窒素同化と窒素固定―頻出問題解説シリーズ(代謝)

化学合成細菌

 (エネルギーレベルの高い)無機物を酸化し、その時発生するエネルギーを用いてグルコースを合成する細菌を①化学合成細菌という。具体的には、②亜硝酸菌や③硝酸菌、④硫黄細菌などがあり、それぞれの行う化学反応は

亜硝酸菌:⑤アンモニウムイオン(NH4+)を⑥亜硝酸イオン(NO2-)に酸化

硝酸菌:⑥亜硝酸イオン(NO2-)を⑦硝酸イオン(NO3-)に酸化

硫黄細菌:⑧硫化水素を⑨硫黄に酸化

※光合成細菌ではないので注意。

②亜硝酸菌と③硝酸菌をまとめて⑩硝化菌と呼ぶこともある。

窒素同化

 植物は二酸化炭素と水からグルコースを合成することが出来るが、アミノ酸についてはどうだろうか。アミノ酸はアミノ基(窒素原子)を持つため、アミノ酸を合成するためには窒素源を確保する必要がある。

Ⅰ 硝酸菌によって合成された②硝酸イオンは植物体に取り込まれ、二段階の③還元反応の中で、④亜硝酸イオンを経由して⑤アンモニウムイオンに変換される。

Ⅱ 遊離した⑤アンモニウムイオンは、⑥グルタミン合成酵素により⑦グルタミン酸に取り込まれる。⑦グルタミン酸にアミノ基が結合して、⑧グルタミンが合成される。

※⑦グルタミン酸と⑧グルタミンの側鎖を復習しよう!

Ⅲ グルタミン上のアミノ基は、⑨グルタミン酸合成酵素により、⑩α―ケトグルタル酸上に転移され、⑦グルタミン酸が合成される。

※⑩αーケトグルタル酸と⑦グルタミン酸の構造式を比較しよう!

Ⅳ グルタミン酸上にアミノ基は⑪アミノ基転移酵素(トランスアミナーゼ)により色々な種類の⑫有機酸(ケト酸)上に移され、色々な種類の⑬アミノ酸が合成される。

※⑪有機酸(ケト酸)とは…?

アミノ酸のアミノ基が⑭カルボキシル基に置換された化合物のこと。

アラニンの⑪有機酸(ケト酸)は⑮ピルビン酸であるし、

アスパラギン酸の⑪有機酸(ケト酸)は⑯オキサロ酢酸である。

★ここまでの過程を模式図に示してみよう!

窒素固定

 空気中の①窒素から②アンモニウムイオンを合成(③窒素固定)できる細菌がいる。③窒素固定を行う生物として、

根粒菌

アゾトバクター

クロストリジウム

ネンジュモ

を記憶しておく必要がある。

 更に、④根粒菌についてはその生態についても理解しておく必要がある。根粒菌は⑧マメ科植物の根に共生し、植物に②アンモニウムイオンを提供する見返りに、植物から⑨炭水化物を得ている。このような関係は菌にも植物にもメリットとなり、⑩相利共生の関係にあると言える。

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