極端に煩雑な計算があるわけではありませんが、思考力を要する論証問題が多く出題されており、やはりボリュームの多い試験と言えるでしょう。普段の演習としては、1対1対応の演習など標準的な問題集を一通りマスターした後、証明問題を中心に、やや難易度の高い問題、旧帝大の過去問などを演習すると良いでしょう。論証力のトレーニングのために、講師の先生に指導してもらう機会があれば、添削指導を受けられるとなお良いでしょう。

浜松医大の入試は標準的な問題の解答力に加え、難問をきちんと見抜くための力が必要です。Lライン目標なら理系数学入試の核心(標準編)、M以上目標ならやさしい理系数学が最有力候補でしょう。

理系数学 入試の核心 標準編 改訂版 (数学入試の核心)
やさしい理系数学 三訂版 (河合塾シリーズ)

英語の分析<90分・3問> 

満点200/H150/M120/L100

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 大問は3問、2問は長文、1問は150word級の大型自由英作文になっています。医学を中心に理系的なトピックの出題が目立ちます。リンガメタリカなどのジャンル別単語集が刺さっていく問題かもしれません。自由英作文に時間がかかりすぎなければ、そこまで時間がきつい感じでもありません。長文にも英語で答えさせる問題が含まれているので、比較的早い段階で色々なバリエーションの英作文の演習が必要でしょう。

もちろん過去問が最重要なのは間違いないですが、過去問が尽きてしまうかもしれません。その場合にプラスアルファする価値のある大学は、滋賀医科大学と旭川医科大学の過去問です。この2大学は必ずしも理系ジャンルだけではありませんが、長文2問と大型自由英作文1問のセットは踏襲されています。難易度も標準的です。

旭川医科大学(医学部〈医学科〉) (2020年版大学入試シリーズ)
滋賀医科大学(医学部〈医学科〉) (2020年版大学入試シリーズ)

化学の分析<60分・4問> 

満点100/H75/M60/L50

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 問題のレベルそのものは標準的ですが、とにかく60分しかないので時間が足りません。それなのに、計算量のやや多い問題が目立ちます。更に、目新しいテーマの出題もしばしばあります。ただし文章中に十分なヒントがあるので、時間をかければさほど難しくはありません。どちらにせよ、時間を割けるなら高得点が狙えますが、他の科目に割く時間を犠牲にしなければならないということになります。時間配分の戦略は大きく2つにわかれます。1つは他の理科科目をコスパ重視で45~50分程度で切り抜け、化学の時間のかかる設問にエネルギーを注ぐ戦略、逆にもう1つは他の理科科目にきちんと時間を割き、化学に関しては時間のかかる問題をなるべくスルーしていく戦略となります。この時間配分の戦略に関して、物理の分析担当とディスカッションした結果、前者の戦略は生物選択者に有利な戦略で、後者の戦略は物理選択者に有利な戦略なのではないかという結論に至りました。ただし物理選択者でも化学が極端に得意であれば前者の戦略の採用を検討してもOKかと思います。

物理選択は物理で稼ぎたいので、化学は重要問題集にあるくらいの標準的な問題の周回でOKかと思われます。

2020実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学

生物選択は化学で稼ぎたいので、余裕があれば新演習や標準問題精講までやりたいところ。時間がたっぷりある(半年くらい)なら、新演習で。あまりないなら、標準問題精講で。

理系大学受験 化学の新演習―化学基礎収録
化学[化学基礎・化学] 標準問題精講 六訂版

物理の対策<60分・5問> 

満点100/H85/M75/L65

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン) 

 いずれも難易度そのものは標準レベルで、決して難しい問題ではありません。とはいえ、いかんせん時間がたいへん厳しいですので、試験中に悩んでいる時間はありません。ケアレスミスで芋づる式に点数をロスするリスクが高く、見直すような時間もほとんど取れないため、元からケアレスミスが少ない受験生でないと高得点は難しいかもしれません。ケアレスミスの多い自覚のある方は、物理に関してはリスクを背負うことを覚悟してください。各大問の一番最後の小問が最も難しいので、時間がかかりそうだと思ったら飛ばしてしまう勇気も必要です。

結局、60分しかない試験で難問まではやれません。問題集のトレーニングは、重要問題集・名門の森あたりまでの対策で留め、あとは現物の浜松医大の入試過去問でトレーニングあるのみです。

2020実戦 物理重要問題集 物理基礎・物理
名問の森物理 力学・熱・波動1 (河合塾シリーズ)
名問の森物理 波動2・電磁気・原子 (河合塾シリーズ)

生物の対策<60分・3問> 

満点100/H80/M70/L60

(H:極めてその科目が得意な人のライン M:合格者平均予想ライン L:合格者最低点予想ライン)  

 化学ほどは、時間に追われる試験ではないので、個人的には生物は45~50分程度で切り上げて化学に時間を割く戦略を勧めます。単科医大なので出題分野に偏りがあるかと思いきや、出題している教員の先生は理学部出身なので、いろんな分野から出ます。何なら生態からも出ます。遺伝については、家系図の問題はしばしば出題されていますが、がっつり対策するかどうかは、微妙なところではあります。考察問題はそれなりにありますが、リード文がそう長いわけでもないので、分かる人ならすぐに解答のポイントが分かるし、分からない人は時間をかけても分からない、そういう問題かなあとは思います。このような傾向から、標準的な受験対策問題集に加え、「標準問題精講」「思考力問題精講」などといった考察系問題集をプラスアルファするのが良いでしょう。(※追記:「思考力問題精講」はリード文がとても長い重量級の考察問題用と考えられるため、不要としました。)

 過去問演習は少し難しいところです。時間がたいへん厳しい試験なので、時間配分の戦略を確立するためにも、理科2科目通しの過去問演習をガンガン積みたいところです。しかしながら、2017年以前の過去問は出題している教員の先生が違っており、傾向も少し違うんですね。とはいえ、代わりに他の大学をやるにしても、60分の試験で同様の傾向の大学がありません。したがって、傾向は少し違うものの、前の先生の問題についても、時間配分の戦略がしっくり来るものが確立するまでは、こなしていく必要があるでしょう

コンパクトにおさめるなら、基礎問題精講になります。演習問題はやや難で解説もあっさりすぎるため、独学の場合は例題のみをやりこむ形になります。(ちょいちょい演習問題にもやっておきたいテーマはあるのですが、、)

《新入試対応》生物(生物基礎・生物)基礎問題精講 四訂版

網羅性を求めるなら、大森徹の最強問題集になります。

大森徹の最強問題集159問 生物[生物基礎・生物] (シグマベスト)

鉄板は標準問題精講かと思われます。一部知識問題も含まれますが、考察問題も多く含まれ、バランスの良い問題集です。しかし初めて取り組む際には、皆さん苦戦しているので、覚悟を持って取り組んでください。

生物[生物基礎・生物] 標準問題精講 六訂版

地域医療の概況

 

 静岡は西部に浜松市、中部に静岡市、東部には沼津市があり、これらの3都市の周辺には比較的医療資源が充実しています。このうち、浜松、静岡については素直に人口が多いので医療資源も多いですが、沼津についてはそれほど人口が多いわけではないようです。

 浜松は浜松医大病院を中心に比較的医療資源の充実した地域でありますが、その周辺地域となると不足が見られる地域があります。例えば、磐田市や掛川市を代表とする中東遠(ちゅうとうえん)医療圏、島田市、焼津市、藤枝市などを代表とする志太榛原(しだはいばら)医療圏では医師不足が見られます。静岡市が属する静岡医療圏については市立・県立の公立病院を中心に比較的医療資源が整っている地域となります。富士市のある富士医療圏が人口の割には医療資源の不足している地域で、静岡市の病院や東部の順天堂大学付属静岡病院、県立静岡がんセンターなどと協力しながら医療を支えているというのが現状です。沼津市、三島市などが含まれる駿東田方(すんとうたがた)地域は順天堂大学付属静岡病院、県立静岡がんセンターなど大病院を中心に比較的医療資源のととのった地域になります。熱海市などがある伊豆半島の先端の地域では、過疎傾向であり医療資源も少ないですが、駿東田方(すんとうたがた)地域の順天堂大学付属静岡病院などと協力しながら医療を支えています。必ずしも医師不足の地域で働きたいとアピールする必要はありませんが、静岡県の医療のどのようなところで貢献できそうか、面接日の前日くらいには、想いを馳せてみてもいいかもしれません。

総評

 浜松医科大学は、特に数学・理科を中心に、標準的なレベルの問題を非常に短い時間で解かせる試験となっているため、時間配分の戦略をきちんと練りながら過去問演習に取り組む必要があるでしょう。二次型の配点にもなっており、逆転合格も狙っていきやすいですから、共通テストに失敗しても、気を取り直して過去問のトレーニングをガンガン積んでいけば、二次挽回のチャンスが見えてくるはずです。

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